GWの思い出(1)〜ポール・マッカートニーと南青山総本部跡地


あんましGWとか関係のない生活ではあるのですが、今年は東京へ大型お出かけをしました。
ポール・マッカートニーを観ました!
ポールルルルル! 来日のたび未遂していたので、やっと観ることができてよかった……!




当初、普通にコンサートを観るだけの予定だったのですが、お会いした連れの友人が「追っかけが趣味」という人であったので、追っかけについてゆくというレアな体験もすることになりました。
ポールが泊まっているというホテルに着くと、ホテルの前に人がぎっしり!
最前列の人は朝6時頃から粘っているのだそうです。おしっこはどうしているのでしょう。以前、雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』を読んだとき、追っかけの女の子たちは野外で用を足すのが上手くなる、という話があったなア……とどうでもいいことを思い出したりしました。




ホテル前はとても近づけなかったので、離れたところで待っていると、しばらくして、ホテル前の人ごみから「キャーーー!」というどよめき、で、レクサスに乗ってポール登場!
まるで皇族のように手を振りながら目の前を通りすぎてゆくポール……。
あのビートルズの人が目の前数メートルのところにいる……? 同時代人なのだなあ! という感慨を覚えつつ、手をふりふりすると、ポールが私に手を振り返してくれた(ような気がした)ではないかー!


↓シャッターを切ったものの既にポールの車は通りすぎ、後続の車が中からわれわれを撮っているというそれはそれでレアな写真が撮れてしまった。モザイクを入れていますが、対岸からも人々がポワワ〜と眺めています。




この後のライブもなんとも不思議な気持ちでした。
A Hard Day's Night で始まり、またも「おお、ハードデイズナイトが目の前で演奏されている……同時代人なんや……」という感慨で既にうるりとしたのですが、驚いたのは、ビートルズ以外の曲もすごくよかったこと。ウイングスの曲や最近の曲は全然知らずに行ったのですが、かっこよかった!
ジョンに捧げた Here Today の次に歌った最近の曲 New が特に良くて、生き続けるとは!と思いました。

ビートルズの曲では、思い入れのある The Fool on the Hill が聴けたのがよかったなあ。 I Saw Her Standing There では、74歳のポールが She was just seventeen と歌うのにぐっときましたよ。
それにしても、昔の自分の映像や仲間の映像を背景に歌うのはどんな気持ちなんかな、と思ったりしました。まあポールにとっては別にいつものショーの一部なんでしょうが……。

ライブはあっという間の夢のような時間であり、終わった時点でまだ1時間半くらいしか経っていない感じがしたら3時間も経っていてびっくり。その間、ポールは一度も休憩を入れず、水も飲まず、ギター、ベース、ピアノとくるくる楽器を持ち替え(いろんな色のギターとなんかサイケデリックなキーボードがよかった)、歌い続けていました。声量も素晴らしい。
人を喰ったお茶目さは若い頃と変わらんようでした。以前、急病で来日ライブが中止になったときも、ポールは「また来るよ〜」みたいな全然悪びれぬ様子だったのを見て、「いろんな人に迷惑かけたんやからもっと申し訳なさそうにしろよ!」と言うてた人もありましたが、ポール・マッカートニーにまで申し訳なさそうにさせるような世の中ならつまんなすぎるよ!



その翌日は、ふつーに観光して帰る予定であったのですが、その追っかけの人から「一緒に走りましょう!」と皇居ランかなんかにでも誘うかのように誘われ、またも追っかけについていくことに!
前日は走って追っていた人はほぼいなかったのですが、この日は「ポール〜!!」と叫びながら車を追いかける集団が発生し、「これ、ビートルズの映画で見たやつや!」と思いました。
わたくしめにポールが親指を立ててくれた(ような気がした)よ〜〜。




私(超・足が遅い)もぼてぼて小走りについていったのですが、沿道の通りすがりの人たちが 「何事?」「ポールって言ってる!もしかしてビートルズの?」「うおおおお!」と一緒に追っかけ始めたり、ホントに映画のようでした。
可笑しかったのは、「誰が来てるんだろう? 追っかけてる人みんないい年だけど…」という声が聞こえたこと。たしかに、自分の親世代の人々が狂乱して警備員に怒られてる様子ってなかなか見ないので、いいものを見ました。

これまで、スターに接近しようとする欲求ってあんまりわかんなかったのですが、ちょっと追っかけの気持ちとその楽しさが解ったのでありました。
「追っかけが趣味」の彼の熱弁によると、「コンサートでは米粒くらいにしか見えない人が、すぐそこにいるんですよ!」「人生で最大にポール・マッカートニーに接近した瞬間でしたよ!」。たしかに……。リバプールの音楽好き少年だったポールと、京都でのこのこ暮らす私が、今ここですれ違える不思議よ!


***


話はぜんぜん変わりますが、東京ではもう一カ所、思い入れある地を訪ねました。
オウム真理教南青山総本部跡地です。
95年、報道陣が毎日のように押しかけていたあの建物です、これは一度見ておかねばならないと思いつつ、アクセスも微妙な場所なので決行できずにいたのですが、今回近くまで来たので行ってみました。
ここを「思い入れある地」なんぞと呼ぶのは、一連の事件の悲惨さを考えれば不謹慎でもあり、またいろいろ誤解を招くところでもあるとは思うのですが、オウム事件は私の中でいろいろなものが目覚めた事件であったので、こうしか表現しようがありません。

表参道駅で降りて、しゃらくさい……いや、洗練された街並みを歩きます。
住宅街のゆるい坂を降り、交差点にさしかかるところがその場所でありました。
もっと郊外だと思っていたので、落ち着いた高級そうな住宅街の只中であったことに驚きました。




今は残念ながら建物は取り壊され、空き地になっています。
ガラス張りのせいか、TVでは巨大な建物に見えていましたが、意外に狭い敷地であったことに驚きました。




隙間から覗くと、僅かに外周のタイルが残っているのが分かります。




鉄板でフタをされたところは、地下の「アンタカラ」への入口だったところでは?




水道のシールが落ちてました。(連れが「記念にもらっていったら?」と言ったが遠慮しました。。)




対岸に渡って撮影するとこんな感じです。隣のマンション(当時さぞ迷惑だったことでしょう)とフツーに密着していたことに驚きます。こうして地域の中にフツーにあの建物があったのだなあと。
ここは村井秀夫刺殺事件の現場でもありますが、あのような惨劇はなかったことのように、うららかで優雅な春の住宅街の貌でした。




驚くべきは、この交差点の広さでした。
上の写真では分かりにくいかもしれませんが、この交差点、TVで観て想像していたよりもずっと狭かったのです。TVの映像の多くは、最も広角に見えるところ(おそらくこの写真と同じ場所)から撮られていたのだと思います。あんなに狭く、閑静な住宅街に、あれだけのマスメディアが押し寄せていたのかと驚きました。
何でも実際に見てみなければ分からないことがあるものですね。本来であれば、建物が建っているうちに行くべきであったのでしょうが、それでも行くことができてよかったと思います。