この季節、遠方への出勤には「青春18きっぷ」を使うのですが、いつも1回とか2回とか微妙な回数が余ってしまい、チケット屋に売り払うのも二束三文であるので、正月に日帰りでどっかお出かけしようとて丹波篠山を訪れました。丹波篠山は身近なはずなのに、京都市内から電車で行くのはけっこう厄介であるので、実は初めての訪問。良いところでした。
JR福知山線でのんびり行きます。お天気も良く景色がきれい。これは途中の駅。
昇柱禁止。
駅前の植物がきれい。
駅を出ようとしたところでなぜか、「あんたら!さっき漫才しとったやろ!」と話しかけてくるおじさんにつかまり5分くらい話を聴く羽目になり新年初・変な人に話しかけ力を使いましたが、気を取り直してバス停へ。町の中心部は駅周辺ではなく、駅から少し離れた城跡の周辺のようであるので、バスへ乗って城方面へ向かいます。幸いバスはすぐ来ました(電車の時間に合わせてるのかな)。
バスの中から橋のイノシシ像が見えて感動。イノ~~!!
「城北口」というところで降りました。このバス停のある通りが観光地の中心のようで、観光客向けの店が並んでいます。といっても正月だったので閉まっている店も多く、人もそんなにいませんでした。でも静かでよい街! しばらく諸々で疲れており静かなところに来たかったので嬉しい。しばし散策。
水の流れる風景が好き。
「黒豆ぱんの元祖」なるお店発見。丹波といえば黒豆ですよね。軒にはお野菜が干されています。
良い感じの看板(どちらもだけど特に精版のほう)。
私の好きな小さいポスト。べつに珍しいものでもないが、旅先で見ると何もかも楽しいです。
↑どうでもいいですが、正月なので(?)爪も紅白にしています。お分かりでしょうか。
いつのものなのか、標柱がありました。
尼崎(尼ヶ﨑)、追入、古市、福住各地への距離が示されています。
「多紀郡篠山町」とありますが、wikiによると多紀郡は明治12年に発足、99年の篠山市誕生とともに消滅し、これが20世紀最後の郡消滅だったそうです。へー。
「山っぽい神社」が好きなのでこの長い石段は萌え。
おみくじが色とりどりでかわいい。新芽のよう。
今回篠山に来た理由としては、「しし鍋食べたい」ということもありました(妹がよそでしし鍋食べてる写真が送られてきてうまそうやった)。しし鍋のお店はいくつかあるようですが、たまには奮発することとし、最も有名ぽいところへ入ってみました。しかし満席で1時間半待ち。予約を入れることができたので、その間空腹を耐えつつ近隣を徘徊もとい散策。商店街のすぐ近くに城跡があり、このエリアは散策しやすいサイズでぷらり日帰り旅には良い感じです。
……と思いきや、クリスマスイルミネーション(たぶん)の電飾でした。
城跡は入場無料。大書院は有料で中を見学可……らしいですがこの日はお休みでした。見事なシンメトリー閉館!
桜の頃は観光客も多いのでしょうが、この日はしし鍋屋以外は閑散としていました。城の近くに観光案内所もありましたが、三が日はお休み。そんなところも商売っけがなくてむしろ好ましく思えます。
天守台から景色を見ました。草木も水も光ってすべてが美しかったです。
山に囲まれた土地にいると、やはり故郷を思い出すのか心が落ち着きますな。去年会津でもそう思いながら城からの景色を見たのを思い出しました。しかし京都市が低い山に囲まれ南がひらけたゆる盆地であるのに対し、ここは、高い山の中でガチ盆地って感じです。
天守台のそばにあるこれは青山神社。城主であった青山家の遠祖が祀られています。
お堀の水は冬らしく冴えてきれいでした。右側に少し見えているのは駐車場です。
この日はほぼ誰もいませんでしたが、駐車場メチャ広だったので、観光シーズンはにぎわうんでしょうね。
水辺にお花が一輪。
さて……空腹も極まってきましてそろそろしし鍋屋へ向かいます。
(入ったのはこの写真のとは同じ系列ですが違う店舗です。イノがおうちを突き破っとる~~!!)
お肉の種類はふつうのやつとお高いやつとその混合のやつから選べましたが、一番安いふつうのやつにしました。しかしそれでもきれいなお肉が来た! お野菜もいっぱい! 店員さんが「写真撮りますか?」と写真撮りタイムを設けてくれました。
うまい~~そしてあったかい!
肉、野菜はもちろん美味しいんですが、味噌が超旨かったのです。ここのは栗入り味噌というやつで(販売もしている)、ちょっと甘くてコクがある。なんぼでも飲んでしまうので体内の味噌濃度が大変なことに。
しし鍋自体は、食べるの20年ぶりくらいでした。或る祝い事のときに気心の知れた一同で食べたのは初ししでしたが、今でも「人生で一番美味しかった食べ物」を訊かれればそのときのしし鍋を挙げます。そのときのめでたい雰囲気のせいもあってか夢のような味に感じたのでした。さらに、まだ皆が生きていて、一番ハッピーだったときの思い出とセットになっているので、思い出補正の中でますます夢のような食べ物になっており、もはや実際の味がどんなだったから分からんのですが。今回の現実のしし鍋もちゃんと美味しくてよかったです。
そして!しし鍋以上に感動したのが付け合わせの黒豆。
黒豆といえば、ときどき瓶詰のべちゃっとしたやつを食べる程度で、黒豆には申し訳ないながら、好き/嫌い/どうでもええ でいえば限りなく「どうでもええ」カテゴリに入れていたのでしたが、この黒豆……なんかしっかりしてて美味しかった!! 黒豆てこんな旨いんか!
今回日帰り篠山の最大の収穫はこの「黒豆ファンになったこと」でした。実際産地に行くとやはりよいなあ~~。
お腹ふくれになって外に出て、また街を散策。
そういえば篠山はデカンショ祭りも有名。(デカルト・カント・ショーペンハウエル)
ええ感じの貼り紙。
好きなタイプの看板が続々現れる、素敵な街並みです。
中心地にあるホールでは、森山良子が来たりヤングのカラオケ大会が催されたりしているようでした。
再びお堀沿いをおさんぽ。ちょんまげいのしし発見。
「まるいの」ってキャラのようです。ちなみに黒豆をモチーフにした「まめりん」ってやつも存在するようです。
ところどころにトトロがいました。
通りがかったショーウインドにあった像。老夫婦?
シチュエーションはようわかりませんが、上の「添て嬉しや」を思い出しました。尤も「添て嬉しや」は添うたばかりの人たちの気持ちでしょうが。いつまでも新鮮な喜びを忘れないでいたいですね(自分らしくない一文)。
城近くの、武家屋敷が並ぶ通りへ。通常は見学できる建物があるようですが、例によってこの日はお休みでした(その他資料館・美術館的なところは全てお休みでした、いつもそういうところへ寄って時間がなくなってしまうので、日帰り旅にはちょうどよかったかも)。よってプラプラと家並みを愉しむことに。静かな通りを、大きな白い猫が横切っていきました。
武家屋敷のお庭の木につぼみ。初春らしさを収集できました。
陽が傾いていよいよ激寒寒になってきたので、珈琲など飲みに再び中心部へ。城の前の通りにある「大正ロマン館」に入りました。
大正12年に建築され、平成4年まで町役場まで使われていたという建物、エエ感じです。中にはレストランと軽食コーナーがあって、軽食コーナーで黒豆ココアやら黒豆珈琲を飲んだのですが、うまっ! これが本場の黒豆か! 中には土産物屋もあるので、ここで黒豆茶やら黒豆チャイやら黒豆製品を買いまくって帰りました。こんなに黒豆のとりこになってしまうとは。。最近は買うてきた黒豆茶を毎日飲んでおります。
ペットボトルの黒豆茶も旨い~~あっという間に飲んでしもた(体内味噌濃度も上がってたし)。横のやつは黒豆キャラ、その名も「デカボー」。
デカボーの紹介はこちら。「性別:黒豆のためなし」ってのが良い。
ロマン館の並びには他にも気になるお店がいろいろありました。看板が素敵だったこことか。
しし鍋屋さんも、今回入った以外にも良さそうなお店があったので、また来たいなあ。
そのようなわけで、とくに計画なくぷらりんと訪れた篠山ですが、また好きな場所や好きな食べ物が増えたのでよかったです。そんで、はじめての街に行くのって何よりも、「それまでなんとなくのイメージしかなかったところが実体になる」感がええなア。
帰りは福知山線でアマまで出てそこから神戸方面へ出ました。日付が変わらぬうちであればどんだけ乗っても自由であるのが18きっぷのええところ。元町でレコ屋をめぐりつつ夜は更けていったのでありました。