AKM48への旅(5)


さてさて、すっかりひと気もなくなった滝から、旅館へ向かうわれわれ。
バス待ち場には、なんとも微妙な忍者看板があり、微妙なものゲッターのナメちゃん、喜びの撮影。

(※ナメ撮影の赤忍者)



泊まった旅館は、かつては貸別荘だったそうで、それぞれの部屋は独立した棟になっており、広い敷地内にはテニスコートやらプールやらがあり、バブルの名残を感じました。


浴衣の柄が渋い。



さっそく温泉でオオサンショウウオのように身体を伸ばし、お風呂から上がると即ごはんという退廃的スケジュール。
ごはんは伊賀牛で豪華でした!
ナメちゃん 「長吉追悼ツアーやし(注:いつのまにかそういう趣旨になっていた)、ほんまやったら肝を食べなあかんけど。アマで自分で刺した肝を食べなあかんけど」。
病死した牛豚の肝のことか!

ナメちゃんはなんと、わざわざ本を(しかも図書館本を、しかもハードカヴァーで、)持参していた……!
旅館の人が入ってくると、なぜか咄嗟に隠していて笑いました。




お肉に加え、地酒も出してもらいました。おお……TVとかでよく見る、ちょっと贅沢な女子旅という感じです!




私はほぼ下戸なのですが、スッキリして飲みやすく、ぐいぐい飲んでしもうた……。



お酒は美味しかったのですが何ぶん弱いものでスグに酔ってしまい、冷蔵庫にあったお水を飲むと…………うまっ!
なんか ……めちゃ美味い!
お肉もお酒も美味しいけど……お水が美味しい!!
あまりの水の美味さに「水……うまっ!……うまっ!」しか言えなくなる私。
「どんな水うまいねんw」とバカにしつつナメちゃんも水を飲むと、 「……水……うまっ!」「それしか言えへんわ……水……うまっ!!」。
流石日本の名水百選に選ばれる赤目の水!
「水うま」以外の言葉を失った己らに笑い崩れ、しばし食が止まる。今回のハイライトはこの、「水うま事件」でした。

あと、ごはんについてきた、赤しそのお漬物も激美味でした。

胃腸にだけは自信のあるわれわれ、けっこうな量の肉を順調に食べ進むも、うどんに進んだときに、突如満腹感が!
うどんはちょっと変わった形で妙に美味しいうどんだったのですが、うどん途中で二人ともいきなり限界が訪れ、これ以上はむりや!となったのでした。


完食できなかったうどん、ごめんね。




旅館の夜は早く、ごはんを食べてしまえば特にすることもなく、旅館の人に敷いてもらったお布団に転がりながらわれわれがすることといえば、持参してきた本を読むことくらい。
私は、ナメちゃんのもってきた『赤目四十八瀧心中未遂』を再読。
滝に行った後で改めて読み返すと、ああ二人はあの時間にあそこを通ったんだな、こんな思いであの滝を眺めたんだな、とありあり想像され、趣深く思うと同時に、改めてその筆力に感嘆。
ナメちゃんはナメちゃんで、長吉人生相談を読み始め、女子旅は、旅館の布団に転がりながら長吉を語り合うという長吉ナイトへ……。




なお、「教え子に恋着する高校教師」からの相談が有名ですが、この人生相談は改めて名著。われわれは、誰かが何かをやらかしてその地位や名誉を失ったとき、「転落の人生」といったような(勝手な)表現をしますが、いかにそれが狭い人生観であることか。著者は、本当の人生はむしろそこから始まる、と言います。今はあまり顧みられない「文学」というものの必要性を再認識し、同時に、仏教的なものも感じ、ちょっと深沢七郎の人生相談を思い出すなあ、と思っていたら、長吉はシチローを尊敬していたのだそうですね。



翌朝は、朝から温泉に浸かり朝食をいただくというまたも贅沢モーニン。
↓朝食に出てきたこのお皿が良かった。私は「文字とか書いてある食器フェチ」なのです。




朝食をいただき、お部屋に戻ってお庭を見ながらゆったりしていたら、「うくくくく、うくくくく」とかみ殺したようなナメちゃんの笑い声が。
見るとナメちゃんは、部屋に備え付けられていた、佐川満男著 『前略、湯の町にて』 という本の頁をめくっていました。
佐川さんが日本各地の温泉宿を旅するというこの本、この旅館も掲載されているということで備え付けられていたのですが、各温泉でいい気分になっている佐川さんの写真がナメちゃんのツボになぜかヒットしたようです。ナメちゃんは、「陶酔してる人」に、異常なまでにツボを突かれるようなのです。
特に、断崖に向けてバスタオルをくつろげている写真でナメちゃん決壊。







その後は、長吉ナイトからの佐川モーニンとなり、「佐川氏とカメラマンに勝手にアテレコ」で盛り上がるという、ここにこうして書いても誰にも面白さが伝わらないであろう遊びで盛り上がったのでありました。
「佐川さん、ちょっとバスタオル広げてみましょうか」「そうそう、読者に想像させる感じで!」 「大自然と一体化する感じで!」
女子旅とは何なのか? これはむしろ、小学校の修学旅行のときのノリ!
こんなしょうもないことで死ぬほど盛り上がれる友人、最強……
そして佐川さんにはごめんなさい………