送り火とムシアンルーレット

【本日のひとこと】
太犬大好き。




週末は、京都人の大切な日、五山の送り火でした。
京大生の悲願:犬文字を、秋田に先を越されたことはまア措いておくとして。

今年は、ぱんつ見えそうになりながら高い柵にのぼり、転落しそうになりながらそれを越え、屋根の上へよじ登りました。
少年ぢやあるまいに、こんなワイルドな送り火観賞は初めてです。
大人になったら、京都ホテルの上階とかで送り火を見るのかと思うてましたよ。
しかし、屋上の風は心地よく、左大文字もよく見えて、いちおうは心静かに、最後の炎が消えるのを見届けることができました。


その後、われわれはたこやきを焼いたのですが、そのとき、ついにコレを開けるときがきました。ずっと冷蔵庫に貯蔵して、開ける機会を待っていたのです。





ポンテギ。韓国で買うてきたカイコの缶詰です。

♪さなぎをツマミに酒を飲む とハイロウズが歌ってるのを聴いて以来、本場の屋台で買ってマッコリとともに食べたいものだと思うてたのですが、残念ながら屋台では出会えず、土産屋で缶詰を買って帰ってきた次第でした。

というわけで、それなりにぷりぷりと旨いものを期待して口に入れたのですが
………思ったよりはるかに美味しくない!!

味付けが殆ど無いためでしょうか、土っぽいような草っぽいような味、つまりダイレクトに虫の味がします。
そして、口の中がもしょもしょします。脚と皮の感触がいつまでも舌に残ります。
端的に、虫です。





うぅぅ……


さらに、何の因果か、たこやきの中にたこの代わりにコレを投入することになりました。たこやきならぬむしやきです。一皿のたこやきの中に、ひとつだけむしやきが混入しているというムシアンルーレットです。
嗚呼! ドリアン羊羹(注1)といいハバネロ詐欺事件(注2)といい、何故われわれは常にハードルを設置せずにいられないのでしょう。


注1) ひとびとに甚大な精神的被害をもたらしたという伝説の食べ物。
注2) 「これ、フルーツピーマンっていって、高地で育つから糖度が高いんですよ」と某君が言葉巧みに被害者を騙し、催涙スプレーなみのカプサイシン含有を誇るハバネロを生齧りさせたという惨事。




わたしは案の定というかなんというか、ムシアンルーレットの虫弾に当たってしまい、予想以上にへこみました。
なんと二つ連続で当ててしまった先輩U氏(理系院生の算出によると240分の1の確率)からは、ひとつ当たったくらいでへこむなと叱られましたが、しかし、蛸だと思って噛んだものが虫というのは、意外に落ち込むものです。
また、虫単体で食べるよりもたこやきに入ったものを食べるほうが、たこやき全体に虫味がしみこむため、虫度が増すのです。


口の中で虫がうじゃうじゃしている……
そんな虫感を虫で打ち消し、その感じを更に虫で打ち消すため、気づけばわたしは数匹の虫を生食べしていました。これが反復強迫というものか……!


お盆の夜、こうしてわれわれは、送り火に送られ快原理の彼岸へと発っていったのでした。