淡路島にて15年ぶりに、思い出の立川水仙郷・ナゾのパラダイスを再訪! その記録の後篇です。前篇はこちらへ。
そんなこんなでこちら、かなり情報量(文字量)の多いパラダイスであり、館内の掲示物に全てじっくり目を通していると、おそらく数時間はかかるのではないでしょうか。そんな時間はないので流し見せざるをえないのが残念ではありましたが、心に残るものは諸々ありました。
「古く正しい」がなんかいいですね。
なぜか思い出したように伏せ字。意味あるのか? (テレビで映された、とかでしょうか? それにしても…)
「名竿目録」の上の漢字が読めないので、どなたか教えてほしいです。他にもいろいろ分からない言葉が……性の世界はマニアックです。
館内に「立川(たつこ)神社」があります。前もこの林立男根の中で研究室の人の写真を撮った記憶があります。
神社なので「おみくじ」もあったんですが、すべて糊がベッタリ劣化して干からびていました……いつからここにあるのでしょう。誰も引いていないのでしょうか。
館内にびっしりと貼られた「らくがき帳」には、格言(?)のようなものがレタリングされています。15年前に見覚えのあるものもありました。
その中で気に入ったものをいくつか。
自慰論争に一石を投じる格言。
「九〇%の男は少し射精が早すぎる」。
90という数字はどこから? 「少し」とはどのくらい? ……つっこみどころだらけであるにもかかわらずナゾの説得力があります。たしかにそうなのかもしれません。
これは意味がよく分からなかったのですが、自由律みたいでいいなと思いました。
これは、後半が急に栄養ドリンクの宣伝みたいになるのが好きです。安心してのめます。
このような、何らかの法則が書かれたものもたくさんありました。「エビデンス」とかいう概念をものともしない断定が、いっそすがすがしいです。
文字と言葉があふれるその隙間に、文字通り「隙あらば」という感じでエロピンナップや春画が貼られているのも、パラダイスの特徴です。この、まるで空白恐怖のような空間レイアウトは、パラダイスの熱量に「アテられる」ひとつの要因であるとともに、子どもの頃作っていた壁新聞を思い出してどこかホッとするところでもあります(子どもの頃作っていた壁新聞を後日発掘してみたところ、空間の隅々までイラストや装飾で一心不乱に埋め尽くされていて、「昔の自分の情熱すげえ!」と思ったのでした)。
そんな中、不思議だったのは、かわいいコーギーのピンナップ。
道祖神にお供えするかのように置かれていたのですが……なぜ……。
おそらく裏面(水着姿の女性の写真だった)を展示していたはずが、落ちて裏返っていただけとは思うのですが、それにしてもコーギーが可愛い……。あと、なぜこんなに紙がクシャクシャなのか、など謎が残ります。まさにナゾのパラダイスです。
これもナゾのコーナーでした。
背後のカレンダーはいつのものかしら。調べたところ、直近で2月7日が日曜日だったのは2016年ですが、もっと年季が入ってそうです。
やはりナイトスクープきっかけで有名になったようなので、ナイトスクープには感謝が表明されており、ナイトスクープコーナーもありました。しかし「スクープ」が「スプーク」になってしまっているという、天然のボケが素晴らしい……。
小枝がまりちゃんの名を騙った色紙は額に飾られていました。有名な「あの声ベスト順位」パネルも健在でしたよ。
それにしても、ナイトスクープ、昨今全然観なくなってしまいました。あの頃はおもろかったですのう……。
文字系以外の展示では、裏返しの博多人形があり、初めて見たので、「深沢七郎の『秘戯』に出てきたやつやー!」と心の中で盛り上がりました。小説に出てきたのもこんな感じだったのかな、もっと凄みがあったんやろか……と想像するなどしました。
一定時間館内にいると、やはり何か、「パラダイス酔い」とでもいうのか、館内にこもる情熱と大量のエクリチュールともはやエロを超えたエロへの追求に、頭がクラクラしてきます。
外に出ると海へ続く景色は雄大で、咲き残った夏の花がきれいでした。
また息を切らせながら坂を上り駐車場へ向かいます。
坂の途中には、水仙を歌った歌の碑も立っています。
立川水仙郷は古くから水仙の名所であったというので、おそらく当初は普通に景勝地だったのでしょう。そこがいつから、どのようにパラダイス化されていったのか、その歴史を知りたいところですが、少し探した限りではネット上では情報は見つからずでした。誰か調べてないのかな。
なお、ナイトスクープ取材時に飼われていた動物たちはもういませんでした。
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ところで今回は、お土産コーナーで土産を買いました。「これが一番人気ですよ」と性交体位四十八手てぬぐいを勧められましたが私が買ったのは……
カセットテープ!
CDすら絶滅しそうというこのご時世に、いつからここに置かれているのかカセットテープは、どれもこびりついた埃(となぜか輪ゴムのカス)で表面がザラザラになっており、一度はスルーしかけたのですが、いや、ここで買わねば一生買うことはないかもしれん……と思い直し、比較的きれいなやつを選んで購入しました。500円。
袋がかわいい。
10分のカセットテープなんて超ひさしぶりに見ます。
ラベルが一部剥がれているのも味わいです。
「ラクガキソング」とは「チンチン音頭」の別名だそうです。だそうです、といってもそもそも「チンチン音頭」が世に知られていないわけですが。歌詞カードには「チンチン電車のチンチンと発声してください」という意図の分からない注意書きがあり、「作詞・お客様のらくがき 作曲・乙井信一」とされています。庭のチンチン音頭碑には「作詞・東田宣学」とされていたのでクレジットが違いますが、お客さんの声を東田氏が詞としてまとめた、ということなのでありましょう。実際に「チンチンいっぱいうれしいな」という落書きがあったのかどうかは分かりませんが。「東田宣学」は調べてみると、館長のペンネームであると書かれているサイトと、館長のお父さん?とされているサイトがあります。乙井信一さんという方は、淡路島で音楽教室を開いておられるようで、歌もこの方が歌っています。
家に帰り、「このカセットテープ、そもそも再生できるんか……? テープが絡まったりしないか……?」とどきどきしながら再生してみると(我が家は未だカセットテープを再生できるのです)、再生できた……! しかし! 録音状態がめちゃめちゃ悪い!! 音がすげえ遠くで聞こえる!
何度も何度もダビングを重ねたのか、あるいはダビング機能を遣わずラジカセの前に別のラジカセを置いて録音……というやり方で複製されたのかもしれません。最後には停止ボタンを押す「……ブー……ブチッ」という音まで入っていて、テレビの前にラジカセを置いて歌番組を録音していた子供の頃を思い出し懐かしくなりました。
なんとB面はカラオケ入りという、これも懐かしの構成です。腕に覚え(何の)のある方は、買って歌ってみてください。