6月のことになりますが、ネットで、京都市動物園のホンホンさんに腫瘍が見つかったということを知り、気になってお見舞いに行きました。
ホンホンさんはゴーラルという動物で、6月に18歳になりました。現在「京都の森」コーナーの広いスペースで独り暮らしです。口に出したくなるお名前であるがゆえに、京都の森コーナーを巡回するたびにいつも「ホンホンさーん」と(人間が誰もいないときは)呼びかけてきたのでした。
お尻越しに振り返るホンホンさん
ホンホンさんの紹介プレートの横には、腫瘍が除去できないということと、「ホンホンが辛くない方法を探り、いろいろな案を検討し、その中で最善ことを実施していく」ということが書かれていました。京都市動物園が動物の様子を伝えてくれるこうした文章は、いつも動物への思いがあふれていると感じます。
何か悲愴な気持ちでお見舞いに来たのでしたが、当のホンホンさんは飄々としたご様子でした。腫瘍の影響か、たしかに多少頬がふくらんではいましたが。
後ろ足でカキカキしているホンホンさん
ホンホンさんのスペースは、二条通りに面した広いコーナーです。これは排泄中なのか単におすわりしているのか不明ですが、二条通りを望むホンホンさんです。
ホンホンさんは、日本で飼育されている最後のゴーラルだそうです。ゴーラルは、中国、インド、タイ……などの山岳地帯に分布する種で、ニホンカモシカなどの近縁です(ホンホンさんの隣の檻がシカスペースであることもあり、よくまとめて「シカだ!」と言われています)。ホンホンさんはかつては「オナガゴーラル」とされていましたが、DNA解析の結果「ゴーラル」であったことが分かったそうです。
獣医室だより097 ゴーラルの削蹄再び - 飼育員ブログ | ブログ | 京都市動物園
ホンホンさんは、かつて三重にあった日本カモシカセンターというところからやってきました。現在、日本で最後のゴーラルです。本来この地にいないはずのそうした生き物が二条通りを見下ろしているのは、なんともふしぎな感じがします。
ナイルさんでライオンの飼育が最後になったのと同様、ホンホンさんを最後に、京都市動物園はゴーラルの飼育を終了すると思われます。
ホンホンスペースを散策するホンホンさん
その飄々とした雰囲気も含め、どことなくまめ子みのある生き物でもあります。神秘的な目もまめ子と共通です。
カメラ越しに目が合いました!
草に埋もれてまったりし始めたので、私も帰りました。
ホンホンスペースの近くには可愛い植物が成っていました。
ホンホンスペースからケープハイラックスやゾウ舎のほうへ下る道
スタッフさんが書いておられたように、できるだけホンホンさん本人(本ゴーラル)がつらくない方法で、日々を過ごせるとよいなと願います。
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この日はあまり時間がなくて、ホンホンさん以外の動物たちにはゆっくり会えなかったのですが、キリン仔が生まれていました。
おわかりでしょうか、奥にいます。小さい! いや、大きいんだけど。
あと入場券がかわいかったです!