台湾のパラダイス!金剛宮への道【前篇】


さて、今回の台湾旅行のメインは、わたしにとっては、「金剛宮」 でありました。

「金剛宮」とは、台北の田舎に建つ、台湾のパラダイス(桂小枝的意味における)として(ごく一部で)名高い寺です。
以前からネットや珍スポット本で見かけており、台湾に行くからにはぜひ行ってみたかったのですが、普通のガイドブックには全く掲載されておらず、同行者である母からは、
「そんな誰も行かない怪しげなところはいやだ!」
と却下されまくっておったのでした。

わたくしも、交通は面倒やし写真もネットで見られるし、まあええかなあ… と思うておったのですが、いざ台湾に上陸すると、「パラダイサーとして、ここまで来て金剛宮に行かないなんて!」 という心の声が聴こえてきた!
そんなわたしの情熱(?)に、母からもお許しが下り、そしてわれわれ母娘は金剛宮へ向かうこととなったのでした……。



以下、再訪するときのためのメモも兼ねて、金剛宮への道のりを記しておきます。
まず、MRT淡水線の淡水駅で下車。台北駅から約30〜40分でした。
淡水駅は淡水線の終点ですので大きな駅です。淡水は観光地で綺麗な雰囲気の港町です(が今回はスルー)。
ここからは電車はないので、バスに乗らねばなりません。



バス路線図:



一応、上記路線図を、台湾の交通情報サイトで調べてきてはいました。それによると、淡水駅で、淡水客運862・863のバスに乗り、新十八王公というバス停で降りるとのこと。
しかしバスの番号はときどき変更されるようなので(注:ネットでは1262.1263となっているサイトもありますが、これは以前の番号のようです)、念のため、淡水駅の観光案内所で確認しておくことにしました。


観光案内所には、少しだけ日本語のできる人がいました。
「新十八王公 公車862 863」 と書いたメモをに見せ、「ここに行くには、このバスでOK?」と尋ねると、その女性はわたしの問いには答えず、悪いことをした子供を見つけた母親のように眉をひそめ、「…何しに行くの?」 と問うたのでした。

ややひるみながらも、「こ、金剛宮……」 と答えると、彼女は更に顔を曇らせ、深刻な声音で、「……えっ」。 そして、「そこはね、ちょっと、……これなのよ」 とわたしのメモを奪い取り何か書いて返します。見るとそこには、

「 邪 」

という文字が!!

ひえーーー!!!


完全に怯える母。「い、行っても大丈夫ですか?」と尋ねておる。「それは大丈夫よ、でもね、オススメしない。バスに行くなら次のバス停の老梅というところはトテモきれいよ、オススメ。あと、絶対オススメは野柳!野柳に行くなら安いチケットがあるわヨ!」 違うところをプッシュし始めるおばちゃん……。
実は、老梅も野柳も行ってみたかったのですが、今回は時間の関係で、金剛宮にしぼらねばなりません。
「いや、今回は、とりあえず金剛宮だけで」
と言うと、彼女は、非常に納得いかない表情で 「そこ、どうして知ったの?」と訊くので、「日本の…本とかインターネットとか……」と答えると、

「信じられない!」

とのことでした。

いちおう注)金剛宮は、仏教だけでなく道教やその他ようわからんものも祀っているので、「仏教」に対する「邪教」の意での「邪」であったのではと思われます。


ともかくバスの番号は確認できたので、お礼を言って退出。バスは、淡水駅を出てすぐのところに沢山とまっています。幸い362番もとまっていたので、早速乗り込みました。
ビジネスマンぽい人や観光客も多かったMRTに比べ、バスは、いかにも地元人ぽいお年寄りや学生さんが詰まってわいわい喋っており、活気があります。台湾の乗物は飲食禁止と聞いていましたが、思いっきり弁当を開いてむしゃむしゃ食うてる人もいました。
台湾のバス停にはバス停名表示がないと聞いていたので、「到新十八王公站時候、請告訴我一声(新十八王公についたら一声かけていただけますか?)」と書いた紙を運転手さんに見せると、運転手さんも一瞬「うっ!?」という様子でしたが、「オーケー」と言ってくれました。
このサイトを参考にさせていただきました、ありがとうございました! ちなみに「十八王公」というバス停もあって紛らわしいので、「新」にラインを引くなどして強調しておくのがおすすめ。)

運賃は60元ほど?だったかと思いますが、悠々卡(イコカみたいなやつ)を使うと支払いの面倒がなくて良いです。多めにチャージしておいて、乗るときと降りるときにピッと通すだけです。


そして、席に座りいざ出発。
最初はわりと街中を通っていたバスが、次第に郊外に入り、大学の前でごっそりと学生を降ろすと、もう車内は完全な地元人だけ、周囲の景色もすっかり山の中です。



こんな景色が続きます。



「三芝」というバス停だけは、少しにぎわっていました。




母:「京都でいうたら岩倉…いや、花背かな」「なんで台湾くんだりまで来て花背に来んとあかんのや!」
いつもの、何でも京都で喩えねば落ち着かない病を発症していました。


山の中を抜けると、左手に海岸線が見えてきます。
母:「なんもないなぁ…滋賀の国道116号線ってとこかな」
頑なに近畿圏から出ようとしない母。

やがて、海岸沿いにこんな建物(オブジェ?)が見えたら、そこが新十八王公のバス停です。「一声かけて」とお願いしたものの、ちゃんとバスの中に「次は●●」という接近表示も出るので、無事下車することができました。淡水からは40〜45分程度でした。



ちなみにこれは石門婚紗廣場という観光スポットらしく、結婚するカップルが写真を撮るところなのだそうです。しかし天気のせいかどこか寒々しく見えてしまう……。


東シナ海



新十八王公のバス停のまん前には、「十八王公」というお寺があり、犬がまつられています(前回日記参照)。 しかし観光案内所のおばちゃんが「そこはネ、誰もいない」と言ったとおり、誰もいませんでした…。更にこの先の「十八王公」バス停で降りると、本家十八王公があり、そこはなかなかにぎわっているそうですが。巨大犬の像もあるらしいので、いつか行きたいです。(原発もある。)

そして、バスの進行方向に向かって歩き出すと、目的地の看板が!



無駄に可愛い看板も…




矢印の方向に従って、1分も歩かぬうちに、黄金の、いや金ピカの(という表現が適切か)何かが見えてまいります。ウワー。完璧なるパラダイス臭!


建物の上の電光掲示板が、キッチュさを増幅…。
そして、被写体とカメラマン(母)の間のテンション差……。




謎の像たちに出迎えられ、中に入ってゆく……






この時点で完全にドン引きの母。構わず中へ入ってゆく娘。以下、次号に続きます。(続く)