どうもです。
当ブログは最近日常雑記的な内容多めでありますが、もともとは「日々撮りためた誰も興味なさそうな写真を放出したいよ~~」というブログでありました。パイロンとか街の貼り紙とか落書きとか。
そういうものは子どもの頃から好きだったんですが、やってるうちに似た関心をもつ方が大勢あることが分かりまして、「路上観察」とか「考現学」とか呼ばれる分野があることも知りました。当ブログもはてなブログの「路上観察」特集でとりあげてもらったことがあります。最近だと「街歩き」という言い方がよく使われていますね。
参考)「まち歩き」はなぜブームなのか?——歩く観光の歴史と、デジタルが変えた「散歩」 | 深掘りラボ
ただ、自分では、あまり「路上観察」とか「街歩き」をしてるという意識はないので(主体的に観察したり歩いたりしているわけでなく生活してると気になるものたちが向こうからやってくる)、自分の関心を人に伝えようとするといつも言葉が見つからず「うう~~ん、なんていうか……ああいうやつが好きで……」となりますね。
ともあれ、最近読んだものの中から、そうした自分の「なんていうか……ああいうやつ」への関心と関わるものを紹介致す次第で候。
* * * * *
■ ネルノダイスキ著『大人も知らないみのまわりの謎大全』ダイヤモンド社、2025

これは今年買ってよかった本ベストに入るかもしれない! 児童書コーナーにあったんですが、完全に自分向けでした。
タイトル通り、みのまわりのさまざまな謎の大全であるのですが、「標識」「すかしブロック」そして「パイロン」など、「なんていうか……ああいうやつ」愛好家が好きなものものに加え、「ハト」「セミのぬけがら」「ツタ」など自然物も扱われており、とにかくいろんな気になるものが扱われているのです。
「アスファルト」とかがあるのも有難い。私は、身近にあって普段利用しているそういうものがどのように何から作られているかわからん!という状態が大変不安なので……ぜんぶ知りたいっ!!(理科を勉強したのもこの理由・ただし勉強した内容はもうほぼ忘れてる)
帯を見て、一番読みたかったのが「定礎」でした。ずっと「定礎」のことはうっすら気にはかかっていたんですが、これまで定礎について調べぬまま馬齢を重ねてきたのであり……。まさか定礎にそんな秘密があったなんて、知らなかった!
章の合間には「地球のおもいで」スナップが挟まれます。そう、これは、ふたりのスーア星人が連休の宿題に地球を訪れていろんな謎に出遭うというお話なのです。私たちは地球人ではありますが、日々出遭うパイロンや犬糞看板や鳥居ちゃんや連絡まつ村は、私たちにとってもまた地上の思い出なのだと思います。「地上とは思い出ならずや」です。
※ちなみに大人向け(?)で似たコンセプトの本では、三土たつお編『街角図鑑』もとてもよかったです。「雰囲気五線譜」の概念はこの本で得ました。
■ 新潟市美術館開館40周年 路傍小芸術 図録(編集・構成:藤井素彦)
新潟市美術館で催されていた「路傍小芸術」展は、ひつじさん(仮)に教えてもらって「これは………行きたい!」と思っていたのでした。
結局会期中に行くことはできず、またその後あんな形で新潟に行くことになるとは思っていなかったのでしたが、その際美術館を訪れ、品切れであった図録を後日通販で送ってもらいました。

図録ですが綴じられておらず、自分で綴じるなりそのまま愉しむなりする形でちょっと驚きました。(適当なファイルに綴じましたがもっと風情ある綴じ方が似合いそう)
内容は、「松田ペットの『例の看板』」「新潟地震と児童版画」「にいがた銭湯展」……などなど。
私は特に「越後川口サービスエリアの手描きポスター」と「大衆割烹〈大佐渡たむら〉のお品書き」に惹かれました。サービスエリア手描きポスターは、水落裕子さんという一人のエリア・コンシェルジュが37年6か月にわたってイベント情報等をまとめてきたものですが、すべて手描きで、カラフルで愉しくて、遊び心が効いていて、素敵。水落さんのインタビューも掲載されておりその仕事ぶりが分かります。特に6月の、紫陽花の可愛いイラストと文字色がリンクしているところとか、2月のポスターの文字に雪が積もっているところとかが好き!
自分が「なんていうか……ああいうやつ」が好きなのは、いわゆる美術作品ではなくても、人がいろいろに愉しんだり工夫したり、時に実用の中で実用には過剰なクリエイティビティを発揮したりしてるのを見るのが好きなんやな、と再認識しました。これは実物を見たかったな~。(今ふと思ったのですが、自分の実家は自営業であり親がポップを描いているのを見るのが好きでした。それがこうした関心に影響しているのかもしれません。)
また藤井素彦氏による「企画者のあと書き」が面白かったです。展覧会の趣旨に関して、以下のような初期のメモが紹介されています。
・アウトサイダーアートの展覧会ではない。
・文化人類学的なアプローチではない。
・民藝運動を参照するものではない。
・いわゆる「大文字の芸術」の批判・補完を試みるものではない。
・美術とそれ以外・それ以前というような序列、その転倒に関心がない。
……
16の項目のうち、このように「~ない」という形で書かれた項目は、この展覧会が既存の諸々の観点ではないことを示しつつ、逆説的に既存のそれらの観点と隣接していることを示しているわけで、「なんていうか……ああいうやつ」を考える際の自分の助けにもなりそうに思いました。
収録されているものものは、新潟の人であれば「ああ、あれじゃん!」と、より楽しめるかもしれません。ひつじ(仮)さんの解説つきで見てみたかったな。松田ペットのことは昔にひつじ(仮)さんから聞いた気がするし、西堀ローザに案内してくれたのも彼女でした。新潟は第二、第三の故郷だと思うことに決めたので、これからゆっくり知っていきたいものです。
同時に行われていた「路傍風景術」展というコレクション展も観てみたかったな! 新潟市美術館は少し訪れただけでしたが、静かで堅実な佇まいでとても気に入ったので、また絶対行きたいものです。
ちなみに、(以前ちょっと書きましたが)美術館ではこちらの図録が売り切れていたかわりに前からほしかったこちらを買うことができました。

「好きなことや気になること調べてたら絶対に式場隆三郎が出てくる~~ッ!!」と常々思っていたのですが、式場隆三郎もまた新潟の人なんですよね。この図録は、註も含めて情報量が凄い。また、式場とその周辺のことだけでなく新潟という土地の磁場みたいなものも伝わりました。
これをカウンタに持っていくと美術館の方が「路傍小芸術の企画の人と同じ人なんですよ」と教えてくださいました。いずれの図録にも「とんかつ文庫」の名がありますが、これは藤井素彦さんの個人コレクションなんでしょうか?(Xで「とんかつ文庫」を検索すると困惑してる人々がたくさん出てきて面白い)
■『芸術新潮・珍々京都お楽しみ図会』1986年4月号
古本屋さんで発見。芸術新潮のこんな号知らんかった!

「珍々京都楽しみ図会」……ほぼ「京都ぬるぬるブログ」ではないですか!
内容は、赤瀬川原平ら京都路上観察探偵団が京都の気になり物件を探索してゆくというもので、「私の関心をもつものはだいたい既に赤瀬川原平が集めている」の法則です(式場隆三郎に続き「なんていうか……ああいうやつ」第二法則)。当ブログでしばしば紹介している鳥居ちゃんたちも、「京の小鳥居群」として紹介されています!
読みながら、なんか既視感を覚えていたら、あッこれら『京都おもしろウォッチング』(赤瀬川原平他著、路上観察学会編、新潮社、1988)で見たことある写真や! どうやら、芸術新潮のこの特集を増補改訂して作られたのが『京都おもしろウォッチング』のようです。だいぶ以前に読んだので機会に読み返してみました。

紹介されている物件やさすがの考察が面白いのは勿論ですが、もうひとつ、この本の私にとっての価値は、「子どもの頃のギリ知ってる京都」の写真が収められていることです。
世に京都の写真はたくさんありますが、そこらへんの路地やら看板やらトマソンやらの写真ってなかなか残ってないですよね。そういうものが収められており、更に私のフィールドであった左京区や東山区が多めであるので、「ああああ、これはあの道に立ってた看板!」「わあ、もう無いお店や!」「○○さんの家や!」という感動があります。
どこだか分からんところもたくさんあったんですが、横から見ていた父が、ああ、ここはどこどこや、これはどこどこの何々やな、と言うてくるので、元気なうちに聴いておこう……!と聴き取りをしてメモを作りました。こういうことをしていると、自分も親も「老」の域に入ったことを感じますね。

しかしその後父から連絡あり、このメモの情報のいくつかは間違っていたことが明らかになりました。



















































































