二度目の日帰りバスツアー! 130万健康ジュエリー、郡上八幡ピンポンダッシュ、悲しみのくまちゃん

先日、14年前に行った母との日帰りバスツアーの思ひ出を(今更)書きました。


ここで予告した通り、14年ぶりに母に日帰りバスツアーに誘われました。

今回は、京都から郡上八幡を目指す旅です。一人なら無料で同行者は6000円、よって実質一人当たり3000円。昼食付き、そしてまたも特に興味のない買え買えスポットに立ち寄るプランでありました。……行ってきました!

 

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■ 京都出発

日帰りバスツアーの朝は早い。今回も、バス乗り場に7時台に集合です。

前回と同じく、中高年の女性がほとんど。男性参加者は前回よりも多かったかな。われわれと同じく母娘と思われる組もありました。前回は私(当時30歳)が最年少だったけれど、今回は同年代がいるかな? と思いきや、今回もどうやら私が最年少。たしかに同年代でバスツアーに行く人の話ってあんま聴いたことないな、そりゃあみんな旅行は普通に個人で行くよね。

 

バスにはコアラさんがついてました

 

前回と違うのは、添乗員さんがずいぶん年下に思えたことです。まだ経験が少ないという若い添乗員さん、ひとりでこんなに大量の大人たちを率いるのは大変だろうなあ、自分が若い頃はそんなにしっかりしてなかったよなあ、と思いました。運転手さんは笑顔の優しい愛想の良い人でした。まずは京都東から高速に入り滋賀方面へGO。母は、今回は指輪を着けていませんでした。安心だね! そして、さっそく車内販売のえびせんを買っていました。

 

 

■ 午前8時の健康ジュエリー

さて、しばらく走ると、いきなり買え買えスポット立ち寄りタイムです。今回は「健康ジュエリー」。ただのジュエリーでないところが、中高年向けに考えてあるなって感じです。郊外の施設でバスから降ろされると、店の前にはスーツを着たスタッフさんたちが並び「おはようございます!」「ようこそいらっしゃいました!」とお出迎え。またも、椅子が並べられた講義室のような部屋に通され、部屋の壁にはさっそくギラギラしたフォントで「無金利分割払い」の文字が貼られており、壇上にはゴージャスそうなネックレスが展示されています。しかし商品の名は「コラーズ」「コラネーゼ」という脱力ネーミング。肩こりに効くそうです。

 

謎の紙を配られる

 

ここ、名前は前回と違いますが、前回行った会社と同じ系列でした! 前回は本社で毛皮を見せられたのでしたが、今回はそのジュエリー部門のようです。

しばらくすると、キラキラしたヘアバンドを着けた女性が壇上に現れ、講義が始まりました。前回の人と同様パンチの効いたキャラクターで、やはり話術がすごい! ただ商品を宣伝するだけでなく、巧みに自分の経験談や失敗談を交え、ちょっと客いじりも入れ流行の時事ネタも入れ、聴衆を盛り上げながらのハイテンションなトーク。この時点でまだ朝8時です。朝8時からこのトーク 前回はただ「うへ~~」と思って聴いていただけでしたが、今回は「すげえ……」「仕事の参考にしよう、いや、でも、うちにはムリや」とか感心しながら聴きました。あの後、私も人前で喋る機会が増えたのですが、何年経っても上手くならんのです……。

聴衆は、京都発バスの客と大阪発バスの客が半々だったのですが、客いじりの際は大阪発バスの客のリアクションが抜群で、やはり大阪の人はノリがええな、と思うなど。そうして聴衆をノせつつも、科学的な(?)用語を交えて商品の効用をアピールするのも忘れません。この時点で早速試着を希望するお客さんも。商品は一貫して「作品」って呼ばれてるのが興味深かったです。「作品」は「管理医療機器」と認定を受けているのがウリのようです。管理医療機器て何? そういえばよう知らんかったので調べてみました。「医薬品医療機器等法」で定める「医療機器」とは、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しく は機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く) であって、政令で定めるもの」であり、そのリスクの高い順に「高度管理医療機器」「管理医療機器」「一般医療機器」に分類されるそうどす。磁気ネックレスとか電気マッサージ器とかは一律に「管理医療機器」になるそうどす。へー。

 

講習が終わり、われわれは展示場に放たれます。前回と同じく、ここに90分軟禁されるのです。ベンチに座って本でも読んでやり過ごそうとしましたが、ベンチは早くもやり過ごし派の皆に占拠されており、座れませんでした。奥さんに連れてこられたらしきおじいさんが、「この後ごっつぉお(ご馳走)食べるためにこんなんを我慢せんとあかんのか……」とこぼしていました。

母はといえば、買う気もなさそうなのに意外に果敢に試着に挑みます。商品を試着すると、入館時に渡された紙にチェックを入れてもらえて、景品と交換できるのです。「どうせ石一粒とかやろけど」と言いつつチェックを入れてもらい、ダイヤの磁気ネックレスを試着する母。ダイヤのおかげで磁気の伝導が良い、というような説明を受けます。「う~ん、ええけど、お値段がねぇ……」。お値段は約130万円! 「それなら半額のもありますよ」と勧められましたが、半額でも6、70万やん!! しかし幸いここはなんとしても押し売りするというスタンスではなく(まあ130万の商品とか押し売りされてもムリなので…)、買う気のない人はほっといてくれます。今回も前回同様、高い商品の並ぶ展示場を出たところにお安めの小物を売るドアインザフェイス式スペースがあり、そこでは何人かの人がいろいろ買っていました。90分も滞在したら何か買わないと損なような気になってしまう……という人間心理を上手く利用しているなあ!

われわれはがんばって(?)何も買わず、試着の景品のウェットティッシュ1枚をもらって本日の買え買えスポットを後にしたのでした。

 

■ スカスカ昼食

施設を出たわれらのバスは、美しい滋賀の緑の中を走り、今度は昼食場へ向かいます。お天気が良くて景色が綺麗~~!!

 

 

スケジュールの都合上、まだ10時台ですが、昼食です。

今日の食事は「近江の幸御膳」

 

…………しょぼないか!?!?

うどん(具少ない)と炊き込みご飯(具少ない)という炭水化物責め!! いや、無料ツアー(実質3000円)なので文句を言う筋合いはないのだが。しかし前回は、無料ツアーといってもそこそこええ感じの座敷に通され、超美味とはいわずともそれなりに名物が出てきたので、今回もそんな感じやと思うてたのですが、ぎうぎうの給餌場のようなところに入れられたうえ、ウチで作れそうな飯!!!  やっぱり物価高騰の影響なのでしょうか……。オプション料金で変更できる別メニューを選べば、もうちょいええもんが出てきたのかもしれません。

 

ちなみにチラシの写真はこう。こんな立派な肉は無かったっ!

ややスカスカおせちみを感じます。うどんはちゃんと美味かったです。

 

まあ飯には期待してなかったからいいや……。

この食堂は酒造会社の一角にあり、参加者たちは皆食事もそこそこに(ほとんどの人が残していた、そら炭水化物ばっかりそんな食えんわな)、酒の試飲に行きました。私は酒を飲めないので、酒蔵をお散歩。

 

酒を使った菓子や化粧品も売られており、母が土産を買うというので、その間、建物の外を少しうろり。今は自由散策時間であり、別に(時間内に戻りさえすれば)建物を離れてはいけないという法もないのに、皆建物の中に留まっていて、少しそこを離れるだけでものすごく逸脱的な行動を取っているような自由な冒険に乗り出しているような気がしてしまいます。この気分……修学旅行のときの気分に似ている! 修学旅行のとき、集団で知らない街に連れてこられて、そこから自分勝手にその街のレコード屋や本屋(注:中高生時代の私が行きたかった二大スポット)に行くこともできるしはたまたその街の知らない人と出会える可能性もあるのに、それが許されずなぜ皆と一緒に決まったコースを連れられているのか……という、不思議な感覚を覚えたものです。自由なはずの世界がすぐ隣にあるのに、というあの感覚。思えば当時からずっと自分は集団行動が苦手だったのでした。バスツアーは、その不自由に違和感を覚えない人か、あるいは、その不自由を上手く遊べる人であれば、楽しめるのでしょう。

 

酒蔵の周囲の風景はThe夏って感じ。自転車で来てみたくなりました。

 

しばし日本の夏を楽しみ、建物へ戻ると、母はまだレジに並んでいました。何か複雑な要求をするおばちゃんが発生し(ピンポイントの時間で家に配送してほしい云々)、レジを止めているのでした。自由時間が限られているバスツアー一同は明らかに苛々。母は、前回の遅刻事件以来集合時間遅れを極度に恐れているので(前回参照)、めっちゃソワソワしていましたが、なんとか集合1分前にバスに戻れました。はあ忙しない忙しない。

 

■ 束の間の郡上八幡

時間は昼前。ここから2時間ほど走って郡上八幡へ向かいます。

郡上八幡は初めて。これまで行こうと思う機会も無かった土地なので、そういうところへ行ける(受け身で連れていってもらえる)というのはバスツアーのいいところですね。

山間を走る高速道路は、ときどき青い川が見えてそれが美しい。電車移動なら本を読んだりするところですが、バスだとそんな気になれず、ずっと窓の外を眺めていました。

母は少し昼寝。母は歩くのが嫌いな人なので、目的地まで直通で連れてくれるバスツアーはそれなりに好きなようです。私は十四年ぶりですが、母はその間友達と参加したりひとりで参加したりしていたらしい。「ひとりで参加しても、他のひとりの人とすぐ仲良うなるやん、そんで一緒に見て回ったりするやん」とのこと。かつては自分もおばちゃんになったらそういうコミュ力が得られるんかと思ってましたが、まだまだですわ。

 

さて。バスは郡上八幡に到着!

郡上八幡博覧館」でまずは「郡上おどり」の実演を観ます。

7月から9月にかけて、三十二夜踊り続けるという郡上おどり。今回はちょうどその期間で、街には提灯がぶら下がっていました。郡上おどりには複数の曲があり、簡単なものもあれば激しいものもあり、そのうちのいくつかを若いスタッフさんが解説しながら実演してくれます。簡単な曲は一緒に踊って楽しかった! 盆には夜通し踊り続ける期間があるらしく、盛り上がるやろなア。疲れてきたらゆるっと踊っても大丈夫、だとか、ひと月で下駄がすっかりすり減ってしまう、とかの解説も面白かった~。

 

しかし!! 今回郡上八幡滞在時間は70分しか用意されていません。

郡上おどりの実演もそこに含まれています。15分程度の実演が終わると、一同はドヤドヤと博覧館二階の展示室へ。一応入場料を払ったから他の展示も見たい、という貧乏根性でわれらもついていきましたが、歴史や文化に関する興味深い展示であるにもかかわらず、全員驚異的な流し見。博物館的なところに来るとじっくり観たい派の私ですが、痛恨の流し見。ちなみにここで、食品サンプルのいわさきが郡上の会社であったことを知りました。

かつて、京都に支店があり(今もあるのかな?)、私は子どもの頃「大人になったらいわさきで働く!」と思い込んでいた一時期があるのです。こんなところで出遭えるとは~~!! ここの食品サンプルはお土産としても売られていました。

 

そんな再会もありつつ、残りのわずかな時間で郡上八幡観光です。

母は博覧館でバタバタと土産の菓子を買い、街へ。

 

 

博覧館の隣に「カエルのいる寺」があり、気になったので入りました。

 

本物のカエルもいるらしいけど、置物しか分からなんだ~~。でも境内の水が夏空に映えて綺麗。

 

川のほうへ向かいます。丘の上にお城が見えます。もちろん70分では城まで行く時間はありません。反対側も山が青々としています。

 

吉田川と小駄良川の交わるところへ出ます。小駄良川では釣りや水遊びをしている人たちがあり、良き風景です。

 

橋の袂では名水であるという「宗祇水」の湧くスポットが。

宗祇が東常縁から古今伝授を受けた際に、ここで歌を詠み交わした伝説があるのだそうで。お水は綺麗でひんやりしていました。

このあたりは観光地になっており、石畳の道や、ちょっとオシャレそうなお店が集まったスポットがあります。しかし入る時間はない。古本屋さんがありましたが、古本屋に入るとすべてが終わるので泣く泣くスルーしました。うわああん!

 

吉田川にかかる宮ケ瀬橋が観光地の中心であると聞いたので、諸々をスルーして橋へ。山と岩と水が大変美しい!

 

母と写真を撮り合いました。(母は構図が下手。)

 

宮ケ瀬橋の隣の橋まで行くと、子どもたちが川へジャンプする有名なスポットがあるそう。近くには、登録文化財である旧庁舎や折口信夫の文学碑も。しかし行く時間はありません

橋を渡ったところには、観光地らしいお店が並んでいます。郡上踊り関連のグッズを売っているお店、食品サンプルを売るお店。ゆっくり見ている時間はありません

 

「踊りみくじ」というものがあるらしい。ばえ用水槽?

 

賑やかそうな通りがあったけど入口を写真撮っただけ。

 

ツアーのチラシには「郡上八幡で食べ歩き!」と書かれていたのですが、食べ物を得ている時間はありません。チラシに載っていたスイーツの写真を「これが美味しそう」と母は気にしていたのでしたが、それがどこで売っているかも分からぬまま……。この時点で残り10分ほどになったので、慌てて駐車場へ引き返します。

 

せめて来た道とは違う道を通りました。古い町並みが素敵な本町~鍛治屋町………

………を速足で駆け抜け、集合時間1分前にバスに到着っ!

 

いや、時間無さすぎやろ!!!

 

まあそういうもんと分かってて来たのでしょうがないのだが……しかし……。買え買えスポット軟禁タイムをもう30分だけでもこちらに回してくれれば………。前回、妻籠のときはもうちょっとゆっくり散策したような気がするのだがなあ。郡上八幡にはまた絶対個人で来る!と決めました。今回はその下見やったんや!

 

■ ひるがの高原クマちゃん事件

そこから小一時間、今度は「ひるがの高原」へ向かいます。

 

途中の車窓からの光景、雄大

なぜか駐車場にあのパンダが。

 

ひるがのピクニックガーデン、此処もまったく初めて来るところ。山頂にはお花畑があり、リフトで山頂へ行く人は別途800円をバス内で徴収されます。といっても、麓には売店がひとつあるきりなので、これはリフトに乗らない選択肢はなさそうです。ここは冬期はスキー場。夏期はこうしてバスツアーと提携してリフト代で収益を得てるんかな? ともあれリフトなんて久しぶり。少し涼しい風が吹く中、空中散歩であります。

 

まだ紫陽花が残ってる! わーい! 紫陽花の蔭には牛の一家(模型)が。

 

「(牛に)おっぱいがある!おっぱいがある!」と騒いで、母に「おっぱいおっぱい言うな!」と怒られました。


山頂に近づくと一面にベゴニア。

 

ベゴニアと「桃色吐息」という名のペチュニアが此処の名物らしく、スタッフさんは「桃色吐息」と書かれたパーカーを着ていました。その名から、アンニュイな風情のお花を想像していたらば、思ったより元気な色でした。ペチュニア畑の中にパンダがいました。

 

う~ん、ここは良いなあ。何があるわけでもないけれど、眺めが良いし、日差しは強いが風が気持ちよい。

山頂にはカフェがあったので、郡上八幡で何も飲食物を得られなかったかなしみをここで晴らすこととしました。母は珍しく、可愛いフロートみたいな浮かれた飲み物を頼みました。私は暑さのせいか甘いものよりさっぱりしたものが欲しくてカフェラテを。しかし折角なので、何か可愛いっぽい「くまちゃん氷」なるものをトッピングしてもらいました。

 

ほほう、これがくまちゃん氷か……

 

後ろに並んでいた人が「ばえるやつだ~」と言っていましたが、たしかにインスタを見ると、可愛くばえているくまちゃん氷の写真がたくさん出てきます。

 

ばえ界では有名アイテムのようです。

しかし………

 

ええ~~っ!!???

カフェラテに浮かべようとするや、くまちゃんは、親指を立てながら(立ててない)ずももももと沈んでゆきました。

待って待って!! ばえ写真を撮らせてくれ!

なんか違う!!

 

もうあかん……

 

こうしたかった……

 

最期の姿………

 

うむ………

あとでインスタを精査すると、これは本来他の氷の上に設置するもののようでした(※精査しなくても分かる)。頼んだものがカフェラテで氷が少なかったことと、そのわずかな氷も暑さで急激に溶けていたことが敗因でありましょう。馴れないばえはするものではありません。

 

でも景色はすごく良かったから良しです。 ひつじさん(模型)もいました。

向かいに見えるのは大日ヶ岳。その姿を見ていると、山に魅せられる人の気持ち、「そこに山があるから」と言った人の気持ちが少し分かる気がしました。

 

再び風の中をリフトでゆっくり降り、バスに戻りました。

此処は、なんかすごくよかったな~。こういうところに連れてきてもらえるのはよいなあ。公共交通機関では来づらいところだろうし、一人で来ることはなかなかなさそうなので。カフェとお花以外に特に何もないのもよかった。バスツアーはこういうところ向きなのかも。博物館とか街歩きとかにはちょっと時間が足りんのや。

 

■ 帰途

まだ外は明るい時間ですが、ここから引き返します。往路と同じく、山の中を走り、いくつかの川を越えます。母は持ってきたパズルを解いたり、うとうとしたり。滋賀に入ってから京都までが長くて、ダラダラお喋りしたり。前回のバスツアーの頃はあんなことがあったよなあ、みたいな話から、普段はしない昔の話になりました。旅行ってのはこういう、親しい人と、普段はしない話をふとできたりするのが面白いですね。

それにしても、これまでの旅行を振り返って「あれは誰々が死んだ頃やったなあ」「あそこに行ったのは誰々が死んだ頃やったか?」など、あらゆる思い出が親族の死に結びついていて、人間ってしょっちゅう死んでるなあ……と思いました。

 

京都に入るとき、少しだけ降った雨がちょうど上がって、フロントガラスがキラキラして綺麗でした。

 

19時頃、京都に帰還。添乗員さんと運転手さんに拍手をして解散。

今回のまとめとしては、こんな感じです。

 

・買え買えスポットの人の話術はやはりすごい。

・昼飯、せめてあと一品。

・街散策、せめてあと30分。

・高原はよかった、くまは氷に載せるべき。

以上!