本の落書き

図書館の本に落書きをすることは悪いことなのですが、正直、落書き本に当たると「当たった!」と思ってしまいます。

頁を破り去るとか読むのに支障をきたすほど汚すとかそうした破損は悪質だと思いますが、落書きはむしろ嬉しくなることが多いです。昨今はマナーの良い利用者が多いので、出遭う機会が少ないですが。

 

最近出遭った落書きはコレです。

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書庫に入っていた古い小説。途中まで落書きはなかったのですが、或るページでいよいよ黙っていられなくなったのか、堰を切ったように読者がキレ始めました。「ここまで我慢して読んでやってたけどもう黙っていられねえええ」的な、昔の読者の心の動きがリアルに伝わるようでした。

次のページからはまた静かになりました。ここで思いのたけをぶつけたことで気が済んだのか、ここで読むのをやめたのか。

 

ちなみにこれまで遭遇した中で最も感激した図書館本の落書きは、大正期の精神分析の解説書に書かれていた、神経症に悩んでいる方は森田正馬先生という方が開発した新しい治療法がいいですよ、私はそれで治りました、森田正馬先生の連絡先はこちら→」(大意)みたいなやつです!! 

 

古本も、マーカーや書き込みがあると値が下がってしまいますが、特別な場合を除いては、私はむしろ歓迎する派です。特に難しい学術書の場合など、書き込みに助けられたことが多々あります。自分も自分で買った本を読むときは書き込みながら読む派です。

これは最近古本で見つけた書き込み。前の持ち主がこの本を入手した経緯が書かれています。

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自分ゆかりの地名が出ているということで8/18に贈呈され、4日後には18きっぷでその舞台を散策された様子。フットワークの軽い方のようです。

 

この方がご存命なのかどうかは分かりませんが、私はよく、自分のいなくなった後自分の書き込み本たちはどうなっていくんやろなあ……と思います。稀覯本もいくらかあると思うのですが、書き込みが多いため値はつきにくいかもしれません。書き込みがあってもいいぜ、欲しいぜという方は、生前にそれとなく知らせておいてください。