台湾のパラダイス!金剛宮への道【完結篇】

後篇】よりつづき。
※これまでのあらすじ: 台湾北端のパラダイス・金剛宮で、さまざまな衝撃的なものに出会った母娘。そしてわれわれは、最後のアトラクション:「天国地獄」に足を踏み入れようとしていた……



これが1階・地獄です。洞窟のようになった長い廊下に地獄の風景が広がっています。この時点でだいたいどんなものか予想がつきますね。
閻魔大王的なものがいて、虎のぱんつをはいた鬼がいて亡者に責苦を与える… という地獄形式は、日本オリジナル地獄なのかと思っていましたが、そうではないのですね。
地獄というのはもうそれだけで、パラダイス化しやすいモチーフなので、期待が高まります。




閻魔様的な人びとは随所に鎮座しており、その前にそれぞれ判決を下されたらしく亡者がいます。
そしてなんと! 人が通るとセンサーで閻魔様の前の明かりが点灯し、罰を受ける亡者の様子が赤く照らされる というまったく無駄な仕掛けつき!!





これがその亡者たち!



この表情、引っ張られる髪…… 無駄にリアル。
さらに…


心臓を取り出されている!?




内臓を犬に食われている!?





スケキヨ!!





腸!!






ひー!!





そう、地獄再現系アトラクションは、パラダイスのテッパンなのです。
パラダイスはなぜか、SM的なものと親和性が高いのですよね。(その代表が鳥羽SM……じゃなかった、鳥羽SF未来館でしょう。)
訓話の仮面をかぶって(ぜんぜんかぶりきれていないが)、猟奇的興味やサドマゾヒズムを満たすという、これ完全に、衛生博覧会−秘宝館の系譜なのですな。この系譜は世界的なものだったのか…?

この地獄を作った人が(一体誰が、何人で、何を考えて作ったのか…)完全に愉しんで作っていることは、亡者たちの生き生きとした表情を見るだけで分かります。



針山にされた亡者たちと神様的な人の涼しげな表情の対比。
うう…






ちょっとかわいい動物たちの像。
輪廻を表しています。
象は「貴」。円盤の上には虫けらたち。







地獄のつきあたりには二階へ上る階段があり、二階へ上ればそこは極楽で、いちおう救いが得られる順序になっているようです。
しかし、地獄に比べてなんだかおざなりな作りであることは否めない。極彩色の廊下に、有難げな像が並んではいますが、地獄でがんがん感ぜられた作り手の熱がまったく感ぜられない!
亡者の真に迫った表情からしょーもない仕掛けにいたるまでの地獄の気合の入り具合に比して、とりあえず有難いもん並べときました、的な。





↑いちおう四面佛もいました。が、地獄を見た後では、ふーん… という感じ。あと、向こうの極楽は仏様じゃなくて将軍っぽい像が多いのがおもしろいといえばおもしろかったです。


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では、後はもう出口へと引き返すだけ。
しかし引き返す道にも両横にさまざまなデロリ像がチカチカ……。



「七星橋」の巨大なおっさんたち





ソバージュのひげの神さま



※この写真は母のゴミクズを見るような眼差しが最高なのですが、
残念ながら修正入りでお送りします。



椅子ずらーり。こんなに参拝客が来ることがあるのか?





なんか西洋風の女神様






お金の神様らしき蛙氏。この人はよく見かけますね。






ガネーシャ








白い観音様(傾き気味)




やっと外に出て、変な空間から解放された母はうれしそうにさっさと門を出ていきました。滞在したのは1時間強ほどでしたが、実に濃い時間を過ごせました。
出たところの建物(事務所?)には、小さな犬が吠えていました。金剛宮の犬でしょうか。




バス停でバスを待ち、淡水に戻ります。バス停は海沿いなのでけっこう風が冷たい!! レトロな煉瓦の風よけがあり、なかなか風情のあるバス停でした。バスを待っていると、金剛宮の車が通りかかり、なんか笑いました。ちなみに、バス停からも、金剛宮の金ピカに輝く巨大像が通りの向こうに顔を覗かせているのがよく見えていました…。


満足する俺。





金剛宮の車が!!




バスで無事淡水に戻ることができました。実は淡水にも捜奇博物館という秘宝館的なところがあり、巨大虫や巨大イカ貞操帯や象のコンドームや宇宙人が展示されているというので是非行ってみたかったのですが、このうえ母に「秘宝館に行きたい」とはとても言い出せなかったのでした。
次回はこちらにも行こうと思います。
なお、この夜、母の日記には、「わけわからん変な場所、二度は来ない!」と記されていたのでした。






わたしはまたぜひ行きたいです! その際は、捜奇博物館と元祖十八王公の巨大犬像も見物したいと思っております。ではみなさま方、長らくのおつきあい有難うございました。【金剛宮旅記、やっと完】