だるまさんといんこさん

所用ありて西へゆきたるに、以前より気になっていたお寺へ寄ってみました。
丸太町は西大路を少し北東に入った静かな古い町の中に位置する「法輪寺」さん(臨済宗)。
こじんまりとした感じのよい境内を入り、「奥のお堂だけなら拝観無料です」と案内され奥へ進むと、をを、ナイスお堂!



分かりますでしょうか、前面に見える赤いだるまさん。これが賽銭箱(賽銭だるま)です。

法輪寺は、別称を「だるま寺」といい、三国一のだるまコレクションを誇るお寺。
「七転八起・起上りだるま堂」と書かれたこのお堂に入ってみますと、中には、各種だるまさんがぎうぎうしています!
でっかいだるまさんから豆粒大だるまさんまで。
すたんだーどなだるまさんもあれば、変わりだるまさんもあり。
男っぽいだるまさんばかりかと思えば、「姫だるま」さんもあり。
此処はだるまの楽園だ!




ぎうぎうするうしろすがた。右の大きいのが姫だるま。





ご本尊だるまさん。





天井画だるまさん(だるま界では有名な人の筆による)





だるまさんon宝船





一体だけまつげのあるだるまさん。





……えらくシムプルなだるまさん。





うさぎさんと融合?



喜ばしき哉丸きもの! 達磨的教訓が書かれた板に、「叩かれて内にふくれる達磨かな」とあったのが気に入りました。
それにしても、こうやってだるまさんたちにまみれていると、そこはかとなく懐かしい気分になるのは、故・おぢいを思い出すからでありましょう。
五年前に没した母方祖父――わたし及び一族同世代たちの「変」の血は主にこの人から受け継いだものと思われます――は、だるまさんを彫るのが好きで、本人もどこかだるまさんに似ていました。だるま堂の表には、どことなく祖父の面影を思わせる石像もあり、五年ぶりに祖父に会ったような気になりましたよ。




「お、おぢーちゃん!!」



他にもだるま絵馬や十二支だるまなどだるまづくしです。
境内は人も少なく、静か。だるま堂から少し離れた小屋の中で休憩(おしゃれな灰皿がありました)。柿の木の下でほっこりしていると、だるま堂のほうから、
ゴトッ
という鈍い音が聞こえました。
強風にあおられ、お堂の中のだるまさんが倒れたようです。
急いで助け起こしにいったところ、台から落ちただるまさんは、しかし自力で起き上がってはりました。
さすが………! 「七転八起」のことばにいつわりなし、と分かりました。


境内には、至るところにだるまさんモチーフの装飾があり、凝っていました。
後でネットで調べたところ、だるま堂の他の建物の中にも、だるまさんがぎうぎうしている模様です。
次回は、他のお堂やお庭も拝観させていただかうと思ひます。




こちらはもひとつのお堂。なんかエキゾチーク。






だるままみれですっかり心もまあるくなり(体はもともとまあるい)、東へ戻ると、一部で有名な銭湯「松葉湯」を発見。
銭湯は、わたしの数少ない趣味のひとつです。折角なので、入浴しますた。

松葉湯は、まア普通の銭湯なのですが、大量のいんこを観賞できることで有名。(カメもいます。)
↓こちら、あの「メレ子」さんのブログに写真と詳しいレポオトが出ています!
インコが百羽いる夢の銭湯に行ってきた ――メレンゲが腐るほど恋したい


ほんとに?ほんとにいんこがいるのかな? とどきどきしつつ潜入してみましたら、たしかに、きれいなブルーや黄色のいんこがたくさん!(カメも。)
露天風呂から眺めることができ、実にいいお湯をいただけました。
お客さんの大半は、いんこのことなど気にしておらず、逆に言えばいんこの存在がまったく自然なとこがよかったです。(カメも。)
いんこたちは男湯からも女湯からも見えるようになっており、いんこ小屋には両の仕切りがないため、彼らは男湯と女湯を行ったり来たりしていました。分断された国の境を飛びゆく鳥たちよ………なんか、「イムジン河」を思ひ出しました。自由の使者よ……。