すごく久しぶりに磔磔でピーズを観ました。ちょっと(だいぶ?)前の話になりますが、幸せだった時間はできるだけ記録するぞ、ってことで記録しておくのです。
この日はわけあって大量にカヌレを買って京都に行き(その理由は私事と関わるので――まあこのブログに書いていることはすべて私事なのですが――省略しますがいろいろ最高かつ最悪な理由であったので自分用に記録しておく次第です)、鴨川を歩いて磔磔へ。磔磔でピーズを観るのはいつぶりでしょうか。しかも、フルバンド形態のピーズを観るのはすごく久しぶり。私は「ライブにそのバンドのTシャツを着ていく」ってのがなんか恥ずかしくてほぼしないのですが、今回ばかりはピーズTを着ていきましたわ。
ピーズは、開演前の雰囲気がもうなんかいいですね。武道館の開演前にも思いました。別に和気藹々ともしてないし盛り上がってるわけでもないんですが。むしろ、どことなく脱力した感じが漂ってるのが好きです。みんな日々ダメなこととかつらみとかありつつ、でも音楽が好きでここに来てるんやな~っていう、哀愁とゴキゲンさで既にふわふわしてる感じ。スタッフさんもええ感じでした。コロナ以来、諸々の注意事項伝達が厳しくなりましたが、そんな中でも「本日はカメラが入っております、皆さんの姿が写ってしまうかもしれないので、各自でなんとかしてください」という適当なアナウンスが最高でした。
開演前にはDr.Feelgoodが流れてて既にいい感じであり、直前に珈琲飲んだのでめっちゃトイレ行ったんですがそれすら愉しく、入場SEもお約束的な演出もなんもなしではるがフツーに設営係みたいにひょいとステージに上がり、ゆるっと始まり、もうその時点で最高潮。
開演前の月
この日は最前列に陣取れて、眼前でアビさんの手元が観られて感無量でありました。なんか同じこと何度も書いてる気がしますが、アビさんて職人的でありつつ、ライブ観ると意外なほどギターヒーロー然としていてわわ~となります。ピーズってはるのバンドというのがパブリックイメージやと思うけど、あーやっぱアビさんがいてこそなんやな~、というのが分かる。演奏面だけでなく、雰囲気とかも。アビさん帰ってきてくれてよかったなあ。
そしてその横に立つはるは、少年のような体型の56歳(だっけ)で、フニャフニャしたなんともいえん感じの人で、「あーしかし、しんどかった頃にいつも救われたあの曲も、ずっと聴いてるあの曲も、この人が作ったんやなあ」と思うと、いつもふしぎな気分になるのです。
ポワンポワンした歌唱法が、突然咽喉が覚醒したようになるのも、あ~はるやな、と思って凄かった。大病から復帰してほんまにすごい。最前列だと逆に、顔面をジッと見るのは憚られるが、ときどきその目の光が見えて、はるはこんな感じやけど厳しい人なのだろうなあ、と思いました。
4人編成になってからは生で見るのは始めてでした。
新しいベースとドラムは前に配信で観て、そのときはまだサポートぽい感じでしたが、今回は雰囲気もひとつのバンド!て感じで、ばっちりでした。ドラムのもぎさんはすごく若いけど、最初は淡々として突然取りつかれたようになる叩き方がかっこええ。ターン!て音が気持ちいい。アンコールで、「Theピーズはこの4人でピーズとしてやっていく」とバンド名微変更宣言があってちょいびっくりしました(これまでもこの4人のときは「The」無しのピーズということでやってたみたいですが)。いちばんメインのメンバーであるはるが、長年担当したベースをギターに持ち替えたのもすごい。武道館のときの三人ピーズがあまりにも美しかったので、あのメンバーで観られないのはちょい淋しくはありましたが、でも音もちょいサイケでありつつまとまってかっこよくなってたし。ピーズって、活動休止したりメンバー入れ替わったりいろいろしながらもそやって転がって続いていくバンドなんやな~、そういう破れかぶれの続け方があるんやな、と思いました。
曲は新旧どれもよかったです。なんせ嫌いな曲がないのです。人気曲を惜しげなく前半にやるのもピーズらしい。かつ新しいメンバーでの演奏だから新鮮でした。
思い入れある曲はもちろん、それまでそれほどでもなかった曲が新たにかっこよく聴こえるというのはライブの醍醐味ですが、今回は、別にそんな思い入れもなかった「ノロマが走っていく」がすごいよくてブワーとなったのでした。
ブワーとなるときは、音の一粒ひとつぶ、詞の一言ひとことが入ってきて、ライブハウスの中で自分と楽器の音だけみたいになって、周りがなくなったみたいになりますね。「ノロマが走っていく」、武道館の一曲目でしたな。「戻らない人生も 半分はとっくだな」。
最後、「元気な曲で終わりたいけど、『脳ミソ』とかは飛沫が飛ぶから、一番気持ち悪いやつで」つって「映画(ゴム焼き)」始まったの最高でした。これも何度も書いてる気がするが、私はゴム焼き大好きなのです。でもきっとピーズ好きな人はみんな好きなんでしょうね。しんどいときにずっと聴いてたしんどい曲のはずなのに、ライブで聴くとポワポワとしあわせな、ご褒美のような曲になるのはなんなんでしょうね。去年末は、自分はなんも生み出さないしなんかもういなくてもええな、とか思うことが多かったのでしたが、他人の生み出したものの甘みをこうして吸うてるだけでもこの世におる意味あるな……とかいう気持ちになりました。なんだそりゃ。
新しいミニアルバムも買いました。「サバーイ」「さらばボディ」「充電音頭」「ベロチュー」「新型コアラ」。新型コアラて。どれもよかったです。特に「さらばボディ」は弾き語りで聴いて以来音源化を待ってたので嬉しいなあ。歌い出しがもう最高やし、これから病気したりいろいろダメんなったりしても楽しんでこう、生きてゆこ、と思えます。