ナメちゃんと京都拾得でフラカンを観たんだよの巻

フラカンが好きやという話は前から何度か書いてるんですが、彼らが例年、夏〜秋に回る「フォークの爆発」というライブツアーがあり、普段と違って、座って演奏するのを座って聴ける、アコースティックのライブなのです。
古い曲も演奏してくれたり、カヴァー曲をやったり、諸々なごみがあったりで好きなのですが、なぜかこのツアー、毎年ことごとく仕事とかぶって滅多に行けず (うち一度はやっと休日に重なったと思いきやイベンターのミスでライブ自体が中止になるという珍事)。
そんなこんなだったので、今年は例年の仇をとるかのように3回行きました。神戸、京都、大阪、とどれもよかったのですが、とりわけよかった京都の思い出を記しておきたく。


フォークの爆発は毎回、いつものライブハウスとはちょっと違う会場を使うので、それも楽しみのひとつであります。神戸はクラブ月世界、大阪は味園ユニバースという元キャバレー的なところで、そのレトロなキラキラの中であんまキラキラしてないライブを観るのもまた楽し。京都は、西陣の古いライブハウス・拾得でした。


↓神戸月世界。普段こんなところ来たことない……!


なぜか南国の絵。



↓こちらは味園ユニバース。宇宙になってる。レトロなケバさは初期フラカンの世界観にもぴったり。


宇宙空間に座布団敷かれてるというシュール。




それで、これが拾得。
磔磔と同じく酒蔵を改築した建物に、寒山拾得の看板。かっこいい!



拾得、古くからの有名なライブハウス(……ってのもなんかしっくりこないな、正式には「コーヒーハウス」)なのに、実は来るのん初めてでした。
しかし中に入るとすごいホーム感。昔の実家を思わせる土間を上がっていくと、これまた昔の実家を思わせるような町家造り、大きな木のテーブルとがっしりした石の椅子は、学生街にこんな飲み屋よくあったなアって感じで、だらだら飲み食いしながら開演待ちできて最高や〜。街中のライブハウスのピリピリした雰囲気でなくて、ゆったり音楽を楽しむ感じ。70年代頃の京都の雰囲気が感じられ、あー自分が「懐かしい」って感じるのはその時代の京都なんやなあと思いました。
周囲は西陣の住宅街が広がっていて、拾得もふつうに民家の並びにあります。拾得に着いたときはまだお昼でしたが、見慣れた昼間の京都の街にリハーサルの音が響いていて、その様子だけですでに感動……。「拾得の向かいの読売新聞がうらやましい」とか言い出す私。
なお、周囲は純然たる住宅街でお店などは見当たらず、早く着きすぎたわれわれは開演まで延々丸太町イズミヤで過ごしました。他にも拾得行くっぽい人々がイズミヤに集結してました。


そして今回のライブは、旧友・ナメちゃんとともに見られたのも感慨深いことでありました。
ナメちゃんとは長年――それこそ20年近く――フラカン観にいこうと言いつつなぜか機会がなかったのでありますが、今回やっと観られることになったのでした。
ちなみにナメちゃんは当ブログ最多登場人物と思われますが、彼女を知る人は誰もが「癒しキャラ」「いてくれるとなごむ」と評するそのなごみオーラに反し、フラカンで好きな曲を尋ねると「エンドロール」(※2012年に発表された、彼らの曲の中でもヘヴィーなナンバー) と即答する謎人物でもあります。


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この日の演奏は終始重厚で、演者もテンション高いのにくつろいだ雰囲気で、ただひたすら幸せな時間を過ごせました。
曲の途中でチューニング狂ってるのに気づいてやり直したりなど、適度な脱力加減もホーム感あって良し。なごんだ雰囲気のMCの度に、ナメちゃんが爆笑しているのもよかった。
「リハが終わってから珈琲飲みに行ったけれど、周囲に何もなくてイズミヤで時間をつぶした」「イズミヤの二階はくらしのフロア」というMCで、客も演者もイズミヤに集結していたことが明らかになりました。いっそイズミヤでライブすればよいのでは。


フォークの爆発では、普段あまり演奏しない古い曲もやるんですが、これまであんまりよく聴いてなかった曲もじっくり聴いて、嗚呼、自分はこの人たちの作る曲が全部好きやなあ、としみじみ思いました。
個人的に嬉しかったのは(というか全て個人的に嬉しかったことなのだが)、超久々に「ブランーニューエアコン」を聴いたことでしょうか。2011年のライブでフェイントかけておきながらやらなんだので、めっちゃテンション上がってしまった。メンバーもこの曲気に入っているのか、座ってたヴォーカル・圭介が立ち上がって歌い出してました。

他、フォークの爆発ならではのことといえば、ドラム・ミスター小西の歌謡ショーコーナーがあること。MC中に消えたかと思うや着替えて再登場した小西氏が、客席を駆け回ってヒロミ・ゴーを熱唱するという謎の演出……。 フラカンは名曲を生むロックバンドであると同時に、こうしたダサいレトロさが似合うバンドでもあるのです。
狭い会場なのでわれわれの前にも来てくれたのですが、初めて観るフラカンのライブで、目の前でヒロミ・ゴーを歌われるナメちゃんって一体……。
とりあえずナメちゃん、嬉しそうに 「おっくせんまん おっくせんまん」 をやってたのでよかったです。


終盤は、名曲の連発で、演奏も圧巻でした。
リハで漏れ聞いた「アイムオールライト」は、「生き続けてることは最大のメッセージ」という言葉がグサグサ刺さるようであり。圭介は、前列のテーブルに飛び乗って(靴はちゃんと脱いでいてお行儀良い)歌い、ふつうのお兄ちゃん(おっちゃん)なのにロックスターに見える、こういう瞬間が彼らのライブの好きな瞬間やな、と毎回思うことを思いました。
20年前の曲、「元気ですか」は、未来の自分にメッセージを送るという詞なのですが、あの頃の未来に自分はいるんだなあ……とSMAPのようなことを思ってふしぎな気持ちになりました。とりあえず(あの頃の)未来の自分、友らと好きな音楽を聴けてこの瞬間幸せでよかったのう。
曲の途中で圭介が喋り出したのでぎょっとしたのですが――20年前のライブ時、バンドをやめようと思っていた彼がこの曲の途中で「今までありがとう」的なことを言い出したことがあったのだった――20年前とは打って変わって、
「俺たちは死なないぜーー! 病気にはなるけど死なないぜ!」
「20年後もやってるぜ!」
というお言葉であったので、嗚呼、20年やっててくれてよかった〜!! と思いました。こういうでかいことを言い出すときって、やってるほうも気分のいいライブなのであろうなあ! 20年後、どうなっているのか。彼らもだがわれわれも、元気でいてくれますように、と昨今切に思うのであります。
さらにこの日はダブルアンコールもあって、「東京タワー」でした。さっきは 「死なないぜ」 と言ったけれど、「いつか死ぬぜ、神様はいないぜ」 と歌う曲です。最後のこの曲では、バンドのグルーヴというのか、それがもうこの場と相俟って、客たちのくつろいだ雰囲気や客席・ステージが一体となるような雰囲気とも相俟って、最高の演奏でありました。







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終演後、普段ならすぐ帰るけれど立ち去りがたくその場でダラダラしていると、楽屋から出てきたベース・グレートマエカワに遭遇、ナメちゃんは「ずっとライブに来たくて今日初めて来れたんです!」と訴え一緒に写真撮ってもろてました。ナメ&グレートという、わたくし的に二大グレートな人物のツーショットを得られて勝手に満足しました。更に圭介氏も出てきて、ナメちゃんは買ったばかりのその著書にサインを求めたものの、既にサイン本であったので同じページに同じ人物のサインが二個並ぶという珍事を発生させていました。素の状態の圭介は、目尻の皺がエエ感じのシャイな人って感じ(目を合わせてくれない)で、(目を合わせないまま)握手してもろたナメちゃんは「手が暖かかった……!」とポワワーンとし、私はナメちゃんがポワワーンとなっているのを見るのが好きなので、ええもん見たと幸せな気分になり、全員満足して西陣の夜道を帰りました。
駅までの道で一同、今日のライブの感想やこれまでのライブの思い出を語り、なんだか音楽好きの中学生時代に戻ったようで、よいライブは人を幸せにするな、と思ったのでした。
ナメ&グレートのツーショット写真を後で確認したところ、ナメちゃんは盛大に目をつぶっており、「さすがナメ……!」という思いを新たにしました。(ナメちゃんは目つぶり王であり、これまで撮った写真のうち6割くらい目をつぶっている。)