散歩犬は永遠に消えない

古そうな犬糞看板……というか、犬糞看板だったものを見つけました。

 

f:id:kamemochi:20240725112116j:image

 

おそらくは犬糞放置を戒めていたであろう文言の部分は退色し、紙もベリベリに劣化し、ビニール袋をにぎりしめた少年と妙に端正な笑顔を浮かべるぶち犬だけが残っています。この世が滅びても、言語が世界からなくなっても、犬と少年は散歩をし続ける――かつてまめ子を散歩させていた頃にしばしば感じた、「今この瞬間が永遠に続いたら――」というあの感じを思い出させるような、美しい劣化です。

 

近くに比較的原型をとどめている同じ看板がありました。うっすら文言が確認でき、また、犬の毛色が茶?黄?系統であったことが分かります。f:id:kamemochi:20240725112617j:image

もともとの印刷なのかあとから貼られたのか、笑顔の犬の上に浮かぶ「犯罪です」の文字が不穏です。

 

こちらは近くにあったまた別の看板。70年代テイスト?の少女のキャラから、かなり古いものと思われますが、いつ頃の犬糞看板なのでしょう。

f:id:kamemochi:20240725112619j:image
f:id:kamemochi:20240725112114j:image

こちらは紙の劣化に犬から侵食されているのが切ないです。足もとから少しずつ消えていく犬。少女はまだその現実を理解できていない表情。ふきだしの中に入れるなら「忘れないでね」かなあ、それとも「楽しかったよ」、あるいは「それでも散歩は永遠だよ」……などと考えていたら本当に悲しくなってしまいました。完全に不要な悲しみです。秋は感傷的になって不可ません。