なんとなくパラダイスぽいスポット、静岡竜ヶ岩洞

なんや最近おでかけもしにくい状況であるので(いや物理的にはできるのだが)、これまでおでかけ先で撮ったがupしてない写真などをupしようと思います。せめて記憶の中で愉しむこととするぞよ!

 

まずは、静岡の竜ヶ岩洞

別の目的で浜松に行った際、浜松近郊と知ってなんとなく行ってみたんですが、いろいろ予想以上でした。洞窟が思いのほかすごかったのは普通にすごかったんですが、自然そのものはすごいのになぜか漂うパラダイス感。(例によってここでいう「パラダイス」は探偵ナイトスクープ的な意味でのそれです。)

 

公式サイトがあるんですが、完全に90年代~ゼロ年代前半「ほめぱげ」デザインなのも最高です! 妙にコンテンツ充実してるし……。

http://www.doukutu.co.jp/

 

 

まず駐車場降りてすぐ、「これは……好きなやつー!!」と思いました。

山のふもとに、いくつかののぼり、土産屋、昔からありそうな食堂、唐突なヨーロッパ調遊園地遊具などがあり、この雑多な「昭和の観光地」感、好き!! 「レトロな近未来」みたいな。

f:id:kamemochi:20200411210731j:plain

 

これの横では「みかんの皮でアートを作る」という人が作品を売ってはりました。

f:id:kamemochi:20200411210742j:plain

 

 

 

1000円払って中に入ると、いきなりコウモリコーナー。コウモリの餌やりショーをやっていました。時間なかったので今回はショートカット。

コウモリになれる脱力顔ハメ看板もありました。

f:id:kamemochi:20200411025741j:image

 

マイナスイオン」とか書かれているといきなり怪しい感が演出されてしまいますな……。「8000個/㎤」という数がどういう数なのかも私にはわからず。

f:id:kamemochi:20200411025737j:image

 

マイナスイオン看板の前には謎のネズミさんがいました。手作り? こういうものがあるととりあえず乗っかって写真を撮りますよね。
f:id:kamemochi:20200411025745j:image

 

 

洞窟は、奥まで進んで一周できるようになっています。

パンフレットの解説によりますと、この一帯は「秩父古生層」という古い石灰岩で成っており、鍾乳洞があることは昔から知られており地元の子供の遊び場だったそうですが、1981年に地主の許可を得た探検家たちが手彫りで拡張作業を始め、広間や奥の大滝など「2億数千万年もの間眠り続けていた未知の地底世界」が明らかにされた、とのこと。(要約して書いておりますが実際のパンフの文章はめちゃ熱っぽい文体です。)

 

f:id:kamemochi:20200417132350j:plain

 

 

さて洞窟内に入り、歩き進んでいくと、次々いろんなスポットが現われます。

面白いのは、石や岩にやたら「見立て」があるのですよね。

この写真は、右下のユニークな形の岩が「考える人」と名付けられています。ううーん、言われてみれば腰をひねって足を組んで……いる?

 

f:id:kamemochi:20200411030322j:image

 

 

「喜びの窓」と名付けられたこの地点が、洞窟掘削の始まった地点だそうな。

それまでは洞窟の奥の行き止まり「怨みの窓」だと思われていたのが、掘り進めることで「喜びの窓」となった、という説話っぽいエピソードもよい! 昔話風だけど、80年代、わりと最近の話なんですよね……。

 写真下部には、(見づらいですが)這いつくばって難所を掘り進める探検家のパネルがあります。閉所恐怖気味の者には怖い態勢ですね。

f:id:kamemochi:20200411030326j:plain

 

陰と陽に見立てられた石筍と穴。いいですねえ。

f:id:kamemochi:20200411210759j:plain

 

ちなみに「石筍」て言葉、ここで初めて知ったのですが、こんなふうに、いろんな石の形状の名前とそのでき方が書かれたパネルがあり、大変勉強になりました。ここ、解説パネルが充実していて、他にも洞窟内の生き物についてのパネルなどがありました。

f:id:kamemochi:20200411210728j:plain

 

ロマンを感じさせる設置物としては、「時の壺」というのがありました。2000年に設置されたというその壺からは石筍が上に伸びていきます。さらに、上からはつらら石が垂れ、下に伸びていっています。鍾乳石は約100年で1cm伸びるらしく、計算すると、2000年後の西暦4000年頃につらら石と壺とがつながる予想になるとのこと!

なんとも気の遠くなる話であります。それまで地球があるのかどうかも分かりませんけれど、日頃、目先のことばかり気にする生活をあくせくしておりますと、(まあいまいちあくせくもできていないんだけど、)こういう話を聴くと気が遠くなると同時に心が落ち着くような感じもするなア。 

 

自然の壮大な様子は、次々と趣向を変えて現れます。入り口の雰囲気からしょぼい観光地かと思ったら、予想したよりぜんぜんすごい!

 

左右から圧迫してくる岩の壁。

 f:id:kamemochi:20200411210738j:plain

 

いかにも鍾乳洞!なところ。

「鍾乳洞」て名前がそもそも、我ら乳愛好家には心ときめく見立てですよね。

 f:id:kamemochi:20200411210746j:plain

 

 

奥へたどり着いたところに降り注いでいる「黄金の大滝」。

この写真では伝わらないかもですが、はるか天上の隙間から轟音とともにライトに照らされた水が流れ続ける様子は壮観でした。

 f:id:kamemochi:20200411211514j:plain

 

しかしそんな荘厳な滝のふもとには、こんな脱力パネルが。

なぜこれを設置したのか。

f:id:kamemochi:20200411211530j:plain

 

滝の周りには、水に打たれ続けて滑らかに変形した岩たちがたくさん。

こうなるまでに悠久の時を経たのでありましょう。

f:id:kamemochi:20200411211522j:plain

 

そしてそんな、滝に打たれた岩たちにもこんな教訓パネルが。

f:id:kamemochi:20200411211511j:plain

 

ここで気づきを得たのでありますが、「パラダイス」ぽさというのは、この「意味づけ」の過剰さにあるのかもしれません。そのままで充分に感動的である自然に、人間が見立てや教訓・物語の付与という「意味づけ」を施すその「要らんことしい」の部分がパラダイスのパラダイス性なのかも……。

そういえば私は子供の頃、家具の模様が人の顔に見えるだとか近所の壁の模様が動物の影に見えるだとか、やたら「見立て」に怯える子供でありました。それゆえにこうした見立てのパラダイスに惹かれるのかもしれません。我らは皆「意味という病」なのか……!とかいうことを考えました。

 

 

この見立ては納得。「ワニの岩」。パネルにワニの図が描かれてるのが良い。

f:id:kamemochi:20200411211526j:plain

 

美しい水を湛えた水たまりは「天女の鏡」と呼ばれていました。

逆に書かれた文字が水面に映ると……という、散髪屋の鏡的趣向あり。

f:id:kamemochi:20200411210755j:plain

 

二体寄り添うような石筍は「なかよし」と命名されています。

f:id:kamemochi:20200411211508j:plain

 

 

1000円の入場料は少し高いかなと最初は思ったのでしたが、一周して見ると充分にお腹いっぱいでした。

そして、自然の歴史の壮大さに圧倒されて出てきたところの土産物屋では、これも昭和感あふれる縁起物土産の数々、(わざわざ自然の壮大さを矮小化するごとき)THE観光地ぽいグッズが売られていて脱力、というパターン。悪口のようですが、好きです。自然自体の凄さと、人間の作り出すキッチュな観光地感の落差……。(なお最も脱力したのは「いい!直虎饅頭」。)

 

土産コーナーにも「意味という病」物件がありました。

f:id:kamemochi:20200411211519j:plain

「吉祥!天からの贈り物」とありますが、解説を読むと単にカラスが落していったモグラの死骸……。不況etcから「一歩抜け出す」というこれまた教訓が与えられています。死んだモグラもびっくりでしょう。

 

 

洞窟から出たところは、このような山になっています。

地層の解説などもあって勉強になるのですが、ここもプチパラダイスでした。

f:id:kamemochi:20200416221720j:plain

 

 

岩場を登ったところには、「夢現の岩穴」というスポット。

f:id:kamemochi:20200411210735j:plain

 

 解説によりますと、ここは古くから巨石信仰などが存在した土地らしいのですが、あるとき作業員がそんな岩穴を清掃していると、粘土の中から玉状の鍾乳石がたくさん転がり出し、「これは縁起がいい」と岩穴に向かって手を合わせ娘の受験成功を祈ったところ、娘さんは無事合格。それ以来「家内安全・合格祈願の隠れた穴場」となっている……とのことですが、それは娘さんの努力の結果では! あと、そのエピソードと関係なさそうな「縁むすび」の御利益も付け加わってるし!

 

とつっこんだものの、なんかエエ感じのスポットなのでわれわれもお祈りしました。

岩の中には手を合わせた像がありました。鐘のヒモがクライミング用ロープなのが手作りぽくてイイなあ。

 f:id:kamemochi:20200411210802j:plain

 

さらに由来はよう分かりませんが、その手前には「鐘のなる樹」なる、蓄財と平安の鐘というのがあったので鳴らしてきました。

f:id:kamemochi:20200418204838j:plain



蓄財……できるとええなあ。それ以前にはよいろいろ平安になるとええんですが……。