旅写真 ――フレンチ・グラフィティ







パリは、花とゴミとスリの都でした。

それまで、ドイツとスイスの田舎町を観光してきたわたしたちが、TGVでパリに降り立って口々に発したことばは、
「汚っ!」
ということばでした。
パリの記憶はとかく、人(スリ含)が多くて疲れたこと、町が存外汚かったこと、車がどれもボコボコだったこと、につきます。
であるが、ふしぎなことに、今思い出してもう一度行ってみたいなあ、と思う街もやはりパリなのです。



ハイネケン。空き缶。





マルボロ。空箱。





TGVを降りた途端、煤けたような駅舎に、投げ棄てられたゴミ、煙草の吸殻、犬の糞。
人の波には多様な人種。(で、下働きに従事しているのはたいてい有色人種。)
スリ注意のアナウンス。
その一方で、なにげないお店やアパルトマンにも、やたら凝った彫刻や金ピカの装飾が施されていたり。
をを、美しく、かつ猥雑な街よ。
ひとびとは、着飾ってるわけでなくてもオサレで、何より、日本であまり見かけない、熟年カプルがぺったりと寄り添って歩く風景が素敵。



 
 




わたしが特におもしろかったのは、落書きの多さでした。
さういえば、ジェーン・バーキンに「フレンチ・グラフィティ」という曲があり、街の落書きの文句が延々歌われていましたっけ。




ポストにびっしり







コンコルド橋にて。愛と夢。何らかのいきもの。






パリのウンコ@造幣局の壁




糞便−造幣局 という見事な精神分析学的象徴等式。
それにしてもこのとぐろ技法は万国共通なのでしょうか。
一体どこの誰が始めたのでしょう。






謎のフロウツ帝国。



隣には「堅持」というステッカーもありました。





落書きではないですが、謎の日本語つながりで。



日本料理屋の看板なのですが、その名も、
「Restaurant japonais ずぜぞ」。


「ずぜぞ」 て………