左様なわけで、湯野上温泉駅から会津田島方面へひと駅、「塔のへつり」へ参りました。
「塔のへつり」て名前が気になって、渓谷に奇岩がいっぱいあるということ以外なんも知らずに行ったのでしたが、有名な景勝地なんですね。
会津鉄道塔のへつり駅は樹々の中の無人駅。これも良い雰囲気……!(でも冬は大変なのだろうなあ)
私も母もなぜか勝手に駅の前がもう川やと思ってたんですが、駅の前は広っぱがひろがっていました。
緑が綺麗、イチゴの花が可愛い、藤が綺麗、石楠花が綺麗~!!
しかし、はしゃいでおったらここにもクマ看板が……! 注意を促されても周囲は草っぱらが広がるばかり。遭遇してしもたら逃げ場はないでしょう。
管理人がいはるんかな? と思った駐車場の中のボックスにも、パイロンが座ってるだけでした。
白紙のバス停。廃止されたのでしょうか?
道に沿って歩いてゆくと、川の傍に出て、手前にはいくつかお土産などを売る売店が並んでいました。昔ながらの観光地って感じですごく良い雰囲気。
この工房では、手作りの「なめこの置き物」が売られてました。キャラじゃないほうのリアルなめこが木にびっしり生えている姿で、ちょっと惹かれるがちょっとこわい。「金(菌)が増える」といういわくのようでした。
この見慣れぬ漢字で「へつり」と読むそうです。私は珍しい漢字好きでもあるのでやや昂奮。造字なんかな?と思ったら漢字事典にも載ってました。『大字源』によると、「険しい山道」の意のそうです。
「へつり」は地元の言葉で侵食・風化を繰り返すことによってできた断崖を指すそうです。(「ごはんをひと口へずる」みたいに「へずる」て言葉をよく使うんですが同語源なんかな。)
川沿いに出て展望台から対岸を眺めると、へつられた巨岩がいくつも切り立っています。
すごい風景! そしてこの写真では分かりにくいですが、この、削れている部分は人が通れるようになっており、何人かの人が歩いています。見るだけだと思ったら歩けるんや! 早速対岸に渡るわれわれ。
吊り橋からの景色もすごい。
ここを歩いていくんですが、足場はけっして広くなく、川に向けて傾斜がついていてめっちゃ怖い!
気いつけよしや、と言いながら歩いてたら、前を歩いてはった二人組おじさんのうち一人がバランスを崩し川の側へトットットッと滑り落ちてゆくではないですか。ひええええ。腕をぶんぶん回してなんとか寸前で踏み止まられましたが、肝が冷えました。なお一連の動作の間おじさんは全く無表情でした。人は真に慌てるとそうなるんやろか……。「大丈夫ですか!」と駆け寄るとおじさんは「まあ…」みたいな薄い反応で、関西人やとこういうときは絶対なんか大袈裟なリアクションをやるんで、これが地域性の違い……と思いました。もうひとりのおじさんが「これがあるから」と、お地蔵さんの傍らに置かれていた浮輪を指しました。いや、それを使う事態はイヤだよ!
しかし浮輪が置かれているところをみると、ここは、落ちること前提の場所なんでしょうか。柵もなんもないですし。いま、「塔のへつり」で検索したら、「塔のへつり 落ちた人」という検索候補が出てきました。年間何人くらい落ちてるのか、みんなどのように這い上がってきたのか、知りたいです。
本来は岩全体を行き来できるようですが、少し前に土砂崩れがあったそうで、この日はここで通行止めでした。それでも果敢な人々は土砂崩れ箇所を乗り越えて歩いてました。私はこの先へ行くと確実に落ちると判断したためやめておきました。(↓ 左側の木でこんもりしている箇所が土砂崩れ箇所。)
土砂崩れの手前、行ける一番奥まで行ってみました。
岩の削られた隙間には、たくさん石が積まれていました。
上に登る石段もあり、虚空蔵菩薩堂があります。
少し高い岩の先端まで行ってみました。ここで度胸試しする人いっぱいいたんやろなあ。
母が「写真撮って!」とキワキワまで進むのでひやひやしたのですが、私が同じようにしようとすると「あんたはそこまでにしとき!」とストップをかけられました。おれはそんなに危なっかしいか。とにかく転んだり滑ったり落ちたり落としたりゴーカートで事故ったりする子であったので、母の中ではまだ鈍臭い子どものままなんでしょう。実際今もそうか。未だに階段(べつにふつうの階段)昇り降りするときなど「コケんときや!」と注意されます。まあ未だに心配してくれる親がいるのは有難いことなのでしょう。そろそろ母の方が心配なんすが。
すごいところからすごい樹が伸びていました。
塔のへつりの正面には売店があり、まむしとかサンショウウオとか野性味のあるものが売られていました。ここでチョコミントソフトクリームを求めました。母はなぜか昨日からずっとソフトクリームを欲しており、大内宿でもバスがもうじき出るというのに「ソフトクリーム買おかな……」とか言うてたので、ソフト欲を達成できてホッ。ソフトクリーム買うと、お店の人がなぜか味噌汁をサービスしてくれて、冷たく甘いのと温かく辛いのを交互に食べました。(味噌汁はコリコリした野菜が入ってて美味しかったです)
言うてる間に電車の時間になり駅へ。
この電車もすごくいい。
それまで駅周囲に人はいなかったのに、電車が入ってくるときだけ、撮り鉄的な人がいました。
復路はテーブル席に座れて嬉し。
私は「テーブルがついてる電車」大好き人間なので、テーブルの写真を撮り続け、「テーブルと一緒におれの写真を撮ってくれ」とリクエストし、「へんなこだわりやわあ」とあきれる母。
これは湯野上温泉駅で買ったタルト。Chezやまのべというお店のもので、美味しかったです。
復路は、芦ノ牧温泉駅のねこ駅長の姿はありませんでした。駅長室にしまわれたのでしょう。ちゃんと休息をもらっていてよかったです。
ところで、線路沿いに咲いていた白い花を、母がずっと「なんていうお花やろ」と気にしており、「写真撮ってネットで訊くわ」と撮ってみたものの走る電車からの撮影なので白い点々にしか写らずでした。何ものかご存知の方教えてやってください。