今回の旅行では、津軽鉄道に乗れたのもよかったです。前回の会津行きで好きになった会津鉄道に次いで、津軽鉄道も好きになりました。五所川原から津軽中里まで12駅、津軽鉄道は日本最北の私鉄なのだそうです。
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■ 五所川原駅
初日、五所川原の駅には青森空港から弘前経由でJR五能線で着きました。着いたのは雨の夜。五能線ホームからいったん通路に上り改札へ向かう途中に、津軽鉄道五所川原駅駅舎の出入口があります。その一角の様子が、自分の中にあった「幻想の津軽」すぎて思わず「ああっ」となってしまいました。
この厨子のようなものは何なのか……? 翌日に近くにおられた駅員さんに訊いてみたところ、「鈴虫を入れるとか入れないとかいう話があった(結局入れなかった?)」とのことでした。
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■ 乗車1日目
電車はだいたい一時間に一本。
五所川原駅には古い車両も置かれています。ワム1~6ってのは開業時に作られた車両らしいです。こりゃ電車好きの友人を連れてきたい。
「走れメロス号」に乗りました。走れメロス号……なぜかちょっと照れる。
車両内には本がたくさん置かれています。好きに読んでいいようです。車内では車掌さん?による観光用のアナウンスがあり、観光相談にも乗ってもらえます。地図ももらえます。この日は観光客ぽい人は少なく、ふつうに通学とかの人が多いようでした。
路線図の字体、好き!!
津軽鉄道のキャラ、つてっちー。ぽんよりしていて可愛い!! つてっちー好きになりました。
つてっちーグッズもたくさんありました。「なぜか顔だけつてっちー」って商品名がいい。
副駅名のネーミングライツパートナーが募集されていました。
津鉄も経営に苦労してはるようで、その打開策のひとつのようです。ネーミングライツてでかい企業や団体が金でアイデンティティを買い叩く感で好かんわと常は思っているのですが、これは必ずしも企業等の名前がつくわけでなく、親しみやすい愛称を広く募集しているとのこと。良い名前がつくといいですね。
これは毘沙門駅。
林の中にあってかっこいい……! いわゆる「秘境駅」というやつでしょうか。
この日金木観光中は雨が降っていたのですが、帰りに金木駅の待合室に入った途端サーッと光が差してきたのがきれいでした。
五所川原に戻るとすっかり晴れていて、メロス号の前で記念撮影しました。
五所川原駅の待合室もとても素敵。奥にはねぷた風のミニメロス号も。
売店横にいたケロ。
夕方の駅舎も趣きある佇まいです。
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■ 乗車2日目
さらに翌日も津軽鉄道に乗りました。前日行けなかった芦野公園(金木のひとつ向こうの駅)へ足を延ばすことにしました。
遠くから見ると、JR五所川原駅の駅舎のすぐ隣にちんまりあるのが津軽鉄道五所川原駅。
この日は朝から好天。
キラキラの水田に写る岩木山が美しく、二日連続で乗ってよかった~~!!と思いました。どこからも見えるお山があるっていいなア。
車掌さんが、「皆さん、大切なスポットなのでカメラの用意をしてください」と言うのでなんやろかと思ったら……
しんご電車でした。香取慎吾がTVの企画でペイントしたらしいっす。
この旅行での収穫のひとつは「吉幾三の偉大さを再認識できた」ことです。母も「オラ東京さ行ぐだ」の歌詞をぐぐって感じ入っていたので、この機会にIKZOを教えてあげました。感心していました。
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■ 芦野公園
そして芦野公園駅。ここも緑がとても綺麗!!
心なしかパイロンも幸せそう。
緑の中にカフェ「駅舎」があります。現駅舎のすぐ隣、旧駅舎を利用したというお店です。座ったのはちょうど、元改札だった場所の傍らの席でした。
ぼんやり窓外の津軽平野を眺め、やがて金木を過ぎ、芦野公園という踏切番の小屋くらいの小さい駅に着いて、金木の町長が東京からの帰りに上野で芦野公園の切符を求め、そんな駅は無いと言われ憤然として、津軽鉄道の芦野公園を知らんかと言い、駅員に三十分も調べさせ、とうとう芦野公園の切符をせしめたという昔の逸事を思ひ出し、窓から首を出してその小さい駅を見ると、いましも久留米絣の着物に同じ布地のモンペをはいた若い娘さんが、大きい風呂敷包みを二つ両手にさげて切符を口に咥えたまま改札口に走って来て、眼を軽くつぶって改札の美少年の駅員に顔をそっと差し出し、美少年も心得て、その真白い歯列の間にはさまれてある赤い切符に、まるで熟練の歯科医が前歯を抜くような手つきで、器用にぱちんと鋏を入れた。少女も美少年も、ちっとも笑わぬ。当り前の事のように平然としている。少女が汽車に乗ったとたんに、ごとんと発車だ。まるで、機関手がその娘さんの乗るのを待っていたように思われた。こんなのどかな駅は、全国にもあまり類例が無いに違いない。金木町長は、こんどまた上野駅で、もっと大声で、芦野公園と叫んでもいいと思った。(太宰治『津軽』)
林檎のカレーを食べました。ちゃんと林檎型になっているのがお分かりでしょうか。
母はこのあたりの名物という馬肉のカレーを頼んでいました。ひと口貰ったら美味しくてびっくり。
今回の旅はこの叔母の言葉にあちこちで出遭いました……(斜陽館ではTシャツにもなっていました)
「太宰ブレンド」もありましたが、後で時間があったら飲もう、と思ってひとまず頼まず。しかしこの後、珈琲どころではなくなるのでした……。
「駅舎」を出て芦野公園を散策。公園入口付近に並ぶ売店が、好きな懐かしい感じでした。看板で太宰とIKZOが称えられているのもなんかいい。ソフトクリーム買いました。
公園内は緑でいっぱい。少し咲き残るつつじも綺麗。
園内には動物園もあり、ヒグマがいてびっくり。二頭のうち一頭は昔に映画に出演したヒグマらしく、二頭ともかなりご高齢でした。
実物と看板のギャップがなんとも……。
そして湖を望める気持ちのよいところに、太宰の銅像と文学碑がありました。
文学碑にはヴェルレーヌのあの言葉。「撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」。太宰は自分が銅像になるなんて思うてたんかなあ。「こんなん建ててもろてなあ、あの放蕩息子がなあ」と母は親戚の子みたいに言うてました。なんやかんや言いながら銅像と一緒に記念撮影する母娘でした。その後「うちらが銅像を建ててもらうならどこがええか」という益体もない話をしました。吉田山か?いや宝ヶ池のほうがええか?等々。
■ 川倉汗だく行脚
さて、ここで散策を切り上げて太宰ブレンドでも飲んでゆっくりすればよかったのですが、ここまできたら、以前に本で読んで気になっていた「川倉地蔵尊」を訪れてみたいという気持ちが湧いてきました。別名は「賽の河原地蔵」。最寄りは芦野公園駅ではあるがそこからはバスの距離、しかし駅でチラリと見た地図によれば徒歩で行けなくもなさそう……。私は毎回母と旅行に行くたびに、中心地から遠いスポットやマイナースポット(例:台湾金剛宮)に行っては母を疲弊させてきました。その母ももう老齢。この旅の目標は「母を疲れさせないこと」だったのですが……、天気もええし……歩くか!!
しかし!! 歩き出したら、、、なんか地図で見たより遠い!!
湖を横切る橋が通行禁止になっており湖岸線沿いに歩くルートを選んでしまったからか、道がうねうねとして、いつまでも進まないっ。
そこそこの山道が続き(上の写真は山道が拓けたところです、山道の中は余裕なかったので写真撮ってない)、いつまでも抜けられそうになく、 しかもぜんぜんひと気がない! 遭遇した人間はひとりだけ、トレッキング中の方でした。目的地の場所を問うと「ああ、なんかそんなところありますねえ、えっ、京都からわざわざ……!?」と驚かれたので、ああ徒歩で行くところとちゃうんやなと分かりました。やがて山道を抜けて道路に出ると、道路沿いには葬祭場や火葬場が立っています。京都でいえば清閑寺や首塚のあたりの感じでしょうか、所謂観光地ではないのですね。それらの建物が点在するほかは何も無い道路を延々と歩き汗だくになった末、再び山側へ延びる細い砂利道があり、それが川倉地蔵尊への入口でした。……が、此処はなんだか母を伴わずひとりで訪れたほうがよい場所である気がして、入口だけ覗いて引き返したのでした。
坂道にカラフルな風車が点々と置かれ、小さなお地蔵さんたちがおはします。お地蔵さんの頭の上には名前が刻まれてありました。またいつか、ゆっくり訪れたいと思います。
帰りは山道でなく道路を歩いたのですが、しばらくずっとひと気のない道が続き、津軽鉄道の線路が見えたときにはホッとしました。この日は合計3万歩近く歩きました。
いつも旅先に来るとゆっくりしようと思うのに、ついつい歩き回ってしまいます。うーん、また母を疲れさせてしまい反省……。しかし無事次の電車に乗ることができました。帰りの電車は撮り鉄の方があまたおはしました。
窓から見える緑のトンネルが美しかったです。その下には経営難を訴えるポスターが。
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■ お買い物いろいろ
さて、津軽鉄道では色々グッズやお土産ものも売られています。
私は、津軽マップクリアファイル(車掌さんによる手描き)とつてっちークリアファイルを買いました(どんだけクリアファイル買うねん)。あと、津軽鉄道ポシェットも買いました!! 超可愛い!! 見て下され!
つてつポシェットは刺繍が綺麗で文庫本を入れるのに最適。
これは五所川原駅前コミュニティカフェでる・そーれというところなんですが、上の写真の背景に写っているタペストリーも見て下さい。津軽全体が描かれてとても素敵でした。
冬期のストーブ列車にちなんで「石炭クッキー」という名物もあります。普通の石炭クッキー(数種ある)はお土産としても買えますが(「雪ふる」verを買って帰りました)、バターサンドの石炭クッキーはバターなので現地で食べるのが吉。これ、すごく美味しかったです。
今回利用したのは、五所川原駅・金木駅・芦野公園駅だけでしたが、電車の中から駅々を見てたら全駅降りてみたくなりました。いつか津軽鉄道全駅下車の旅をしてみたいものです。