三月が終わりました。新学期か~~ 非フレッシュの民には苦手な季節ですね。
前々回のブログに書いた通り、三月の初め頃に友人の訃報を知り、そこからはそのことばかりでした。何をしていてもそのことを考えていました。仕事をしていても、なんか愉しいことをしていても、フッと気の抜けた瞬間に「ほんまにもういないの?」「マジかよ~」という思いがよぎります。まだ落ち着かぬ気持ちが続いております。
月の終わりに、友人の住んでいた街に行ってきました。べつに行ったとて何かが解決するわけでもないんですが(人の死という現象には解決策というものが存在しないため)、これから時が流れて悼むよすがが欲しくなったときのために、できることはしておこうと考えました。友人を知る人と会うことができました。以前案内された場所に行ったり、以前教えてもらった名物を食べたりもしました。
以下、その二泊三日の旅の記です。ふだん、ブログに旅行の写真を載せるときは、おもろスポットとかおもろ物件とかを紹介するために載せてるんですが、今日のはただ単に自分の心を慰めるためだけの自分用記録です。プライベートの日記で書けばいいようなものですが、こうしてweb上に漂わせておけば誰かいつか思い出を共有してくれる人もあるかもしれんな、という思いでupすることとします。というか、本来なら本人に「ここに行ったよ、こんなことしたよ」と話したいんですが本人がいないのでここに放流するか……って感じです。
そんな感じの自分用(あの世用)日記なのでめちゃくちゃ冗長で自分らにしか分からんことも書いていますが悪しからず。悪しからずの「あしか」の部分。
* * *
1日目
早朝に出発しました。これまでの旅の中で最も複雑な気分になる出発でしたが、バスに乗って空港へ着いて手荷物チェックしてバタバタ売店見て……という手順はいつもの遊びの旅行の出発と同じなのが不思議でした。

見事な晴れで、飛行機の中でアナウンスがあり、富士山の先っぽが見えました。通路側の席でしたが、窓側の女性に会釈して写真撮らせてもらいました。「こんな旅でも富士山の写真撮るんやな」と可笑しく思いました。
飛行機は苦手なので、いつも本を読んでやり過ごします。今回は、中野孝次『実朝考』(講談社文芸文庫)を持ってきました。実朝は気になる人物です。70年代らしい文体や言葉遣いも印象的な本でした。
到着しました。もっと複雑な気持ちになるかと思っていたけれど、やはり到着すると「嬉しい」という気持ちになります(単純に地上に降りることはうれしいし)。
「待ち合わせ場所」だ!!

前回――4年前もこの「待ち合わせ場所」を見たのを覚えています。そのとき私は以下のようなtweetをしていました。
幸福な待ち合わせ場所。死んだらここで死んだものたちと待ち合わせたい。盆だからかそんな空想をしてしまう。まめ子は別にそんなに我らに会いたくないと思うが。
4年前に書いたことを思い出しながら、4年前とはまた違う気持ちで、前を通り過ぎました。
出口を抜けると「米るくん」というキャラがあちこちにいました。かわいい! お腹がぽんよりしてる!



撮影用パネルもありました。「ちゃんとこういうこともしよう!」と言いながら、ペグレス(仮)に立ってもらって撮影しました。湿っぽくならんように、観光っぽいことも愉しもう! というのをこの旅のモットーとしました。
変わった形のベンチだな~と思ったら、県の形になっているのですね。 郷土愛を感じます。佐渡島もある!

やはり来てみると「会いにきたよ~!」という気持ちになってしまいます。もう会えないのに「会いにきた」などというのは欺瞞的でイヤだ、と日頃なら思うはずなのに。魂の実在とかでなくてこちらの感じ方の話だとは分かってはいるのですが、そこに彼女がいるような「気配」を感じるのがふしぎなことです。まめ子が死んだときも思いましたが、亡くなるとその人(や犬)は大気になるんやなあ……と考えて、それって千の風のアレやんか! 彼女は千の風とかひどい替え唄にしそうやのに!と思いました。――「彼女」とか「友人」とか呼び続けるのもアレなので、以下、「ひつじ(仮)さん」とでもしておきましょうか。(ひつじ(仮)さんはこれまで当ブログに別ネームで登場しているのですが、一貫した私のストーリーの中の登場人物みたいになってしまうのがイヤなので、今日は仮にこのように呼ぶこととします)
いきなりICカードの残額不足でモタモタしながらリムジンバスに乗り駅前へ向かいました。前もこの道を通った、と思い出しました。バスの中でペグレス(仮)に「マシュマロピアス勘違い事件」の話を聴いてもらいました。訂正する機会がなかったなあ。あと「珍しく出てしまったお国言葉」のことを思い出しました。こんなことずっと忘れてたのに、やはり現地に来るといろいろ思い出すものです。
バスに揺られながら、私が地元までやって来て、ひつじ(仮)さんはうれしいやろか? と考えました。うれしいとかうれしくないとか感じる主体はもういないはずなので意味のない問いのはずです。しかしそこでわれわれは、「もし彼女が生きていたら喜んでくれたはず」という不毛な仮定をしたり(生きていないからこそ生じた事態について考えているのに「生きていたら」という仮定は奇妙)、「私だったら、私が死んだ後に友達が京都に来てくれたらうれしいはず」と自分ではない人を自分に置き換えたうえでかつ自分が既に存在しない設定をするというややこしい操作をしてみたり、さまざまのこころみをします。此岸にある者が彼岸の者について考えることは(考えるということがそもそも生者だけの試みであるので)どうしたって無理が生じる奇妙なことなのです。にもかかわらず人間はそうしてさまざまな方策で以て古来から、なんとか死者との対話を模索してきたのでしょう。
駅に着きました。前に教えてもらった「タマ公」がいました!

この子は乳があるのですよね。以前、私が熱心に乳を見ている写真をひつじ(仮)さんに撮られました。
市民歌があることを知りました。(今youtubeで聴いてみたら北国らしいメロディでした)

駅で少し迷いました。あとで分かったのですが、前回は駅前の改修工事が行われていたので、前回と勝手が違ったのでした。そうそう、前回はまだ古く風情あるバスターミナルがあったのですが、「今度来るときはもう変わってるんだろうね」と言っていたのでした。
レンタカー屋で車を借りました。私の免許で運転するという手もありますが、この旅で事故るわけにはいかないので、運転はペグレス(仮)に任せます。カーラジオをつけるとHapa「Lei Pikake」というハワイアン?の曲が流れました。なんかよかったです。
朝食を食べていないので、「みかづき」に行くことにしました。みかづきはひつじ(仮)さんが、新潟人の愛するローカルチェーンとしてわれわれの初新潟上陸後真っ先に案内してくれたところです。味・価格・店舗のデザイン・「イタリアン」という謎名称、すべてが気に入り、その後リピートもしたしペグレス(仮)はみかづきTシャツまで買いました。
今回は、カーナビで出てきたAPITAというショッピングモール内のみかづきに行きました。

APITAって前も来たなあ!と思ったのでしたが、これは勘違いで、前に来たのは「Pulse」でした。広々とした駐車場がそっくりだったので間違いました(新潟には広々した駐車場のあるショッピングモールがいっぱいある)。
APITAは立派モールでしたがPulseはもっと寂れた感じでした。でも個人的に好みのレトロさで、みかづきも「子どもの頃連れられた夢のファーストフード」みたいな感じでとてもよかったのでした。Pulseはその後イオンになったことを今回知りました。
ともあれ、APITAのみかづきで、ホワイトソースのイタリアンを食べました。相変わらず美味い。ポテトとセットにしたら流石にお腹がふくれました。写真を見たら前回もホワイトソースイタリアンを食べてました。

少し必要な買い物をした後、広い道を走り、用(?)を二件済ませました。その間ずっと天気が良く、樹々や水路やガスタンクがぜんぶキラキラしていました。ひつじ(仮)さんはこの光景を見て育ったんやなあと思いました。独特の形をしている山もありました。「角田山」という山のようです。暖かくて上着が要らないくらいでしたが、やはり関西より少し寒いのか、桜の開花にはまだ早いようでした。
こちらのコンビニではアウトレット米菓が売られています。ひとつ買いました。あと雑誌コーナーでは田中角栄ムックもよく見かけました。
今日の用は済ませてしまったので行くところがなくなりました。美術館に、ほしかった図録を買いにいくこととしました。こんなときでも買書の牛です。

目当てはこないだまで催されていた「路傍小芸術」展の図録。まさにひつじ(仮)さんに教えられ、行きたく思っていた展示でした。残念ながら会期は終わっているので図録だけでも得ようとしたのでしたが残念ながら品切れ。が、通販可能との旨を親切に教えてもらえました。代わりに、ずっと気になっていた式場隆三郎展の図録を買うことができました……! そう、式場隆三郎も新潟でしたね。「アナタニツナガル」展というのの図録も気になったので購入しました。

新潟市美術館は静かで落ち着いており(企画展の時期ではなかったため人が少なかったせいかもしれませんが)、良い雰囲気でした。これまでの図録を見るに、ちょっと渋くてでも勉強になりそうな面白い企画が多く催されているようでした(あとポストカードがめちゃ安かった)。近くだったら通いたい。
昨今、美術館・博物館への「稼がなあかん」圧力のせいか、馴染みだった美術館はなんかやたらうわついた感じになっていて、こうした堅実で静かな佇まいの美術館を長らく見ていない気がします。
このあたり、周囲の環境も緑豊かで落ち着いた感じで、これって前に来たどっぺり坂の近くじゃないの? と思ったらば当たりでした。ひつじ(仮)さんにどっぺり坂周辺を案内してもらったのは、前回の旅の良い思い出のひとつです。海に近いからか、少し神戸に似た雰囲気やわと話した記憶があります。「どっぺり坂」の由来は「留年(ドッペる=ダブる)」。ひつじ(仮)さんと最後に会ったのは、ペグレス(仮)の運転で深夜の高速を金沢から新潟まで爆走したときだったと思いますが、深夜1時頃仮眠を取るペグレス(仮)の横で延々と「留年する人は信頼できる」「留年する人ばかり好きになる」「『夢のマイアミ』は留年ソング」などの話をしたのを覚えてます。よってここは留年の聖地(違う)。


近くに車を停め、まずは坂のふもとのお菓子屋さんに入りました。前回、教えてもらったお店でした。店内にはいかにもひつじ(仮)さんが好きそうな(そして私も好きな)こまごまとした装飾がたくさん。壁に掛けられたカレンダーのタペストリーを見て「あっ!」となりました。これ、前回もあった! そう、ちょうど前回来たのは2022年でした。なぜか当時からカレンダー変わってない!


ショーケースにはドイツ風の素敵なケーキが並びます。前回は「どれも可愛い!!美味しそう!!!」とテンション上がりながらも食べなかったので、今回はイートインすることにしました。


迷った結果、オパ(オペラ)、マローネン(モンブラン的なやつ)、ホワイトチョコのやつ(名前が難しくて覚えられず)、を食べました。ふたりなのに3つ選んだのは陰膳……的なことでなく、単に絞り切れなかったからです。クッキーもついてきました。見た目は美しいし美味しいし素晴らしい。「なんで前は食べへんかったんやろう」「食べればよかったのにな」と言い合いました。「でもわれわれが食べへんかったということは、よほどそれまでに食いまくって膨満してたんやろうな」。
何かこの店でお買い物をしたくなって、最近ずっとひつじ(仮)さんの話をしている共通の友人にお土産のお茶とクッキーを買いました。自宅用も買いました。そういえば前回は「どっぺり坂ブレッタ」を買ってひつじ(仮)さんに分けたんだったなあ……と思い出しました。
ケーキを食べているときにペグレス(仮)がスマホを見て「えっ!」と言ったので、どうしたのかと思ったら、「佐藤シンイチロウが亡くなった!」と言うのです。しんちゃん!? 驚きました。pillowsはじめいろんなバンドでドラマーをつとめてきた人ですが、私はなんといっても「Theピーズのドラマー」として馴染みがありました。武道館の舞台で皆で手をつないで輪になってくるくる踊っていた姿や、磔磔の開演直前までパチ屋に行っていたことをライブで暴露されていたことが思い出されます。人知れず闘病していたのが、しんちゃんらしいようにも思えます。しばらくすると、XのTLにはファンや仲間のお悔やみの言葉が溢れ始めました。

お店を出た後、周辺を散策しました。どっぺり坂を上ると海の方向に「海まで●m」という表示が続いています。それに沿って歩くことにしました。

民家や建物が並ぶ中を少し歩くと、やがて下り坂の向こうに海が見える光景が素敵でした。防風林?の中になんか銅像がありました。佐渡を指すモニュメントがありました。そういえば前回も三人で海を見て「佐渡島がぼんやり見えるような気がする」とか言ってましたっけ? 前回は海際に車を停めた気がするけれど、あれはどのあたりだったんだろう。




しばらく海を眺めて戻りました。坂でジャンプしました。

ちゃんと犬糞看板も撮りましたからね! 涙目の犬と猫と、錆びた犬たち。


再び坂を下ります。手すりのところがアンカーになっているのも素敵や。前回も同じアングルの写真撮ったよな。

以前入った砂丘館や、安吾の「風の館」の傍も通りました。砂丘館では阿賀野川の写真を撮っている写真家さんの展示を見たよね。「風の館」では安吾の税金滞納の話で盛り上がった。文学館といえば室生犀星記念館に一緒に行ったこともあったな。あれは金沢だったけど。当時ふたりとも金カム読んでたから、尾形のモデルにされた猫ちゃんのポストカードを買ったなあ。萩原朔太郎との交流がテーマのプチ展示をやってて、その後私が萩原葉子を薦めたんですよね。あと、受付で「高校生料金もありますけど」と言われて、さすがにそれはないわとびっくりしたよな(全員30代と40代だった)。
このゾーンには他に「北方文化博物館新潟分館」もあることを今回知りました。今度来たいな。金井写真館というのはすごいいい感じの建物だけれど、今は内部は公開してないみたいね。建物の前に縄文土器みたいなオブジェがあってびっくりした。「オギノ通り」まで歩いたんだけど、前にわいわい言いながら写真撮った看板とかがまだあったよ。

オギノ公園は、「オギノ式」の考案者である荻野久作先生の像がある公園で、ここも近所だったらちょくちょく読書でもしにきたいような良い雰囲気です。前回は木の葉がわさわさと茂っていて、銅像の近くにいこうとしたらひつじ(仮)さんに「こういうところは絶対に毛虫が落ちてくる、経験上分かる」と止められたので遠くから見るだけにしておいたのですが、今回は葉っぱがなかったのでオギノ先生の近くに寄りました。



銅像って面白いな、って最近思います。その人が実際どんな人だったか知らないけど、銅像になってしまうと「こんな服装だったんだな」とか「こんな仕草の人なんだな」とかそれでイメージが固定されてしまう。ほんまは銅像なんか作られたくなかったかもしれんのに、偉そうな人みたいなイメージになっちゃうし。それはそれとして、私は「自分だったら銅像なんて作られたくないな」とずっと思ってましたが(誰も作るなどとは言っていないので完全に不要な心配ですが)、最近、銅像作ってほしい人の気持ちがちょっと分かるようになりました。ひとりだけの銅像でなくて、仲の良いものとわちゃわちゃしていたり、犬や人と睦まじくしてたり、そういう姿を「こういう者たちがいて楽しくやってたんだよ」的に後世に遺してもらったらそれはそれで嬉しいかもしれん。まあ誰も私の銅像など作らないので、この文章とかがそれの代わりなわけですが。

歩いていたらそれなりの時間になったので車でホテルへ向かいます。車内では、ペグレス(仮)があいほんでクロマニヨンズの昔のアルバムを流しました。「ペテン師ロック」が流れて、ひつじ(仮)さんはこの曲が好きだったという話をしました。ファンシーな見た目に反してゴリゴリ好みの人なのです。「ごくつぶし」でも盛り上がってたなあ。「ペテン師ロック」を聴くと思い出す人がもうひとりいます。かつて、ヒロト&マーシーが好きで関西のクロマニヨンズライブには必ず来ていたおっちゃんがいたのでした。しかし病と闘いながら亡くなってしまい、それが「ペテン師ロック」がリリースされる少し前のことであったので、この曲を聴くとわれわれは「ぷっちんさんが聴けへんかった曲や」と思ってしまうのでした。ひつじ(仮)さんも毎週読んでいた漫画の最終回を読まないままになってしまって、あの世に届けてあげたい、と別の友人も言っていました。
でも本人はもういないのだから「読めなくて残念」という感情もないはずなんだよね。いないとはどういうことなんだろう。当たり前なんだけれど、世界が連続している限り、人は必ず「途中」でいなくなってしまうことになって、それがずっとふしぎでしょうがない。逆に言うと、世界を感じる主体が、世界のはじまりであるはずのこの私の存在がなくなってしまうというのに、世界が続いていくということがずっとずっとふしぎすぎる。
車窓からカラフルパンダが見えました。もう日本にいない動物。

(車で侵入できないところに入りそうになって難儀しながら)駅前のホテルに着きました。ビジホなのに広めの部屋でした。明日の準備をし、持ってゆくお花を買いにいくこととしました。ホテルの周囲にいくつかお花屋さんがありました。賑やかな駅前に昔ながらっぽいお花屋さんがあるのはよいなと思いました。淡いピンクとブルーの可愛いお花があり、それに白い霞草を添えたらちょうどひつじ(仮)さんがよく着ていた服のような色合いになりました。店員さんが花束にしてくれるのを待っていたら、実感が湧いてきてとてもとても悲しくなってしまいました。ピンクのは、ふんわりしたシフォンのスカートのようで、ブルーのは、遠目には淡いブルーだけれど近くで見ると花脈が濃い蒼に染まっていて綺麗でした。可愛い花束にしてくれて嬉しかったです。でもお花の写真はここにはupしません。選んだお花の花言葉がお店の前に書かれていて、他のお花は「前進」とかギラギラした感じだったのにそうじゃなくてちょうど良いなと思ったけれど、でもわれわれにはちょっときれいすぎかも? ほんとは「優しい思い出」じゃなくて「しょうもない思い出」とか「アホな思い出」とかのほうがわれわれらしいよね。そんな花言葉ないか。
ホテル部屋の暖房の当たらないところにお花を立たせて、晩御飯を探しにいきました。
「郷土料理」の看板がたくさんあったメイン通りにいったのですが、ここはキャッチがすごかったです。「キャッチを許さない街」という貼り紙がベタベタ貼られている前でキャッチがガンガン声をかけてくるのですごい。まともに店を吟味することもできん。ペグレス(仮)がカラオケ屋の呼び込みの人に声をかけ、「このへんでキャッチがいないところってありますか、キャッチってウザいじゃないですか」と訊き始め、コミュ力すげ~~と思いました。
カラオケ屋の人が「比較的キャッチのいない通り」を教えてくれたので、そちらに移動しました。

歩いていると、なんか見覚えあるホテルに遭遇しました。これは! 前回泊まった微妙ホテル!!
前回は駅前のちょっとよいホテルを予約し、ひつじ(仮)さんもそこを予約し、夜に皆でホテル部屋で酒盛りするつもりでいたんですが、なぜか予約したはずができていなかったのでした。結果、私とペグレス(仮)が微妙ホテルに泊まる羽目になったのは仕方ないとして、ひつじ(仮)さんは「地元人のはずなのに意味なくホテルにひとりで泊まる」羽目になってしまい、非常に申し訳なかったのでした。それなのに「いいよ、いいよ、前からここちょっと泊まってみたかったから」と許してくれたのだった。基本的にええ人なんすよね。(その数週間後金沢で「同じホテル酒盛り」を果たすことができました。ベッドでゴロゴロしながら最悪な話をしまくった。なぜかみんなで「矢部浩之のHOWEVER」を聴いたりした。)
そのホテルの近くに良さそうなお店があったので入りました。おかみさんと大将と常連さんがわいわいやってる小さなお店。なんかどこかでそっくりのお店に入った気がするけど初めてのはず。ペグレス(仮)は「新潟のお酒どれですか?」と尋ねて、教えてもらった日本酒を頼んでいました(アルバイトと思われる人がいくつか教えてくれたのですがあとでおかみさんが「全部新潟のお酒です」と訂正に来て笑った)。ホタルイカ、舞茸の天ぷら、それから前にひつじ(仮)さんに教えてもらって知った「栃尾」を頼みました。栃尾はあれから生協カタログでも頼んで家でもときどき食べてるんだよ。前に一緒に食べた栃尾は大葉と大根おろしがかかってたっけ。ここの栃尾は鰹節がかかって生姜と葱がはさんであったよ。


最初、食べながらしんみり話してたら、ペグレス(仮)が隣に座ってた二人組の常連さんにいきなり「バンドやってます?」「甲本ヒロト?」と声をかけられ吃驚。なんでわかるんだ! 同じ職場だというお二人のひとりはメロコア好きで自分も若い頃なんかやってたとの由、「どこからですか?」と訊かれ「大阪です」と言うと「大阪の人は怖いから!!」と言いながら大阪人顔負けのツッコミを繰り出し続けるメロコアの人。もう何を話したか忘れたけど、なぜかわけのわからん盛り上がりになり、そこまでのしんみりが吹き飛んでしまいました。私も「AVの女教師みたいな眼鏡かけて!」というツッコミにめちゃめちゃウケるなどしました(※私の眼鏡はふちが赤くてフレームが細い千円のやつ)。「そんで新潟には何しにきたんですか?」と訊かれた頃にはもう、しんみりと答えられる雰囲気ではなくなってしまっていました……。最終的に彼らはわれわれの飲み代を全部払って去っていきました。旅の一期一会すぎる!
なんだったのだ……! と言いながらホテルに帰りました。
前に「ふるさと村」で買ったにゃーがたTシャツを寝巻きにして寝ました。夜、NHKが統一教会の番組をやってて「がんばれ!」と思いました。

2日目
変な夜が明けました。早朝に起きました。
夜中、何度も目を覚まし断続的にしか眠れませんでした。
午前中、ひつじ(仮)さんを知る方に会ってもらえることになっていました。
一応ホテルのビュッフェに行ったもののあまり食べられず。ヤスダヨーグルト(新潟名物)とかきのこポタージュ(これはべつに名物じゃない)とか美味いものがいろいろあったのですが。そんなに緊張していたのにバタバタとして結局遅刻しそうになったのもわれわれクオリティでした。
車で「田中角栄が通した道路」(とひつじ(仮)さんが言ってたやつ)を走りました。途中ですごいまなざしちゃんを見つけたけれど写真は撮れず。走っていると広大に広がる土地の中にガスタンクが見えました。

一緒にフェスに行ったとき、私とひつじ(仮)さんはまさかのガスタンクでTシャツがかぶったことがあります。私はマニアパレルのうさタンクT、ひつじ(仮)さんはニコタンTで、「双子コーデや!(なんか違う)」と言いながら写真撮ったんでした。しかし地元にこんな立派なガスタンク景があったとは! 思わず「ガスタンクガチ勢やないか!」と天(?)に向けてツッコミました。
緊張のせいか冷えていたのか頻尿に陥り、道中のコンビニでトイレを借りまくりました。こちらのコンビニはどこも駐車場が広いね。コンビニの隣の公園に虚無動物がいたよ。


詳細は省きますが、この日の午前がこの旅のメインの時間でした。緊張していましたし来るまでは重たい気持ちもありましたが、来てよかったと思いました。この街でひつじ(仮)さんが生活してたのだな~と分かり、彼女を覚えているのは自分たちだけではないのだと知ることができました。われわれは一緒に旅行したり川の字で転がったり(なぜ??)もしたけれど、いうて文字上の交流が主であったし、他の共通の友人も遠方であるから、地元での生活や交友について詳しく聞いたことなかったんだよね。そこへ、地元で彼女を知る人に会えてホッとしました。私は文字人間だから、文字だけの交流でも充分心は通い合うのだとむしろその方が通い合うのだと信じてきたけれど、こうしたときはやはりその人と紐づいていた「土地」とか「人間関係」とかを欲してしまう。弱さですやろか。本人がそうしたものから自由になっているというのに皮肉なものではあります。
彼女を知る人が一緒にアルバムを見てくれていろいろ話をできたのも嬉しいことでした(連絡を取った当初われわれはめちゃ怪しまれていたので「本当に友人なんです」ということを示すために写真を持っていったんでした)。彼女にとっては地元の知り合いと私はぜんぜん別コミュニティの人間であっただろうから、両者が邂逅するなんて考えてもなかっただろうし、知ったらウケるんじゃないかな、と思いました。前に遊びに来たときも「見馴れた場所にホルたちがいるのウケる」と言ってたし。私は当初、こんなに早くこの街に来るつもりはなかったのです。来るとしてももっと時間が経ってショックが薄れてから、と思っていました。ペグレス(仮)が促してくれて各所に連絡を取ってくれたこと、また、共通の知人が「しんどいと思うけど行ってあげてください」と言ってくれたことに励まされて来る気になったので、それは彼女のためというより自分のために感謝です。
ところで、この初対面の方にまで「なんか、●●さんと似てません?」と言われて驚きました。われわれが似てるとか分身だとかいうのは半分くらい身内の内輪ネタのようなところもあると思っていたのでしたが、「今日、最初お会いしたとき、あれ?って」「本当に●●さんと喋ってるみたいで……」と言われ、ほんまにそうなんやなあ、と。嬉しいか知らんけど本人にも教えてやりたい。
「形見」という言葉は今では遺品の意で使われることが多いですけれど、古語ではもっと広く「いなくなった人をしのぶよすが」くらいの意味で使われますよね。「あの人も見た月をあの人の形見として眺めよう」的な和歌もあった気がします。その用法で言うと、私は私の姿をひつじ(仮)さんの形見と思って眺めることにしましょうか。ひつじ(仮)さんはわれわれのことを「ほぼ同じ人間ですから…」と言ってたし(※自他境界オワ太郎)。
しかし一方で、他人の醍醐味は自分ではないことであるのですから、よく似ていながら自分ではない他人がいなくなってしまったことは、どうあっても埋めることのできない喪失です。
ともあれ非常に有難い時間を過ごすことができました。晴れた日でよかった。「せっかく来たのだから、●●さんと一緒にいるつもりで観光してください」と言われ、退出しました。どっと緊張が解けて、コンビニで飲み物と菓子を爆買いしてしまいました。

まだ午前の早い時間。この後どうするか、なんも考えてなかったので、ともかくこの街の海際を車で走ることにしました。
カーステで『リハビリ中断』を流しました。Theピーズのね。
最近、SNSでなんか書いたりLINEグループに投稿するたびに、ついつい「ひつじ(仮)さんからリプライあるかな」と思ってしまって、ああそうだった、NO REPLY……ということを繰り返しています。NO REPLY、反応ゼロ、だ。以前ひつじ(仮)さんが「『反応ゼロ』を葬式で流してほしい」「というか『リハビリ中断』をフルで流してほしい、最高のあの世アルバムだから」と言っていたのでした。われわれは音楽に感動するとすぐ「葬式で流してほしい」と言いがち族であるので本人はそんな発言は忘れていた可能性が高いですが。
えーいもうじきニヤけっちまおう
とり残し合ってんだったらたいした事ねー
えーいもう オチもなさそう
誰かの言うまま 黙ろう くたばろう
バカに自由だ ひどく自由
「反応ゼロ 応答ゼロ 期待外れゼロ 便利だ」って歌詞がすごいや。アルバムのラスト曲。他にも共通で好きなラスト曲といえば、『赤羽39』の「サマー記念日」を彼女が「サマー記念日は美しい遺書のよう」と評していたのが見事であったな。あと2019年頃は台風クラブの「飛・び・た・い」と「まつりのあと」の話を毎日してたんだよな。
このままだと隣の市まで行ってしまいそう、ということで海岸から折れたところで、アルバムが『どこへも帰らない』に変わりました。「底なし」は、初めてしんちゃんを入れて三人で演奏した曲だって武道館で言ってたな、と思い出しました。生きてる者はいろんな人の追悼で忙しいな、と思いました。一夜明けてXにはしんちゃんを悼む言葉やエピソードがたくさんでした。
特に予定はないのでとりあえず、以前に案内してもらった「ふるさと村」に来ました。相変わらず良い建物です。「時の旅人館」はやはり閉館していました。
「ふるさと村」の向かいにあった寿司屋で昼飯を食べようと思いました。やはり以前案内してもらった店でした。安くて旨い寿司にひつじ(仮)さんは自慢げでした。しかし、「ふるさと村」の向かいだったはずが見当たりません。コメリと同じ敷地にあったはずですが、その場所は「コメリパワー」になっています。調べてみると、その「はじめずし」は、前回われわれが行った直後に負債を抱えて閉店していました。閉店力! たぶんひつじ(仮)さんから聞いてたはずですが、すっかり忘れていました。
気を取り直してその隣の「三宝」に入ることとしました。ここも前に気になっていて、ひつじ(仮)さんも普通にいいよ的なことを言っていた気がするのですが、時間がなく入らなかったのでした。


こういうローカルファミレスって大好きなのです。チェーンファミレスがワンオペになる前の「夢のあるファミレス」って感じがします。「さわやか」や、滋賀に残ってる明治亭もこんな感じかも。京都・大阪にはこういう店あんまり残ってない気がします。油絵やたくさんの造花が飾られているのも好きな感じでした。



少し待ったけれどすぐに入れました。豪勢に行こう!ということでステーキ膳を頼んでやりました。朝は食欲がなかったのに。三宝は中華が自慢のレストランなのかな? ステーキ膳にはエビチリもついていました。エビチリの器が壊れていてチリ部分(?)をぶちまけるトラブルはあったものの、大事には至りませんでした。さすがに満腹になりました。

ふるさと村に戻り買い物をしました。ここは観光客だけでなく地元の人も買い物すると聞きましたっけ。お魚の値段が大阪とぜんぜん違う!! クーラーボックスがあれば買って帰りたい!
お土産コーナーでは新潟Tシャツを増やしました。既に「にゃーがたT」と「ヤスダヨーグルトT」を持っているのですが、新たに「ポッポ焼きT」を買いました。ポッポ焼きもひつじ(仮)さんに教わった食べ物で、今度屋台で一緒に食おうと言っていたのでした。

もうひとつの建物(お買い物館でなく展示館のほう)にも入りました。ペグレス(仮)はここの降雪機が好きなようです。前回と違って、建物になんか企業の名前がついてました。ネーミングライツってやつでしょうか。
入ると人が近寄ってきたので何かと思ったら、お菓子(ル・レクチェのグミ)を来場者に無料配布しているのでした。有難くもらいました。こういうのってだいたいなんか売りつけられるのとセットになってるけど、マジ配ってはるだけやった……! 新潟は何か全体的に、豊かさというか余裕のようなものを感じます。良い街だ~(グミをもらったから誉めているのではない)。
これ、前に歩いた庭園と同じかな? 梅が咲いてたよ。

前は夏で、夏の植物が見事だった。スーモがいっぱい生えてたなあ。(※コキア?をわれわれは「スーモ」と呼んでいた)
庭園の端っこに家屋の展示があるな~と思ったら、「レルヒさんの家」だった!

レルヒさんのこともひつじ(仮)さんに教えてもらったのだ。ペグレス(仮)は前にレルヒさんTシャツも買ってた。レールヒレルヒレルヒっさーん、好き好きスキーレルヒっさーん♪ って歌、昨日の飲み屋の二人に訊いてみたら知らないと言ってたけど、「レルヒさんの家」では歌ってる子供たちがいたよ。
なんだこれ……絶対好きそう。



写真パネル。これの腹部分がすごい。

館内に戻りました。前回はここで新潟の歴史の展示をゆっくり見たのをよく覚えています。「これ覚えてる」とか言いながらひとめぐりしました。

前回印象的だったのは「昔の民家のジオラマ」です。すごく凝ったつくりでお金もかかっていそうで、「こんなの今では作れないのでは」とか言いながら見ていたのを覚えています。ひつじ(仮)さんは子どもの頃それが気に入っていたようで、「子どもの頃、どうにかしてこれをまるごと持って帰りたかった」みたいな思い出を話していました。でも、そのジオラマが三つもあったことは忘れていました。
降雪機は大人気でした。前回、ここで私とひつじ(仮)さんが雪に降られている動画をペグレス(仮)が撮っていました。ここの雪は、サラサラした気持ちのいい雪でなくボタボタした水っぽい雪です。ひつじ(仮)さんは「新潟の雪はこういう雪、よく再現している」とか言ってました。そういえば私がこの街に来たのは春と夏だけ。冬のこの街を見たことはまだないのです。

入口には名産である鯉がいました。前もここで二人で写真撮った!と言いながら撮った写真です。

ふるさと村の隣の、前回訪れたカフェは健在でした。せっかくなので寄ってみることにしました。ここもまた、近くにあると通いたいようなカフェなのです。お店の人がファンらしく、田村ゆかりさんにちなんだ店名がついています。お店の中には可愛いものやオタクの好きなものがたくさん。

エフェクターボードがちゃんとある!すみっコバンド。

お人形に埋もれてタヌキとキツネがいた!

前回座った席にこの子たちがいて、ひつじ(仮)さんと一匹ずつ抱いて記念撮影をしたのでした。なぜか両者とも光のない目でぬいぐるみを抱いているその写真が最高なのですが、ネットにupするのはアレなので、当時インビュー日記にしたんでした。(私は「気に入っているがネットにupできない写真」をよくインビュー日記にします)

これは店の内装と服の再現度が高いと言ってひつじ(仮)さんが気に入ってくれたんでした。
ちなみに今回も前回と同じ席に座りました。ラベンダーティーを頼みました。可愛いティーセットで、めっちゃ気前よく出てきた! ゆっくり飲みました。


ここで午前中会った方にお礼のLINEもしました。するとすぐにレスポンスをいただきました。こうして彼女のいた街と縁が続くと思うと気持ち的に大変ありがたいことです。諸々の心遣いも有難かったです。お店にあった『ネコノヒー』と『新潟あるある』を読んでなごみました。

とにかく紅茶の量が気前良すぎてめっちゃ長居してしまいました。(そう、前回はここで満腹になりすぎてどっぺり坂のケーキ屋のケーキを食べられなかったのでしょう、思い出しました。)
大変満足してお店を出ました。なのに、駐車場へ向かう道で、前回来たときは三人だったのになあ……と思うと、なんで? と考えても考えても詮無いことではあると解っているのですが、やっぱりやっぱり悲しくなってしまいました。
But you and I, we live and die
The world's still spinnin' 'round
we don't know why
Why, why, why, why

レンタカーを返すまでに少し時間があったので、街の方に出、前に案内してもらったレコ屋に行ってみることにしました。めっちゃコンビニに寄りながら(紅茶を飲み過ぎてまた頻尿になったため)、これかな? と思うお店に着いたのですが、なんか前回と雰囲気が違います。店を出てから、前入ったのは近くの別の店だった! と分かりました。そちらへ行ってみたところ、別の美容関係のお店になっていました。調べてみるとここも閉店していて、しかしネット店舗は営業中のようでよかった! 前のレコ屋はなんともいかつい品揃えで凄かったのでした。ひつじ(仮)さんはその中でもとりわけいかつい盤ばかりチェックしており、店員さんに「やばいですね」「新潟では生きづらいでしょう」みたいなことを言われていて笑いました。ひつじ(仮)さんはファンシーなものもゴリゴリなものも好きなファンシー&ゴリゴリの民であり、かつ脱力と正義感と虚無を兼ね備えているという、ほんとうに得難い人物でした。
以前はこの店を出た後「長屋みたいな路地の奥のレコ屋」にも案内してもらったのですが、それはどこだったか分かりませんでした。

町を散策していたら鯉(偽)の泳ぐ通りがあり、ペグレスが「ここ覚えてる、~~の話してた」と言いました。

たしかに既視感。前回はこのへんの飲み屋で栃尾などを食べた気がします。その帰りに「ドンルクのひどい日本語カヴァー」の話をしていた記憶があります(とにかくひどい話ばかりしている)。
あと「人情横丁」も通りました。前にひつじ(仮)さんが「人情横丁を通ったときにホルが『急に好きな感じになってきた!』と言って眼鏡をかけ始めた」という思い出をツイートしていて、私はそんなこと忘れていたんですが、今回「これか!たしかに好きな感じ!」と確認しました。
レンタカーを返すついでに駅で「タマ公がいっぱいいるところ」を探しましたが見つかりませんでした。少し前にひつじ(仮)さんから写真が送られてきていたのですが……。しかし後でこれは、駅でなく古町のほうであることが分かりました。
晩飯はホテルの近くで適当に食べました。流石に疲れてしまいました。店を探している最中に、聖地・トメーテを発見し、めちゃめちゃ盛り上がりました。

おお~~われらがトメーテ。聖なるトメーテよ。
これのおかげでその後べつの街を旅行した際、駐車場を見つけるたびにそのネーミングを確認しては「トメーテには及ばない」「なかなかいい、でもトメーテは超えられない」とか言い合う無駄な時間が生まれたのでした。
ペグレス(仮)は「俺もこれからトメーテって呟くわ」と虚無な決意をしていました。「トメーテを止めるな」と言いながらホテルに帰りました。
午前中お会いした方に「似てる」と言われた話やこっちへ来るに際して大変だったことの話を何度もしました。「ひつじ(仮)に教えたらなんて言うかな」と言い合っては、「きっと『ぺよー!』って言うわ」とか「『すまん~~』って言うてるわ」とかわれわれは想像します。人がいなくなるとこうして、「彼/彼女だったらこう言うだろうな」と想像して、その語らいの中でわれわれは故人を生かし続けそうとします。そうある限りその人は生き続けるのだと思います。思いますが、その一方、それはどこか掌サイズの故人でもあって、他者というのは本来もっと鬱陶しく、しばしばこちらの予想を裏切るものであるはずなのに。
3日目
だらしない格好で朝食ビュッフェをダラダラ食べました。ヤスダヨーグルトがやはり美味しいです。

今日はもう誰に会う用事もないので、昨日のように緊張してはいません。でもやっぱり、いろいろ考えてはしまいます。
しばらくゆっくりしてチェックアウトしました。チェックアウト時、ホテルの隣に「ッソ」があったことに気づきました。これも導きでしょうか!


今日は街を歩くこととしました。駅前の大きな通りを歩き萬代橋に出ました。橋から見る信濃川が美しい。早朝、少しだけ雨が降っていましたが、もう晴れ渡っています。最初にひつじ(仮)さんに案内されたとき、「これが信濃川!」「名前だけ知ってる有名な川に会うとテンション上がる」とか言いながら皆で河川敷を走ったんでした。

橋を渡った側に商店街が集まっています。昨日レコ屋に寄った通りもこのあたりです。ちょっと街の作りが分かってきました。前はただただひつじ(仮)さんについていっていただけでしたが。部分的に碁盤になっているのですね。街の歴史や通り名の由来を説明するパネルがあちこちに貼られていて、歴史を大事にする街という印象です。





「古町6」に辿り着きました! ここがタマ公のいるところ!



おお~~ ひつじ(仮)さんが写真を送ってきたところだ! 来たよ~~!!



前回は一頭だけだったオリジナルタマ公の周囲に、なんか眷属みたいなものたちが多数群がっています。これは一体? パネルによると木彫りの「たまさん」は藤浩志というアーティストの作品のようです。他の子はワークショップで作られたのかな??
お鼻がパンダになっとる!

この商店街は、花壇があって(なぜかお花でなくお花の絵が植えられていた)、彫刻があって、好きなタイプの商店街です! 昔の藤森ローズセンターがちょっとこんな感じだったかも? 新潟はこういうスポットが生き残ってるところに豊かさを感じます。前回ひつじ(仮)さんに案内されながら「看板かわいい」「今度ここ来たい」と言いながら写真撮ったお店や、良寛像も見つけることができました。





あわ雪の中に顕ちたる三千大千その中にまたあわ雪ぞ降る
白山神社・白山公園のほうへ歩いてゆきます。このあたりはちょっとおしゃれなゾーンなのかな。アーケードが延々と続きます。広い街だなあ。ひつじ(仮)さんもこのあたりを徘徊していたのだと思いますが、どこで買い物してたんやろう、お気に入りのエリアとかあったんかな、と考えながら歩きました。お気に入りのスポットとかもっと教えられたかった。


急に観光地めいてきて、観光客がどこからか増えて、白山神社に着きました!
前回、二泊三日のうち最初の二日をひつじ(仮)さんに案内してもらって、最後の日はどこ行こう?って話のときに、「白山公園とかも行くといいよ」と聞いたのでしたが時間なくて行かなかったんですよね。だからここも「来たよ~」という感じです。
ポッポ焼きののぼりが出てた!

ポッポ焼き!食うぞ! と意気込んだのでしたが、屋台がまだ開いてませんでした。また今度。
境内は梅が盛りで綺麗でした。関西は梅は終わってしまったので、梅に逢えて嬉しい。

白山神社はインスタ映えを狙った神社って感じでした。ハート型の絵馬とかカラフルな何かとかうさぎさんとか、インスタ映えそうなものがたくさんあった。

そしてタマ公がいました! ここにもタマ公がいるというのはひつじ(仮)さんから教わっていたのでした。

このタマ公は乳がないんですね。駅・古町の子とは違うタイプ。尻が立派でした。
隣の看板によると、子どもたちの寄付も得て昭和12年に最初のタマ公像が建てられたものの太平洋戦争で供出されてしまったとのこと。よってこの像は昭和34年に再建された二代目だそうです。ペグレス(仮)はこの解説を読んで「人間!嫌い!」と憤っていました。
小高いところからの景色がきれいでした。公園をもっと散策したかったけれど、この日は気温が上がって、ジャケットを脱いでも暑いくらい。あまり歩き回らず引き返すこととしました。



白山神社は犬連れ禁止で「タマ公がいるのに犬禁止なんて~~」と思ったのでしたが、梅園のほうには、犬も入れるコースを示したマップが掲げられていて、やさしさ……と思いました。
帰りは違う道を通って引き返しました。道中で見かけたやつ。かつて花壇だったものと思われます。「おつかれさまです。ベンチとしてご利用ください」。これも新潟のやさしさでしょうか。

歩いているとこの看板に出遭い「あああー!!」となりました。前もここを通って、なぜか三人ともこの看板を写真に撮っていたのでした。

ホテル名の下の「が民宿に」にウケたのだと思われます。
私とひつじ(仮)さんが初めて会ったのは富山でした。二人とも初めての地でしたが、集合場所から目的地まで行く間に、いろんな看板やら貼り紙やらにはしゃぎすぎて異様な時間がかかったものです。なぜかグルグルに梱包された散髪屋の看板を見つけて「アー!!」と写真を撮り始めると、ひつじ(仮)さんも「アー!!」と写真を撮り始め、通りすがりの人に困惑した様子で見られたのを覚えています。
八千代橋を渡りました。前回逆向きに渡った橋です。この看板とひつじ(仮)さんの写真撮ったの覚えてる!

向こう岸には万代シテイも見えます。もうちょっとしたら川沿いは桜が満開になるのかなあ。

向こう岸へ渡り、万代シテイに着きました。ここで例の「バスセンターのカレー」を食べて帰るのです。万代シテイ カレーバイヴス
バスセンター、前に来たときからちょっときれいになっている気がしました。そして、昼時とはいえすごい盛況でした。

万代シテイ カレーバイヴス

おお、ばんにゃいの可愛い貼り紙とカスセンターのバレー(c:ひつじ(仮))よ。前回来たときはまだコロナが言われている時期だったにもかかわらず、われわれはこれを回し食べていたんでした。みかづきとはしごしたんだよね。食いすぎやろ。今回空腹状態で改めて食べてみると、たまねぎの甘味が美味いね。
ここでは白いフレンチブルにも遭遇しました。舐めてくれたんだよ。
その後、上の階でやはりみかづきへ。前回とは逆順のはしごです。そうそう、この街に到着して最初に連れてきてもらったみかづきです。ここでも最悪な話をしたよね(内容は伏せます)。APITAの珈琲は激安でしたが、ここは珈琲がCOSTAでちょっとお高い。店舗によって違うんだね。でもAPITAでもらったクーポンも使えたよ。



甘いものは、チョコサンデーとチーフナッツを食べたよ。チーフナッツは別の新潟出身の方に勧めてもらったんでした。小豆アイスって滅多に食べないんだけど美味かったよ。しかしなかなかの量だった……デザートひとつで充分だったな。


ここはなんか気持ちのよいショッピングセンターだね。晴れてたから余計に。今回も時間なかったけど今度ゆっくり歩きたいです。
前に写真を送ってくれた「光るばんにゃい」は見つけられなかった。平日はいないのかな? でもあちこちにかわいいばんにゃいがいました。ばんにゃいのLINEスタンプ買おうかな。



ホテルに荷物を取りに戻ってあれこれしていると、あっという間に空港へ行く時間になってしまいました。新しくなったバスターミナルでリムジンバスへ。
駅から空港までの道、最初に来たときにはどこをどう走っているのかさっぱり分からなかったけれど、もうなんとなく街のどこにいるのか分かるのが面白い。数年前まで縁もゆかりもない地だったけれど、ここを第二か第三の心の故郷だと思うことにしようと思います。

こんな旅行だから食欲もないだろうなとか土産とかも買う気しないなとか最初は思っていたけれど、たくさん食べたしいろんなところを見たし空港でも「あわ雪」というお菓子を買ってしまいました。また来よう。
「リル 俺 今はまだ 動けないよ 震えてる」って、The Birthday の「リトル・リル」。ほんまに震えて動けなくなるんやなあと知らせを聞いた日に分かりました。まだ時々震えてしまう。そんで、「リル また 想い出して 会いにゆくよ 夏が来たら」って、ほんまにそんな気持ちになるんやなあ。夏じゃないけど。
あの翌年の曲であったから、「リトル・リル」はチバがアベフトシのことを歌った歌詞、って当時言われていましたね。実際のところは分からないし、そうだったとしても歌というものは作られていく中で様々な思いが乗っていくものだろうからひとつの出来事に回収はできないと思うけれど。そういえばそもそもわれわれはミッシェルつながりで出会ったのだが(もうそんな起源は二人とも忘れていたけど)、最後に会ったときに一緒に Birthday を観たんですよね。なんか原点回帰みたいと言い合ったのでした。チバのいるBirthdayを観たのもあれが最後だった。
昔のログを保存したりしていたら、ひつじ(仮)さんがミッシェルについて書いた文章が奇跡的に残っていて、まだアベが亡くなってそれほど時が経っていない頃の命日に書かれたもので、昔の文章だからリンクは張られたくないと思うので私の責において要約すると、「アベが死んでしまったことはとても悲しいし、きっとずっと悲しいままだが、アベが確かに存在して、すごい曲たちのすごいギターを弾いていたという事実は絶対消えない」というようなことを彼女が書いていたのでした。ほんまにそうやね、これ書いといてくれてありがとう、ってめっちゃ思った。

搭乗前の待合所で空を見ていて、「永遠なれ」と思ったらやっぱりちょっと泣いてしもうた。まあ仕方ないすね。
友人と一緒にいるようなつもりで街を巡りはしたけれど、ほんとうはもういないことは分かっているし、そしてまた何の因果か彼女がいなくなってから世界は加速度つけて不正義が横行し、いやずっと前からそうだったとはいえ少数の人間が本当にすべてをめちゃめちゃにしていて、こころ安らかに追悼もさせてもらえないような状況。それでも生きていかざるをえない(オーケン)ので、まあがんばるです、という感じです。そうそう、われわれは一緒に「踊るダメ人間」でダメジャンプをしたこともありました。二人ともちょっとタイミングがズレていた(ダメジャンプでさえダメだった)。
もう直接話すことが叶わないのは悲しすぎるが、せめて、ひつじ(仮)さんが薦めていた漫画を読んだり音楽を聴いたりしていこうと思うよ。こないだは『庭のざぶとん犬』を買ったよ。ちょっとまめ子を思い出しました。

伊丹空港に着いたらこれがあったよ。新潟空港では「待ち合わせ場所」だったやつ、こっちでは「お引き渡し場所」でした。ちょっと味気ない。でも絵は可愛いね。
