牛久でGO

並んだ話の前に、まず、牛久を訪れた話を書きます。

この日、わたしといもうと(下)は、新幹線で東京に向かい、そこから常磐線笠間市内のホテルへ向かう予定。
当初は、「東京で遊んで、それから茨城を観光して…」と盛りだくさんの予定を立てていたのですが、東京−茨城間の移動は意外に時間がかかることを知り、予定をしぼることにしました。
そしてわれわれがまず選んだのはなぜか、「牛久大仏を見に行く」。

牛久大仏とは世界一の大きさを誇るブロンズ大仏なのだそうですが、そのサイトからも分かるとおり、パラダイス(桂小枝的意味での)の匂いが濃厚に漂います…。また、大仏周辺の閑散っぷりは、しょせん都会っ子であるわれわれにはけっこう衝撃でした。
では、その牛久訪問記を。


 


上野から牛久駅までは常磐線で一時間ほど。ここまでは意外に早かったのだが、ここからが大変でした…。


かっぱ号。牛久はかっぱ推しの町なのです。河童伝説があるらしい。
ちなみにデジカメの故障により、今回の写真にはどれも黒い点と線が入ってますが気にせんでください。





駅前。ワインも名産らしく、ぶどう飾りがアーケードに施されてるのですが、何かさみしげ。




さて、駅から牛久大仏まではバスが出ているのですが、どのバスに乗ればいいやら、路線図を見てもさっぱり分からない!(あとで分かったが、「牛久大仏」というバス停はなく、「牛久アケイディア」行きに乗らねばならない。) しかもバスの本数が少ない。
われわれは、(この時点では)牛久観光はさくっと終わらせるつもりだったので、バスはあきらめ、タクシーに乗ることに。
しかし、タクシーでの道のりは意外に遠かった! 大仏までの道中は基本何もない郊外の道で、いたるところに「牛久大仏こちら」という巨大看板があるのですが、大仏の姿は一向に見えてきません。タクシーのメーターはくるくる回ってゆくのではらはら。数十分走ったでしょうか、広大な浄苑の向こうにやっと大仏の首がぬっと見えてきたのでした。駅からの運賃は3000円。貧民なので普段こんなにタクシーに乗ることはないのです。われわれ、そんなにしてまで大仏見たかったんだっけ…。


土産屋をひやかしつつ入り口へ。大仏直営店…。




やたらフレンドリーな受付で入場料を払います。
500円(胎内めぐりつきなら800円)。
手作り感あふれる入場券。




園内は、団体客でにぎわっていました。(というか、われわれの他はこの団体客しかいなかった。)
大仏、たしかにでかい。



高島屋よりもでかいのかな?」
「当たり前やろ」
高島屋の何倍やろ?」
という会話をしました。わたしの中では高さの基準が未だに京都四条の高島屋なのです。
大仏は、全長120mとのこと。いもうと:「こんなん、倒れてきたら下敷きやん。 倒れてきたら、周りの家も大仏の下敷きで迷惑やん。絶対大仏の近くなんかに住みたくないよな」 と大仏への有難さ皆無。


たしかにこの大仏、言っちゃ悪いがなぜかありがたみがないとゆーか、まったく敬虔な気持ちにならんのです。「ありがたやー」ではなく、ただただ「でかっ」「すごっ」のみ。



ギネスブック登録碑のとなりにある「戯画化されたうんこ」のような形状のものは、大仏の螺髪の実物大らしいです。台座込みでわたしの背丈(150cm)くらい。




大仏を背景に写真を撮れる大仏顔出し看板。仏としてどうなのか。





そして、門を入り、大仏を正面に臨みます。やはりでかい。




南無阿弥陀仏の橋」という名前のわりにやはりあんまり有難みのない橋を渡ると、大仏の足下に、「大心海」という池があります。
ですがこの池、天然の池でなく、コンクリートの凹みにホースで水を流し込んでゐる……。
それはいいとして、鯉の密度が異常! 





動物好きのいもうとは、売られていた鯉のえさを購入。すると、えさを求める鯉たちがびちびちと集い、何匹かはずりずりと半分陸に上がりこんで、このままでは魚から何かに進化してしまいそうです。おなかも傷ついちゃうよ、これ以上陸に上がってきてはまずい、と思い、えさをなるたけ遠くへ投げるのですが、高密度のせいで泳いで方向転換もできぬ鯉たちは、ばっしゃんと跳ね上がり水しぶきをあげて方向転換し、びちびち池へ戻ってゆくのです。それでも水際にはまだ口々に口を開く鯉たちが……まるで地獄絵図のようです!
この光景にもかかわらず説明書きには「この池は阿弥陀仏の慈悲の心を表しています」というようなことが書かれており、うおおお!! 仏の足下にありながら仏に気づかれず救われない鯉たちに、この世の無情を投影しました。










ううう…… とうなりつつ池を立ち去り、大仏の真下へ。
「今、これが倒れてきたらうちら終わりやん! 確実に下敷きやん!」 といもうと。そんなにおびえるならなぜ大仏に来た。




大仏に対する敬虔さが一切感じられない案内板。





そして、大仏の裏に回ると小さな公園が設置されています。
お菓子の家やキャンディー型のベンチなど、とても可愛くメルヘンチックなのですが、どこかうらぶれたこの感じは何なのでしょう。




またも顔出し看板。




そして謎の像。








ううう……



公園には、小動物とのふれあいコーナーがあります。
「ようこそ、うさぎ広場へ!」と係員の人に呼び込まれ入れば、広い場所に点々とうさぎがいるだけっ。明らかにパラダイス(桂小枝的な)の匂いですが、思う存分うさぎをなでなでできて満足しました。いもうと(動物好き)も「ここはうさぎの楽園やー!!」と昂奮気味でした。




哀愁。




うさぎってなでなでするとぺったりするんですねー。知らなかった。




ここのうさぎは全体的にだれまくり、のびまくりでした。










うさぎコーナーの隣はリスコーナー。ここでは、リスのアグレッシヴさに驚嘆。
手にミトンをはめ、その上にえさを乗せて食べさせてやるのですが、続々リスが飛び乗ってきて、ミトンごと奪われそうになります。
えさを持っているとボディにアタック、飛びついてきたリスに体を登られ、爪が痛い! かわいいけど痛いかわい痛い!!




リスコーナーの片隅には、やぎさんもいました。
やぎは、大仏の足下で鎖につながれ、ひとり遠い目で草を食んでいました。







動物コーナー出口には、ぜんぜんたのしくない「たのしいステージ」。





思いのほか、動物コーナーを堪能してしまい、とりあえず満足したので、退却。
それにしても広いです。こせこせした京都市内ではこんなダイナミックな(無駄な)土地遣いはなかなか見られません。
コスモス畑やラベンダー畑の向こうにそびえる大仏を振り返りつつ、出口へ戻ります。
ちなみにコスモス畑のコスモスは、「お花摘み100円(10本まで)」でした。





さて、この時点でまだ昼下がりだし、これから水戸へ出て観光しようかね、と思ったのでしたが、駅へ戻るバスがない! タクシーも走ってない!! 次のバスまでは一時間以上ある。仕方ないしカフェでなんか食べながら待つか、とおもったら、大仏内のカフェははやばやと店じまいしており、ひたすらバス停でバスを待ち続ける一時間。観光地があれば、その周囲に自然と店ができて局所的にであれ栄えてゆくパタンが多いと思うのですが、牛久大仏の周囲には、ほんとうに浄苑以外何もなく、車もほとんど通らぬ道路が寂々と広がっているのみでした。道路の脇には駐車場がたくさんあるが、自動車は一台も止まっていない! そんな閑散とした空間を、「当大仏は世界最大の……」 という大仏からのナレーションだけが、繰り返し繰り返し、何度も流れ響いてゐたのでありました。もしかすると、悲しみや憎しみがないという浄土も、このように殺伐としたところなのかもしれん、とふと思うたのでした。





# なお、牛久大仏から牛久駅まではバスで片道660円。これまで乗ったバスの中で最も高額運賃でした。河原町から三宮まで行けるやん!

# 結局水戸に到着したのは日も暮れてからでした。次回は並んだ話を書きます。