アユタヤで出会った犬いぬ

タイではバンコクに宿泊したのですが、半日、アユタヤへ足を伸ばしました。
駆け足ピンポンダッシュ観光ではありましたが、真っ青に晴れた日の古都で古寺を巡礼することができ、観光ムードの中にも悠久の歴史を感じ、とても印象的でした。
そして行く先々で、のびのびと過ごす犬たちと出会うことができました。犬たちは、ずっと昔からそこにいたかのような風情であり、なんともふしぎな気分になりました。


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■ ワット・ヤイ・チャイ・モンコン
まずは、スリランカ風仏塔と大きな涅槃仏のいるお寺、ワット・ヤイ・チャイ・モンコンへ。
青空の下、ブーゲンビリアがキラキラして綺麗なところでした。



大きな仏塔は、ビルマとの戦争に勝利したことを祝って建てられたのだそう。本堂には、仏像の横に戦争画が掲げられていました。
修行僧も多く訪ねてくる場とのことで、黄色い法衣を着たお坊さんたちの姿も目にしましたが、皆、祈っているところをスマホで撮ってもらっていました。信仰の場と観光の場が一緒になってるのはなんかいいな〜。というか昔から信仰って(あるいは観光って)そういうものだったんだろうなあ。

そして、本堂でお参りして出てきたらば、犬たちが集ってました!
みんな雑種かな。好みの犬ばかり……!


世話係らしき男性に遊んでもらった後、全員ごろん&スヤスヤ。
最高すぎる……この世の楽園や!



高いところ登りたがりなので、仏塔にも登りました。



塔の上にはお花が捧げられていました。マリーゴールドのお花は、街の至る所で見かけました。



塔の上からはこんなふうに、石仏群が見下ろせます。


見下ろしていると、おおっ、石仏群の間にまめ似の犬が一匹!



まめ似犬は、まめには似ない軽やかな足取りで、門を出て広いお庭の道を駆けていました。元気で精悍なまめって感じです。
アユタヤの古寺を駆けゆくまめ似犬……まめ子がいなくなっても、まめ子のような形のものたちが遠い異国の地で駆け回っているのだ……と思うと、遠藤周作の『深い河』の主人公になったような気持ちになり、仏塔の石段を降りながら私は、汗を拭うふりで涙を拭ったのでした。






仏塔を降りて庭に出るともうまめ似はおらず、黒い子がいました。



売店の前にはこんな可愛い子も。のび(犬の可愛い姿態のひとつ)姿を見せてくれました。






ワット・プラ・シー・サンペット

アユタヤ王三代のお墓が並んで立っているお寺。お墓の敷地の隣には礼拝堂があり、金色の大仏がましましています。修学旅行らしき生徒さんたちがいました。だれて座っている男子を、女子が「あんたもお祈りしなさいよ」的な感じでせっついており、この光景はどこでも共通なのか、と思いました。


お墓になっている仏塔。大きいが、近づくと小さく見える。


入口でだるそうにしていたもふもふ犬。


緑がきれい! しかし暑い! ここで飲んだリプトンアイスティーが人生最大にうまかったです。


入り口近くでぐでっとしていた犬。


まめ子もよくこんな寝方をしていました……懐かしい。


礼拝堂を出て駐車場へ向かうところでも突然の寝犬。


とにかく寝ている。





■ ワット・マハータート

入り口でいきなり寝黒犬に迎えられて、ワット・マハタート。気温のせいか、このあたりの犬は基本だれています。



ビルマとの戦争の跡が未だ生々しく残る寺。仏塔や仏像は毀たれたままの姿で残されています。
胴体を失ってしまったのち、木に取り込まれて一体化した仏頭が有名なのですが、凛としたような悲しげなような表情に見えました。



頭部を失い黒焦げになった仏像たち。しかし金ぴかの仏像よりかっこよく見えました。神聖な場所はやはり「ただ放っておかれてるさまがいい」んでしょうなあ。





そしてそんな遺跡の中、日陰に潜んでいる……犬!


やや情けなめのお顔が好みの犬でした。


黒く焼けた門の前にたたずむ犬。


遺跡の隅っこで寝る犬。



遺跡の上、風を受けて立つ犬。



遺跡の前を走り抜ける犬。



そっけないような荘厳なような遺跡の中を、用ありげに歩く犬いぬは、まるでアユタヤ王朝時代からタイムスリップしてきた犬のようで、夢のような光景でありましたが、京都の街を往くまめ子も傍目からは或いはそんなふうに見えたのかしら、と思ったりしました。