珍寺大道場inマヤルカ古書店 に行ってきたよ!の巻


研究室の後輩・K君は私のことをいったい何だと思ってるのか、変情報や珍情報を得るたびに、「ジンギスカンキャラメルマジヤバイすよ」「グソクムシカチューシャがあるんすよ」など、私に報告してくれる人で、時には「youtubeにすごい前立腺マッサージの動画が上がってるんすよ」とかいう情報まで報告してくれていたのですが、「珍寺大道場ってサイトがあるんすよ」 と教えてくれたのも、たしか彼だったと思います。

私はもともと変スポットに惹かれる傾向がありました。変スポットとはたとえば、ちょっと土地をもった市井のおっちゃんが謎の情熱に基づいてコツコツと作り、かつうっかり変になってしまったような、いわゆる「パラダイス(桂小枝的意味における)」であり、そうしたスポットに偶然行き当たるたび、そのフリーキーさ、そしてマヌケさに、私の胸はなぜかときめいてしまうのでした(例:淡路島ナゾのパラダイス)。(なお、このときめきは、いわゆる「怪文書」やいわゆる「アウトサイダーアート」に対するときめきにも通じており、このあたりの概念整理は今後の我が課題でございます。)

さらに一方で、「宗教」や「信仰心」がそうしたパラダイス的情熱と結びつくとき、そのときめきは複雑さを増すのでした。
私は子供の頃、祖母から熱心な宗教教育を施されました。祖母は自分を「仏教徒」として認識していたようでしたが、今にして思えば祖母の教えは(日本人の「仏教」の多くがそうであるのかもしれませんが)世俗的道徳や皇室崇拝、はたまた地蔵信仰etcが混然となったものでした。
そしてその祖母に連れて行かれた寺や地蔵スポット、また祖母に見せられた教訓話や地獄絵は、有難い教えを表したものであるはずなのに、なんともいえないいかがわしさや淫靡さを帯びていることがしばしばでした。「人の両肩にはお地蔵さんが載っていて善行と悪行を帳面につけてはる」という話は、注察妄想に似た不気味さを喚起しましたし、多くの地獄系絵本は、時にサド=マゾヒズムに似た奇妙な昂揚を喚起するものでした。
「信仰に付随するこの奇妙な感覚は何か?」ということはそれ以降、私の生涯のテーマであるような気もしなくもなく、よって、パラダイスの中でも特に「宗教系パラダイス」の存在は、興味深いものであり続けてきたのでした。


……と、自己語り前置きが長くなりましたが、それはまあいいとして、とまれ、こういった背景から、そうした「宗教系パラダイス」すなわち珍寺を収集したサイトをK君に教えてもらったときは、「うおおお!似た嗜好の人がいるんや!! しかも全国いろんなところに行ってる!!うおおー!」と夢中で読みふけったものです。その時点で、長く続いている有名サイトのようでした。
名古屋大仏ハニベ、さらに台湾金剛宮に行くときも、「珍寺さんにも載ってたし!」と思いつつ訪れた気がします。珍寺さんを参考に訪れた場所もいくつか。
その後、SNSの普及で珍寺的な話題を目にすることが増えたり、珍寺的なイベントや本もよく見かけるようになったりと、同好の人が意外にたくさんいたことも分かりました。


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で、その珍寺さんの展示&販売会が京都であるというので行ってきました!
実はその情報は見かけていたものの、「上京区かー 遠いな」と思って忘れていたのでありましたが、なんと従妹から「珍寺大道場というサイトのイベントがあるんやけど」との誘いが!
従妹とは仲が良いのですが、珍寺好きとは知らなかったので、血縁とは……と思いました。

従妹が開店と同時に入りたいというので朝イチに待ち合わせ。
珍寺ファンの遠方の友人のために仏像スタンプを買いたいという従妹は、道中さかんに、
「売り切れてへんかな?」「もしかしてもうめっちゃ並んではるんかな?」
と心配していました。いや、さすがにそこまで珍寺界のシェアは広くないと思う。

会場のマヤルカ古書店さんは、千本通り(実はこの通りも大好きなのです)東入ルのいかにも京都なロージの奥にありました。
大きなこけしが目印です。(このこけし、よく見ると裾に京都のバスがっ!)






木造の趣きある建物を二階に上がると、どうやらわれわれがファースト客だったようで、男女のスタッフさん二人が快く迎えてくださりました。
この方々が珍寺大道場管理人の小嶋独観さんと、道場サポート兼奥様である小嶋独観子さんだったのでした。(ご夫婦であることをじつはこの日知りました。)
おお……いつもお世話になっております、と勝手に感慨を感じる私。思えばパラダイサー・浅野祥雲の存在もこの方のサイトで知ったんだよなあ……

窓から坪庭が見える素敵な、こじんまりした建物の二階、に広がるのは、一面サイケデリックな世界!!
色とりどりの珍仏像グッズや珍寺写真がひしめき、どこから鑑賞したものか、あわあわするわれわれ。
あわあわしていると、「良かったらこれを着て写真撮影を」と、仏像マントと仏像巻きスカートを試着させていただくことに!
なんとこれ、独観子さんの手作りとのことで吃驚。すごいよ〜〜!!





われわれの着こなしぶりもなかなかではありませんか? 従妹の巻きスカートは、家から着てきたかのように似合っていました。

二枚目写真の左上方に映っているのは、これも手作りらしい……とよく見ると、「目から手」ブローチではないですか! うわああああ!!




「目から手」
、そう、それはあの金剛宮におわします「甲子太歳金辨大将軍」であります。
そう、この人↓↓





わあああこれは〜!!とまたあわあわしていると、「そう、目から手ちゃんですよ」「こっちも目から手ちゃんです」と、この界隈では、彼はすっかり「目から手」というあまりにもあんまりな愛称で親しまれているようでした。
今回出展されていたグッズはやはり目から手グッズがダントツに多く、台北の街はずれにひっそり存在するあの像の、これほど人を魅了するインパクトに改めて感じ入ってしまいました。
グッズの中で印象的だったのは、自分も目から手(手から目?)になれてしまう目から手(手から目?)手袋でしょうか。あと、目から手Tシャツは、目から手の刺繍部分が取り外し可能になっていて、目から手部分が洗濯で劣化しないようになっているというアイデア商品でした!


従妹は無事、目から手スタンプを手に入れることができました。他にもいろんなスタンプあり!
これもハンコ作家さんの手作りだそうです。


トリゴエさんという方のお手製クッキー。うう、ここにも目から手が……。そして首まで君が……。


首まで君ペットボトル入れ(従妹撮影)。首まで君は、タイの地獄にいるそうです。
海外珍寺だとやはり「タイ、ミャンマーがすごい」とのこと。行ってみたい……


小さめの可愛い目から手ちゃんもいました。欲しいなぁ。。
背後の光背は、ミャンマー(だったかな?)のお土産と言っておられました。パチンコ屋のようです。


手編みの帽子やポーチの数々……
ファンシーな花柄×目から手! これも欲しかった!(これと迷った末に珍寺ノートを購入したのでした)





グッズの写真ばかり撮ってしまいましたが、展示されていた珍寺写真の数々も凄かったのです。田舎の広い土地に作られた珍寺(というか珍寺の多くは田舎の広い土地に作られてる気がしますが)には、ちょっとニキ・ド・サン・ファルのタロットガーデンを思わせるものもあったり。

今回の展示に合わせて作られた本も販売されていました。これはマストバイアイテム!(←初めて使った「マストバイ」)
表紙のデザインがもうパラダイスのパラダイス性を体現していますが、中身も迫力ある写真がぎっしりで素晴らしいです。国内外の珍寺が紹介される中、われらが京都からは、伏見稲荷が収録されていました。


独観先生にサインしていただきました!わわ〜い!!! 目から手落款も……!(しかし掠れている。)



短い時間でしたが、珍寺ご夫妻、色々お話してくださって嬉しかったです。
京都のおすすめ珍寺を教えてもらったり、寺ではないが変スポット(※「鮎家の郷」とか……)を紹介したり、 「変にしようという意図がなくて変になっちゃってるのが最高ですよね!」とか、こんなに変スポットの話で盛り上がれるなんて天国や〜〜!!
あと、金剛宮に行ったときの話をしていると、独観さんが「もしかして『邪』と言われた人ですか?」と。なんと金剛宮検索から、当ブログを通りすがっておられたのでありました。珍寺愛好の世界は広くて狭いのやな……。


短い時間でしたが、変なものを愛する人たちの集いというのは人を力づける何かがあるのか、なごみのひとときを過ごさせてもらえました。パラダイス=パワスポやー!
またマヤルカ古書店さんは、古書店としても素敵な品揃えでした(いろいろ欲しい本がありましたが一冊だけ購入)。友人のために買った珍寺グッズを、超可愛くラッピングしてくださったことにも感動!
と、幸せな気分になったと同時に、小さな空間にびっしり並べられた写真やタペストリーやグッズが濃密すぎて、私も従妹も帰り道はぐったり……。




なお、珍寺大道場さんのイベントは翌月東京であるらしいです。東京方面の方、ぜひ!!
珍寺大道場大博覧会2
2016年6月17日〜19日
デザインフェスタギャラリーWEST


↑このフライヤー、「ラ王」のデザインの人の作らしいです。