最近観た美術展:楳図かずお@ハルカス、ボテロ@京都

芸術の秋どす!

最近観た展示の記録でございます。

 

 

(1)楳図かずお大美術展@あべのハルカス美術館

楳図展、東京でやっているのを知って、ええなあ~~行きたいな~と思っていたのでしたが、関西にも巡回してくれました!

これは嬉しい!!

ということで行ってきました。

 

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ハルカス美術館って初めて来ました。展望スペースやオープンカフェもあるオサレ建物に楳図絵がばばーんと出現してかっこいい!

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前情報をよく知らなかったので、原画とかあるのかな? と思いつつ行ったのですが、入ったところはパネル展示と楳図インスパイアの美術作品が主でした。

大きな真悟がいた!

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こういう資料展示も貴重で有難かったです!

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『ママがこわい』とか、登場したときはこういう形だったのですね(『なかよし』の別冊付録)。当時の惹句もよいし(「夏休みにおくるぐっとこわくてすずしいまんが」とかいいですね、涼しすぎるよ)、表紙の背景が風景写真なのもなんか面白いですね。

私は、私の母がこれらのリアルタイム世代でして、子供の頃から「お母さんの小さい頃は楳図かずおという漫画家の『ママがこわい』や『赤んぼう少女』がほんまに怖かった」と聞かされていたのでした。私はびびりだったので、『小学●年生』に載っていた、今見ればしょぼいであろう怪談漫画みたいのが超怖かったんですが、そのたびに母が「楳図かずおという人はもっと怖い」というのです。私自身のファースト楳図は高校生のときに角川ホラー文庫で読んだ『赤んぼう少女』です。どんなに怖ろしい漫画なのだろうとドキドキしながら読んだらタマミちゃんが意外に可愛かった、という思い出があります。今回、お客さんは、母世代の人もたくさんいました。

 

しかし、今回の展示の目玉は『わたしは真悟』の続編。なんと『14歳』完結以来の楳図先生の新作!(27年ぶり!?) といっても一枚絵だと聞いていたので、「一枚絵かあ、楳図先生もう漫画を描く気はないんかな」とあまり期待していなかったのですが、その一枚絵が101枚もあると思わんやん!!

 

101枚の絵は、どれもフルカラーで色遣いが鮮やかで美しく(特に図録の印刷では分かりにくいいろいろなピンク)、まさに奇想という感じのデザインも健在で、またその制作について生き生きと語る楳図先生の様子もすごくよかった!

そして、好きな楳図漫画の要素が全部詰まってました。 思いっきりフリルやレースがあしらわれた衣裳の描写。絢爛なお屋敷の描写。いきなり出てくる謎のキューブ。楳図手書きフォント。緊迫のストーリー……のはずなのに「意外と簡単に顔がつくれたね!!」とかのそこはかとない脱力感(「あの人の好きなのり巻きを二人で…」系)。かと思えば次々に現れる奇想天外なデザインに驚かされ。SFだけれどおなじみの「美醜」というテーマ、特に顔がたくさん現れて飛んでいく場面に、ああ楳図先生や~!!と思いました。

 

101枚の絵(とその下絵)は撮影不可でしたが、そのうち数枚を拡大したものが飾られており、それは撮影OKでした。ということで、これがそれです。

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舞台のデザインの一部にさりげなく楳図ボーダーが取り入れられているのが心憎いです。

 

図録はなかなか高価でしたが、新作が全て収められているということで買うてしまいました。本展覧会のアドバイザーである椹木野衣さんの文章もあり。

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グッズも沢山出ていて、食器が意外にも美しくて心惹かれたし、なぜかスノボ板があったりして面白かったのですが、「14歳」ピンバッジだけ買いました。『14歳』は大好きな作品です。

楳図的なバッグにつけました。

 

 

(2)ボテロ展 ふくよかな魔法@京都市美術館

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ボテロ展が京都に来たので行きました。「ふくよかな魔法」ってサブタイトルとか、「ボテリズム」って言葉ができてたりとか、キャッチ―な広報。一方、キャプションの文章がエモ寄りだったのが印象的でした。あ、この展も撮影OKでした。最近撮影OK展増えましたね。

 

静物画の章がいちばんよかったです。

このどっしりした洋ナシ(でかい)を見たとき、身体がホワ~~と弛緩したので、自分はこういう形が好きなんやな……と再認識しました。

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ボテロを知ったんは、昔にTVでやってた15分くらいの美術番組で、それを観ていた親が「あんた! テレビにホル画みたいなん映ってるで! 描いてる人の名前もなんかホルっぽい!」と呼びに来たんですよね。

そのときは、単に「いろんなものを太らせて描く面白画家」という認識だったんですが、本人がインタビューで「僕の作品は太ってるんじゃない、膨らんでるんだ」と語っているのを見てなるほどたしかに、と思うなどし、今回、あの形態に至った経緯もよう解りました。

ところで今回、物販コーナーにでぶコーナーみたいのができており、『たぷの里』とかでぶ猫本とか、「ふくよか」以外に特に共通性のなさそうなものが集められていたのがちょっと可笑しかったです。

 

お花の連作がよかったです。

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また、多くの作品に、宗教への風刺や政治的背景があることも分かりました。何年か前、ボテロがアブグレイブをテーマとした連作を制作したという話を聴き、意外に感じたのでしたが、最初から政治性の強い作家やったんですね。

 

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有名な絵。コロンビアの聖母子。子イエスが持つ小さな旗はコロンビアの国旗。

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もう終了していますが、展と同時に京都シネマにてボテロの伝記映画も上映されていました。

あと、これも展に合わせてなのか、ちょっと前に破損した大阪御堂筋のボテロの踊り子像が修復されていました。

 

ふくらんだ踊り子に倣い、ふくらんだ私も華麗なポーズをとった、つもりでありましたが……

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ボテロ展と同時に、コレクション展では「身体、装飾、ユーモア」という企画がされており、こちらも面白そうだったので観ました。ポスターの作品(福田美蘭「誰が袖図」)に惹かれ。

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織り物でさまざまな人体パーツを作る、小名木陽一という人を知ったのが収穫でした。乳作品もありました。


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ところで今回、京都市美術館が「京都市京セラ美術館」になってから初めて訪れました。昨今なかなか行く機会がなかったので……。えらいきれいになりましたね。一方、どこもかもオシャレカフェを備えた明るい建物になり、大企業の名前がついてしまう昨今の風潮に、いまいち馴染めん感もあります。

 

ガラス張りになった正面玄関に、しかしこれは残ってました。

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