会津旅記(8)会津鉄道、ねこ駅長、大内宿、無理ゲー蕎麦

会津街なか観光の翌日は、もう一日市中を散策するもよいかな?と思ったものの、思い切って会津鉄道で大内宿まで足を延ばしてみることとしました。

結果的にこれは、母も喜んで、大変よかったです。天候もよかったしね。

 

大内宿は自家用車が一番アクセスしやすいようですが、私も母も免許がありません。会津若松から電車で行くとなると、会津鉄道湯野上温泉駅まで行き、そこからはバスになります。広田タクシーという会社が運営する猿游号というバスがありまして、これが湯野上温泉駅から大内宿まで1時間に1本程度運行しています。会津鉄道+猿游号の格安切符があることを知り、会津若松駅の観光案内所に求めにゆきました。この会津若松駅観光案内所ですが、超丁寧で親切でした!! 置いてある飾りとかも可愛いし……。大内宿の行き方よくわからず不安やったんですけど、会津若松駅観光案内所最高!

 

 

会津若松はJRの駅ですが、会津鉄道が乗り入れており、乗換なし40分ほどで湯野上温泉駅へ行くことができます。乗り場に着くと、めっちゃ可愛い電車が停まってました!

 

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動物さんがいろいろいて可愛い。調べてみると、会津田島駅にて、絵本作家・あべ弘士が書いた絵に地元の子供が色を付けたものだそうです。

 

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母の撮った写真はだいたい指などが写り込んでいます。


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列車の中もめちゃ素敵!

ボックス席にはテーブルがついており、そこにめいめい飲み物やお弁当や本を開けており、旅情がありました。リュックサックや大きなカメラを持った人たちが多かったです。街なかでは観光客をあまり見なかったので、観光客たちはここに集っていたのか!て感じです。

 

窓の外の風景は、街から郊外に、次第に緑と渓谷へと移っていきます。低い木の広がっていたここは果樹園でしょうか。(母「靴下が黄色すぎる」。)


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湯之上温泉駅のいくつか手前の芦ノ牧温泉駅には、らぶさんというねこ駅長がいます。らぶさんのために途中下車すべき!? でも一時間に一本の電車やしな~~!! と悩んでいたのでありましたが、芦ノ牧温泉駅に電車が近づくと、電車の中からも見えるように駅員さんがホームのベンチに猫たちを並べ始める姿が……。お、おもてなし!

左がらぶ駅長、右がアテンダントさくらさん(と思われます)。

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猫たちは慣れた様子で駅長席(?)で落ち着き、電車が出ると駅員さんが手を振って見送ってくれる……手慣れたものでした。この駅はファンが多いようで、対岸のホームにはなんかものすごい足場を組んだ撮り鉄らしき人々の姿がありました。山の中の駅であるからもっと野性的な猫を母は想像していたようで、「なんか……想像してた猫と違うた! ふわふわやったわ……」と猫像を修正していました。

 

そして、湯野上温泉駅に到着。

ここも素敵な駅舎です。ホーム内も良いし外観も良い。屋根が茅葺きになっている駅舎は、日本でも珍しいようです(wikiによると、ここと豊後中村駅のみ)。

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ここも撮り鉄の地なのでしょうか……? ホームは電車の発着時以外は立ち入れないようになっており、線路沿いにはやたら「立入禁止」表示がありました。


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駅舎を出て傍らの駐車スペースから猿游号に乗ります。猿游号、一応予約をしておいたものの(ホームページから予約できる)予約の日付を間違ってしもうたのでどないやろ……と思うてたんですが、無事乗せてもらうことができました。ここの運転手さんもめちゃ親切でした。何度も書いてる気がしますが、この旅行で会った人はみんな親切でしたねえ。「どこどこの人は親切(or不親切)」とかいうんはあんま好きではないんですが、こんなええ人ばっかり会うとなんかそういう土地柄てあるんかな~と思うてしまいますわ。

 

***

 

バスで走ることしばらく。大内宿着いたー! バス停の前のお花がきれい!

 

空き地のようなところに見慣れん蝶が飛んでいました。 ゴマダラぽい模様? 飛んでるところを撮ろうと何枚も写真を撮りましたが、なんもない地面が写るばかりでかろうじて蝶の姿を捉えたのはこれだけ……(左端)。これ、なんでしょ?(ご存知の方ご教示ください)


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「モンシロチョウ?」「モンシロちゃうで、模様があるわ」「ゴマダラみたいや」「なんやろ」「写真撮ってネットで訊きよし」とか言いつつ蝶を追っているうちに、同じバスで来た人たちはお店の並ぶ通りへと去ってしまいました。われら母娘はいつもそうです。

 

 

大内宿のメインストリートはそう長くありませんが、両側に茅葺屋根の建物が並び(ちょうど屋根を葺き替えているおうちもありました)、それぞれ飲食店になっていたり、名物や民芸品や可愛い手作りの雑貨を売るお店になっていたり。水の流れる音が絶え間なく、その周囲にはお花がたくさん咲いて、風情ありつつ観光地として整備されたきれいなところでした。母はこういうところが好きなので、足を延ばしてみてよかったです。大内宿は、関東と会津を結ぶ街道の宿場町として江戸時代に栄えたそうです。

 

 

立派なお花。向かいに蕎麦屋。とにかく蕎麦屋がいっぱいあります。

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水路のほとりで冷やされラムネ。


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犬看板かわいい。横道を入った奥には神社がありました。

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急いで道を横断していた毛虫。

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せせらぎに沿って咲く芝桜を見て、母が「昔うちの縁側の庭にも芝桜が咲いてた」という話をしました。母は子ども時代に住んでいた家の話をよくします。私も知らない家です。

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街道の突き当りには見晴台があります。嬉しがりなのでてっぺんまでのぼってみました。ここからの写真がよくパンフレット等に使われるそうです。

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見晴台への階段はなかなか急。私はこの旅行の間中ずっと膝を傷めていたので、ガクッとならんようかばいながら、かっこ悪い姿勢で上り下りしました。(膝を傷めた理由はリングフィットのやりすぎ。後日寝たら治りました。)

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見晴台の麓には、「村内安全」と書かれた柱や、お地蔵さんや石塔があります。手のいっぱいある人もいました。これは道祖神


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たくさんお店があるのでお昼をどこで食べるか悩みましたが、バス内でお餅券をもらったお店に行きました。陽気なお母さん二人が切り盛りしてはって、この日は通りに面した窓から風が吹き込み爽やかでした。窓からお客さんを呼びこんでちょっとしたお土産物やお菓子を売ってはりました。

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広い座敷に神棚とお仏壇があり、ご先祖らしき人々の写真が飾られていました。子供の頃に遊びにいった「ちょっと古くて立派な友達のおうち」て感じです。京都にもこんな感じのおうちがあったなあ。寄せてもらうとちと緊張したやつですね。隣の席に座っていた人はガイドブックかなんかの取材の人のようでした。

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この油絵の方が接客してくれたお母さん。

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湯のみが可愛い。好きなんを選んで茶を飲みます。桜模様のやつにしました。

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バスでもらった餅券で栃餅をサービスしてもらい、餅欲を満たせました。私は餅好きであるので、この旅では良い餅々に出会え満足でした。

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そして、名物「ねぎそば」を頼みました!

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箸の代わりに葱で食べるというものです。

母は「そんな時間かかるもん頼まへんわ」と無難にきのこそばを頼んだのでしたが、私は嬉しがりなので名物は一応試してみたいではないですか。しかしこれは、「時間がかかる」とかでなく、無理ゲーであることが分かりました。誰がこんなん思いついたんや、絶対最近適当に思いついたやろ……と思ったのでしたが、話によると、子孫繁栄を願う昔の風習をふまえているとのことでした。

私の華麗な葱さばきを見てください。

 

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ちなみにお味はフレッシュで爽快! 美味しかったです。しかし最後4分の1くらいになると、急に口全体が辛くなってしまったのでした。

 

***

 

蕎麦をいただき外に出ると、各お店の人たちが水路の周囲に水を打ったり掃除をしたりする時間だったようで、活気があってよかったです。大内宿の店々は、若い人もいたけれど、年配の人たちが元気でええ感じやなあと思いました。「暮らしの資料館」を少し覗きました。

 

昔の蓄音機?

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これは展示品でなくて単に備え付けのゴミ箱ですが、古い道具の中にあるこういう「中途半端に古いもの」が好きです。


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大内宿、できればもうちょっと散策したかったですが、なんというてもバスが一時間に一本であり、他に「塔のへつり」にも行きたかったので駆け足観光で再びバスに乗ることに。なぜか最後にバタバタと、民芸品店で50円の菜箸を買う私と母……。なぜ? 母は小さい箒も買っており、あとで

「なんでこれ買うたんやろ?」

と自問していました。

 

***

 

猿游号(記念の絵ハガキをもらえました)で再び湯之上温泉駅へ。塔のへつり行きの切符を買います。塔のへつり駅無人なので、ここで往復切符を買わねばなりません。駅の窓口と売店は少ない人数で回していて、アトホームな雰囲気ながらもバタバタと忙しそうでした。空気よまず花豆タルトとくるみようかんを買う母。

 

電車が来るまで小一時間あったので、駅の周囲を散歩しました。

すごい風景。こんなところに混浴露天音泉がありました。野生の温泉街って感じでした。入ってみたい~。

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この「とまれ」看板、なんかかっこいい。

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山と線路。これは撮り鉄が集うのも分かります。

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駅舎の傍らには足湯もありましたが、タイツを穿いていたので断念。残念。

駅内の待合で電車を待ちました。関東方面から小旅行中らしき人たちが、互いに話しかけて仲良くなっていました。よろしなあ。

駅舎の中にも古い看板などが飾られており、THE観光地の駅感と素朴さが混じっているのもよい。このテーブルとか、さりげなく置かれているけれど、すごく立派なやつなのでは??


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待ち時間が長いためでしょうか、本もたくさん置いてありました。


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ドラゴンボール』が3巻、8巻、22巻……みたいにまばらにあるのがなんかよかった。『るろうに剣心』は全巻ありました。そういえばこの漫画にも、維新で苦労してきた会津の女医が出てきたな~と思い出しました。るろ剣は大人になってから読むと(流行ってた当時も途中まで読んだが志々雄の部下が多すぎて挫折した)、少年漫画的な荒唐無稽要素に満ちている一方、「明治維新はいろいろろくでもなかった」ということがわりとちゃんと描かれていて驚きました。

 

 

電車が近づくとやっとホーム内へ入れてもらえます。ホームも植木鉢とか置かれてていい感じ。


そしてホームにあった貼り紙で、赤べこの衝撃事実を知りました。

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要約すると、「昔会津天然痘が流行したとき、子どもに赤べこの人形をもたせた。すると子どもは病気にかからなかった。赤べこの斑点は、その子の病を引き受けた跡」

赤べこのぶちって疫病の斑点やったんかー!! 知らんかった!