台湾のパラダイス!金剛宮への道【中篇】


【前篇】 より続き。(ちなみに今回の記事が当ブログ666番目の記事です…。)


とにもかくにも金剛宮の門をくぐってしまったわたしたち。そこにはこのような光景が広がっておりました。



わけのわからん極彩色! …だが、隣の建物はごくふつう。そしてだだっ広い空間には誰もおらず、あまりにも閑散!
こ…これは…… 淡路島なぞのパラダイスに降り立ったときとまったく同じ気分!!
まさに台湾のパラダイス!

こんな像がお出迎えしてくれます。




入口のようなものが複数あるので一瞬迷いましたが、向かって左の、何かの口のようなものの中に吸い込まれていきますと、長い廊下があり、両側にいくつもの銅像が立っています。
どれも、儒教の教訓的な孝行話の一場面を描いたもののようです。


これは「鹿乳奉親」という故事の一場面。



親のため鹿の乳をもらおうと、鹿の皮をかぶって鹿の群れに突入し、猟師に射られそうになった男の話だそうですが、どう見ても、クリスマスの扮装です。

そしてこちらは「乳姑不息」。(※乳系が多いわけではなく、単にわたしが乳系をセレクトして撮影しただけです)
お嫁さんがお姑さんに乳を与えています。事情は不明。






この時点で既に 「もう帰りたい」 と言い出す母……。


さて、この廊下から建物に入ると、受付があり、男の人が出てきました。
「コンニチハー」と挨拶してくれたおにいさんの手元には、「悠好→KON-NI-CHI-WA」などという具合に、中国語と日本語を対照した紙が握り締められていました。どうやら日本人観光客も一定数は来るようです。
ここでパンフレットをもらいました。パンフレットには、

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石門の観光名所、
山に寄せかけ・海に周れ、
金剛宮が世間の無数を教化;
綺麗な北海、人間の浄土、
儒教、仏教、道教バラモン教が共存し、
新たな済世観を展開します

社会教育の機能を提唱し、公益活動を行え
弱い立場の人々を支援し、宗教文化を清め
神仏が世間の人々を愛する精神を果たします。

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とあります。(原文ママ
そして、手招きで案内してくれたところが、早速、メインの四面佛の間。



お分かりでしょうか、お顔が四つついているのです。
その人に説明してもらったところによると、仏さまのそれぞれの面が、「1.平和」「2.恋愛」「3.お金」「4.健康」を司っているそうです。上の写真は平和の面。「功徳箱」に、お賽銭を入れておきました。
なお、パンフレットによると、四面佛の解説は以下。

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「四面仏」とは民間の俗称で、道教で祭られている「圓明斗姥天尊」のことをいう。
玄元一気の象により、無極から生まれた太極となりに応え;
日月両輪を持って、陰陽像の両輪に応え;
八本の腕は八卦を表し; 四つの頭は豪放磊落な四つの象を表し、
その四面は福、禄、寿、喜を表しため、
四面仏という尊称を与えました。

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この部屋のメインはもちろんこの四面佛なのですが、周囲にもいろんな像(あるいはいろんなオブジェ)が……。

なぜ、くま?




真ん中のは日本でもよく見るタイプの仏像ですが、両脇の童子はあまり見かけない。
そしてツルとカメ。




おにいさんは、日本の雑誌をもってきて、「ここに載ったんだ」という様子で頁を示してくれました。「珍スポット特集」みたいなやつでしたが、すごく誇らしげでした。そして、その頁の珍写真の数々を指し、「これらが奥にあるから見ておいで!」と送り出してくれました。何を見にきたか、よくご存知でいらっしゃる……。
だがこの後わたしは、本やネットで予習していた以上の奇妙な世界に出会うこととなるのであった…。



像が並ぶ階段を上がっていきます。



階段を上がったところには、広く長い廊下がずどーんと奥まで広がっています。廊下の中央の柱沿いには、椅子がたくさん(100脚はあった!)並べられていることから、行事の折にはそれだけ人が集まるのかと思われます。 しかし、今、人は、誰もいない。広い空間にいるのは、私と母と、小部屋で宝船のようなものを磨いている男性のみ…。
そう、廊下沿いにはいくつもの小部屋があり、部屋の中では、さまざまの世界が展開されておりました。




廊下を進んですぐの小部屋。
何組ものご夫婦の写真と、その胸像らしきものがずらーりと並んでいます。設立に協力した人とか寄付した人とかなんかそんな人たちなのでしょうか。





これは何の間でしょう? きらびやかな教室(?)の中、いかめしげな人がたくさん座って、教壇(?)の人の話を聴いているようです。
教室の後ろには、授業参観の父兄のような人たちの像が…。







そして! 「千手千眼佛」!! これはすごい!! 後ろの光背のように見えるのは、手 です。ちゃんと千本ある……!?(数えていませんが。)




こちらは天井を突き破って吹きぬけに立つ巨大像!





巨大像はいくつかあるのですが、これは「媽祖」像です。媽祖を祀っているところは、台湾では他にもいくつかありました。
今調べてみると海の神様なのですね。中国の神様とばかり思っていましたが、日本にも媽祖信仰は伝わっているようで。
それはそうと、足元のダッシュポーズの人たちの形相と顔色がすごいです。



そして……
廊下の柱を隔てて反対側には、ずらーりと並んだ 「六十甲子太歳」像。
これは今調べたところによると、60人の神様(将軍さま?)が、甲子のそれぞれの年を司っている、というものらしいです。
像はどれも原色、妙につやっとして、かつチープなデロリ感を醸しており、日本の大パラダイサー・浅野祥雲の像を思わせます。これは全世界のパラダイスに共通する傾向なのでしょうか?




それから……
そのデロリ像を一人ずつ見ていくと…、



こ これは……



どーん!
いらっしゃった!!
目から手ーーーー!!
こんなのはじめて!!

実はわたしは、金剛宮を訪れるにあたって、この方に、最もお会いしたかったのです。
ネットで一目見て、「なんと奇怪な……会いたい!!」と思っていたのですが、実際見てみると、意外に小柄でいらっしゃる。
さりげなく他の将軍像の中に紛れつつも、窓からの光が差すよい場所におられます。
衝撃的なお姿ながら、写真で見るよりも、どこかかわいらしい!!

てのひらに目玉がっ。






これも、後で調べたところによると、この人の造型は『封神演義』のエピソードが元である模様。
殷の王様の腐敗を諌めたばかりに、目をえぐられた人が、仙人にもらった薬を飲んだら目玉のついた手が生えてきた、というお話のようです。ふつーに目ェ生やしたれよ… という気もしなくもありません。
(参考:Yahoo知恵袋―甲子太歳金辨大将軍について教えて下さい。)
香港の珍寺・萬仏寺にもこの人がいらっしゃるそうで、ここにも行きたい!!

さらに、Tシャツも出ているようです……。


この時点ではそんな背景も知らぬ私は、この珍妙さにとかく圧倒されるばかり。何度見ても、目から手。何度確認しても、てのひらに目。
母に、記念ツーショット写真を撮ってもらいました。



カメラを持つ母は、もはや悲しげでした。

だがわれわれはここから更に、奥へ進んでゆかねばならぬのです…!


(後篇に続きます。)