雨のしまなみ海道ママチャリ100km記録(前篇)

先日upした通り、しまなみ海道を走ってきたのでその記録です!

今治側から出発し、大島→伯方島大三島生口島因島向島を経て尾道へ。途中大三島で一泊。お天気は、ほぼ雨でした!

 

■ 道後→今治出発

前日、道後に泊まっていたので、道後からバスで今治へ向かいました。この日は朝から雨。

前の週に天気予報を確認したところ雨マークが見えた気がしたのでしたが、「まア、まだ一週間先だし、天気予報も外れるかもだし」と思ってスルーしたところ、なんとまあだんだん予報の降水確率が上がってゆきまして、それでも前日には雨ときどき曇り予報であったのに、当日には曇りが消失して完全なる雨予報に! 雨の中で今治行きのバスを待っているときがこの旅で一番テンション低かったです。

 

雨の中のお花は綺麗だったけれど……

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濡れたペットボトルを握りしめてバスを待つペグレス(仮)
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山を越えてゆくバスの窓からは雄大な川やダムが見えますが、どの景色も雨の中。バス酔いしたペグレス(仮)はぐったりと寝てしまい、この時点で暗雲立ち込めるわれわれの旅。空も暗雲立ち込めています。

小一時間で今治駅着。駅前にある「しまなみレンタサイクル」の店舗に向かいます。客は他にいませんでした。予約していたシティサイクル2台をレンタルし、高さを調節してもらい、ヘルメットを選びます。いろんなサイズ・デザインのものがあるので、ミントグリーンのを選びました。

スタッフさんは、

「今日は雨はまあ……やまないでしょうが、幸いそれほど強くはならないみたいですし、明日もまあ……晴れないでしょうが……」

と苦笑い。道中レンタサイクルのターミナルが複数あり、どこで返却してもOKなので雨が強くて無理になったらバスに切り替えてもいいです、と説明され、少し安心。パンクなどのトラブルにも電話で駆けつけてくれるらしく安心感あります。ともあれ、ここでレインコート(300均・これまで野外イベント等で活躍)を羽織り、前カゴに入れるリュックをでかいビニール袋でくるみます。これは、大学に通っていた頃のスタイルです。大学は自転車通学だったのですが、自転車以外の交通機関が使いづらいため(電車の駅からは遠くバスは時間通りに来ない)雨の日はレインコート+ビニール袋で通っており、雨の京都の町をそのスタイルで爆走するのは悲壮な気分でした。それに比べれば今回は行楽であるからぜんぜんマシです。ってことでGO!

送り出されるとき、お店のラジオから六甲おろしが流れ、諸事情によって最近「六甲おろし」と「商魂こめて」ばかり聴かされていたので、「愛媛くんだりまで来て……マジか!!」と思いました。

 

来島海峡大橋

今治駅を出発し、海へと走り、まずは最初の橋、来島海峡大橋を目指します。

しまなみ海道は、コースに沿ってずっと青いラインが道路に引かれています。おかげで道に迷うことはほぼありませんでした。道案内の表示もあちこちにあるし、これは有難いっすね、私は「地図を頭の中に保持する」ことが苦手であるので知らないところへ行くとしょっちゅう地図を確認しなくてはならず、それで時間をロスするので。

しばらくは線路沿いの道を走ります。ところどころに季節のお花も咲いて、晴天であればさぞ気持ちの良い道であろうと思われましたが、雨だったのでほぼ写真も撮っていません。

 

山の向こうに何らかの巨像?巨塔?が見えたので撮った写真。モヤで霞んでよう分かりませんがこれはなんでしょう?

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尾道看板。この時点では尾道はまだまだはるか遠く。

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しばらく走ると来島海峡大橋入口へ。

しかし! 橋までの道の傾斜が超しんどい! 考えてみれば当たり前なのですが橋へ出るには山中の坂を登らねばならんのですよね。これまで観光用の写真などで見たしまなみ海道って、すべて、快晴の・平坦な・見晴らしの良い橋の上での写真であった気がしますが、実際に走って分かったことは次の二点です。

1)平坦なのは橋の上だけ

2)雨が降る

そりゃそやな。

 

クロスバイクなら難なく登れる坂なのかもしれませんが、ママチャリにはなかなかの難所。雨の中で汗だくになるし、「こんなのがこの先何か所も続くのか!」と思い、ここが一番きつかったです。

やっと橋の上に出ると、風があって涼しく、見晴らしも良い! ………はずですが、雨で海は真っ白、ほぼなんも見えず。しまなみ海道で一番長い橋であり、多くの美しい観光写真がここで撮られたものと思われますが、われらは雨風の中を漕ぎ進むので精一杯。向こうから走ってきたクロスバイクの集団と挨拶し合ってすれ違いました。お互いに苦笑の表情。こういう連帯感が芽生えるのは雨の日のええところ。ちなみにこの日出遭った数少ないサイクリストのほとんどが外国人らしき人々でした。旅行で来ていて日本滞在期間が限られており予定がキャンセルできなかったのかも。

 

橋の上のフォトスポットがあったので写真を撮りました………。下はインスタの人気しまなみ写真です。

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来島海峡大橋、今度はもっと景色を楽しみながら走りたいなあ(晴れたら)。橋脚が架かっている馬島にも上陸してみたいです。他に走ってる人がいなくて道が空いてたのはよかったです!

 

■ 大島

橋を渡ると大島です。橋から降りてちょっと走ったところに「道の駅 よしうみいきいき館」があるので立ち寄ります。

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巨バリィさんがいた! 記念撮影。バリィさんの頭のカチューシャ(?)は来島海峡大橋だそうです。
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今見るとこの時点でズボンの前面がビショビショすぎる。

 

自販機にはみきゃんもいました。「みきゃんの邪魔が大好き!!」って台詞最高やな。

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ここで昼飯に。はみだし鯛かつバーガー(ピリ辛ソース)を食べました。うまいうまい。濡れた身体が冷えないようにホットはちみつレモンも。

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フードコートにはツバメの巣があり、雛たちが可愛かったです。そういえば自転車で走っている途中はずっとホーホケキョの声が聞こえていたし、鳥たちに励まされる道中でした。フードコートの有線放送では90年代ヒット曲が流れていたのですが、不意に「TRAIN-TRAIN」が流れ出し、うおっとなりました。われわれはある意味この曲に人生を変えられし者たちであるので。それに、なんてこのシチュエーションにぴったりの曲なんだ、と。「土砂降りの痛みの中を傘もささず走ってゆく」………いや、土砂降りの痛みっていうか、単なる土砂降りだけど。

 

鯛かつバーガーを食べている間に一瞬空が明るくなって靄が晴れ、「ヤッター!!」と思いきや、走り始めると同時に再び降り始め、流石でありました。f:id:kamemochi:20230704153409j:imagef:id:kamemochi:20230706220106j:image



再び走り始め、次の橋を目指して自転車は山中へ。
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きれいな形のお山
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難所とされている宮窪峠を登ります。しまなみ海道、こんなアップダウンが激しいとは! 知らんかった!! 峠のてっぺんでちょっと一休み(といっても単に雨の中で立ち止まって写真撮っただけ)。

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このあたりは石材が有名らしく、石屋さんがたくさんありました。

 

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この道には「水軍ライン」の看板もありました。

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今度行くときは水軍関係の史跡ももっと立ち寄りたいな~。大島には村上水軍博物館もあるようですが、時間ないのでスルーしました。

ガイドブックでは、サイクリングがてらあちこちの名所やお店に立ち寄っていますが、アレはムリやと分かりました。

 

 

峠を越え、海際に出ると、小さな島が見えます。

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向かって右の島はえらく可愛い形。てっぺんに建造物があり、浜には何かの像が。f:id:kamemochi:20230704161728j:image

 

あとで調べてみたところ、この島は「鯛埼島」。船でしか行けない無人島です。上の建造物は単に観光用の小屋? 像は仏像?弁財天像? 隣の島は「能島」といってこちらも無人島ですが、島全体が水軍の城塞であり、現在も能島城跡見学ツアーがあるのだそう。

 

■ 伯方・大島大橋伯方島

大島滞在は2時間程度かな、ようやく次の橋へ。ここも(晴れていたら)展望スポットです。

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伯方・大島大橋。「横風注意」の吹き流しが標識と同じ姿になっていて良い。
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橋の上でペグレス(仮)が私を撮ろうとした写真。ウケる。

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二つ目の島、伯方島に上陸! f:id:kamemochi:20230704154257j:image

お約束のように「はーかーたーのしお!」と歌いながら橋を降ります。伯方島出身の人、よそで出身地を言うと絶対「ああ、『はーかーたーのしお!』の~~!」って言われてウザいやろなあ……。

 

みきゃんの案内、可愛い~~!!
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橋を降りたところに板のようなものがたくさんあったので、「塩乾かしてはるんかな~~!」と言うてしまったのですが、ソーラーパネルでした。塩のこと考えすぎや。ちなみに伯方の塩は国の制約により伯方の海水で作られているわけではないのですね。伯方塩業のサイトに詳しい話がありました。伯方の塩誕生秘話 - 伯方塩業株式会社 (hakatanoshio.co.jp)

 

 

可愛い何か。グランピング施設かな?
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橋を降りてすぐのところに道の駅「マリンオアシスはかた」があるので再び休憩。ヤシの樹が並び南国ぽくて良い! 雨ですが。

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ここで「塩ソフトクリーム」を食べました。かなりうまい。しまなみ海道で食べたいもののひとつであったので満足!! このソフト屋さんの佇まいも良い。

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人懐っこいスズメ。コーンの切れ端をやりました。f:id:kamemochi:20230704154314j:image

大島の道の駅で、実家LINEに「しまなみ海道に来ています」と写真を送ったのですが、ここで妹から返信が来ました。たった一言、

「雨やん」

 

 

バリィさんグッズも買って退出。伯方島自体はそこそこの大きさの島ですが、最短ルートで次の橋まで移動したため、道の駅以外のスポットは特に訪れていません。そんな中、気になったのがこの建物です。

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これはーー!! かつて一世を風靡した元気が出るハウスでは!? 伯方島にあったの!?

と思ったのですが、調べてみると元気が出るハウスは原宿・嵐山・浦安にしかなかったようなので、これはフェイク元気が出るハウス?? そーいや『元気が出るTV』って、あんな人気番組だったのにどんな番組だったのか全然記憶にないや。。 

 

 

大三島

伯方島滞在は小一時間。大三島橋を渡って大三島へ着きます。大三島でもしばらく海沿いを走ります。

ところで、当たり前なんですが、人間の記憶ってすべての風景やできごとをすべて記憶することはできないから、特に印象に残ったことや写真に残したこと以外は忘れてしまいますよね、今、道中に目にしたものや耳にした音や走りながらした話を思い出そうとしても既に明瞭に思い出すことはできません。海岸を走りながら、「あー、こうして走っている何時間も後の記憶では折り畳まれてしまうのやなあ、すべてをそのまんま記憶できたらいいのになあ~~」とか考えていました。

 

 

いろんなイルカさんが描かれた堤防が可愛い(地元の小学生が描いたらしい)。奥に見える小さな島は「古城島」というらしく、「甘埼城」跡があります。

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ちょっとだけコースを外れて近くで見てみました。ここもお舟で見学できるそうな。

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靄の中、多々羅大橋が見えてきましたっ!

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愛媛県から広島県に渡る橋ですが、今日は大三島宿泊なので渡りません。橋の袂にある道の駅「多々羅しまなみ公園」に立ち寄ります。

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みきゃんとバリィさんが一緒にお舟に乗ってる!サイクリングしてる!かわいい!!(しかしよく見るとバリィさんは自転車押してるだけ)

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左上のやつ、コワイ!なんだ!と思ったら地元のゆるキャラなんですな(タルトくん、またはタルト人)

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お魚がいました。水槽の向こうにくたびれているバリィさん。

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「せんざんきドッグ」を食べました……食ってばっかりやな。せんざんきは伊予の郷土料理らしいです。

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珈琲はただのセルフの珈琲ですがめちゃ旨く感じた! 価値ある珈琲やった!!

 

さて、この時点で16時を過ぎておりまして、宿には16時頃チェックインと伝えていたので、遅れる旨の電話をここで入れたところ、

「何で来られてるんですか? ええっ、自転車!?」

と驚かれてしまいました。サイクリストの宿ということで日々自転車で多くの人が来るであろうに、驚かれたということは、皆今日は予定をキャンセルするか車に切り替えたのか……。「迎えにいきましょうか?」と言ってくださったのですが、ここまでくればもうちょっと、ということで自転車で宿へ。旅館は大山祇神社の近くであり、多々羅大橋からは峠を越えて反対側の港の近くです。これが最後の峠越えです。

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これもなかなかのきつ坂であり、また峠で17時を迎えたため山中のスピーカーから「夕焼け小焼け」のメロディが流れ出し一気に不安な気分になりなぜか死んだおじいちゃんを思い出したりもしましたが、しまなみ海道は危ない道は自転車道と車道をしっかり分けてくれているので、怪我などはなく安全に峠越えができました。1時間も走らぬうちに神社と町が見えてきて、やったーーー!!! 貧弱な装備でびしょ濡れでやってきたわれわれを、宿の方はめちゃめちゃ温かく迎えてくださり感動しました。

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玄関に紫陽花がいっぱいで素敵! 手作りの装飾も素敵!

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このお宿には大変お世話になりました。宿のお風呂が狭いらしいので、入浴券をもらって近隣の温泉施設へ車で連れてもらいます。道中、女将さんから「このあたりは温暖で穏やかなのにこんなに荒れることは少ない」という話を聞きました。そういえば地理で「瀬戸内気候」みたいなの習ったな~~。われわれはレアな荒天の日に来てしまったんやな!

温泉は、伯方の塩の工場の隣にあるマーレ・グラッツィアという施設。海水温泉ってのがあって珍しかったです。すごく温まると聞いたけどそれほどでもないな?と最初思っていたらば、時間差で身体がポカポカ……というかカッカッとしてきました。また「展望の湯」という海を臨める露天もあり。屋根が無いので雨に打たれまくるのですが、ここまで来て展望の湯に入らないのはありえないと思い、雨に打たれながら浸かりました。修行の一日でありました。

 

温泉にいた萌えみきゃん

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久々に見た健康チェックセクシー姉さん
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鼻緒の可愛い草履を旅館で貸してもらってうれしい!
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旅館に戻るとごはんが用意されていて、これも新鮮なお魚が大変美味しく、こんないい思いをするとは……今日来てよかった! としみじみ。なお、われわれ以外の客は全員キャンセルしたと聞きました。

お料理の下に敷かれていた紙には、それぞれ違う俳句が書かれています。

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なんと女将さんが一枚一枚手書きで書いているとのこと。「着ながらにせんたくしたり夏の雨」、調べてみると一茶の句だそうです。われわれにぴったりな句を選んでくださって……「六甲おろし」→「TRAIN-TRAIN」→小林一茶でこの日は旅(修行)を終えたのでした。(次回に続く)