ポップを書いたよ/友人関係の本二件



こんにちは。
アートクリティーク というインディー雑誌のポップを書かせていただきました(大学生協に置いてもらう用)。
わたしはじつは本のポップ書きが子供の頃の夢だったのでうれしいです。酒屋ポップはボツになったし…。
若い「知」がぎうっと詰まった雑誌ってことで、きらきらさせてみました。黒地に白は、下地にマニキュアを塗ると発色がよい、という技を得ました。



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と、云う訳で『Art Critique』、わたしも少しずつ読ませていただいています。
ポップにある通り、美術批評・社会科学・哲学などについて、大御所へのインタビュウなどもありつつ、メインは次世代の知を担うであろう若手の書き手の文章です。

さて、さっき上で「知」という文字を書いたとき、かすかな抵抗を感じたのですが、どーもわたしは「知」という語を使うのにいまだ抵抗を覚えてしまひます。
というのは、そもそも自分自身が「知」から遠い人間であるので(むしろ血とか痴寄り)「知」とかいうんはおこがましい、という事情のためでもありますが、昔から感じていた、「知」ってなんか胡散臭い… という漠然とした印象のせいでもあります。

育った時代・環境が、「知」とかいわれるものに対する反発ムードが共有されていた時代・環境であったのかもしれませんが、「知」の牙城であるはずの大学に入って以来も、「知? けっ」という気持ちは消えずでした。というのは、「知」がある(とされる)人たちに対して、入店しにくいブランドショップみたいな雰囲気を感じたからです。店員も客もそのブランドの服を着ていて、違う店で買った服を着てると「プ、まだそんなん着てんの? 分かってないね(笑)」と嘲笑されそーな。――まあわたしの被害妄想かもしれないが。

たとえば、現代思想ぎょーかいにはまったく疎いのでこれはあくまで個人的な印象なんですが――
わたしが大学に入った頃は、まだ、ニューアカブームの名残りなのか、「モダン、プ(笑)」みたいな風潮があったように記憶しています。それがいまや、「ポストモダン(笑)」って感じではないですか?
イヤかつての図式やかつての流行を批判するのは構わないのですが、それが、「(笑)」につながってしまう雰囲気がなんかいやだったのです。(「知」がファッション化しているのがイヤ、とかいうわけでもなくて、ファッションならファッションで「欲望する機械カッコイイ、イエー!」みたいなノリでいけばいいのに、「イエー」でなくて「(笑)」な感じがなんか陰湿で嫌だ――被害妄想かもしれないが。)
とかく、新しいものがでてきたら古い図式は「(笑)」になって、また新しいものが出てきたかとおもえば、今度は古いものが新しいってことになって、もよもよ、とか続けても、それって例の「唯新論の迷路」なだけでなんかねぇ、と感じていました。
(たぶんそのような新し競争に疲れて、或る程度の年齢になったひとびとは、やたら親鸞源氏物語を語り出すのでしょう。)


それで、何が言いたかったかというと、この『Art Critique』には、かつての図式を「(笑)」で片付けてしまわず、そうしたモードの小脇で腰を落ち着けて考える的な堅実な「知」を感じたので、がんばってほしい!ということでした。
内容に就いてでなく、こんなざっくりとした印象感想しか言えずすみませんが……。

書店にも置かれていますが、こちらから↓も通販可です。送料80円。安い。
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知人も何人か書いています。何度か当ブログでも紹介しております京アカ関係者など。わたしが特に注目したのんは、上尾氏による、ネグリ精神分析学の接続の試み論文。正直内容は難しいんですが、じぶんのいつも気になっていることと近いところから問題提起がされているように感じました(のですが、見当違いだったらすみません)。じぶんのいつも気になっていることとは、社会に対する理想や希望を語るときに浮上する「だがそのときこのもよもよはどこへ行くのか?」ということです。もよもよというのは、死や性や攻撃性やマゾヒズムなどのことです。それから、浅野氏による『コモンウェルス』の紹介は、途中までそのようにもよもよを漂わせながら読んでいたのですが、ラストのあたりが周到&堅実でとても良かった!

あんま知人論文にばかり言及すると、なんか内輪だけで盛り上がってるように見えてしまってアレですが、そのように見えるとしたらひとえにわたしの文章力の故です。
あ、あと、座談会における「勝間和代船」という言葉はなかなかの発明だと思うので、流行語になってほしい。





   


さらにもう一冊、最近読んだ知人の本を紹介。
9月に出た山本貴光氏(師)の『コンピュータのひみつ』(朝日出版社)、やっと拝読しました。
勝手に先生などと呼んでいましたが、本当に先生になられたなあという印象です。ギリシャの哲学者と弟子みたいな口調(これもまったくざっくりな印象ですみません…)で、コンピュータについての超・根本的な疑問をめぐって対話がすすんでゆくんですが、たしかにこうした本って今までなかったかもと思います。
コンピュータやらインターネットの基本的なしくみに関する用語って、辞書やネットで調べても結局体系的に理解できず、分からんままにしておいたところが多々あり、が、この本でその全て――とはいわないまでも7割くらい、がすっきりしました。ありがたうございます。特に、コンピュータ用語の語源に遡って「これは本来こういう意味で…」といちいち説明してくれるのが、本当にギリシャの先生(注:ざっくり)みたいでよかった。

山本氏(師)はご存知哲学の劇場の主宰のお一人ですが、相方吉川氏の動きも待望してます。ます。