寿司屋の閉店

大阪京橋でごはん食べるときにときどき利用していたお寿司屋さん、「まねき寿司」が閉店との報を聞き、なんとか最終日に行くことができました。

 

回転寿司だけど個人経営、100円ではないけれど手頃なお値段で、ネタが分厚くて新鮮で重宝しておったのですが……。

聴いたところによると、京橋のライブハウスに行ったお客さんがコロナを発症していたとの報以来、一気に客が減ってしまったとのこと。くそっくそっ、京橋コロナ京橋コロナて煽ったやつらめ、と思わざるをえません。そもそも当のライブハウスと寿司屋はだいぶ離れてるんですけどね。それにしても、(言っちゃ悪いが)微妙なチェーンのほうが残ってまねきがなくなるなんて……。なんかコロナとやらによって、ぐろーばりずむが変質させられつつ、ぐろーばりずむのあかんとこだけがより前面に出てきてる感じがしますわ。

 

 

最終日、お店に入ったら、いつものお母さんが「ああ、最後に来てもらえてよかったー!」と言うてくれはって、これまで入店のときとお勘定のときにちょこっと言葉を交わすだけだったのに、覚えててくれてたのだなあ。この日は早めに店じまいということで回ってるネタは残り少なかったのですが、サーモン、うなぎ、赤貝、高い皿(300円)のトロ、ふだん頼まない赤だしも頼みました。「親子」(軍艦にサーモンといくらが同居してるやつ)を頼んで「好きなやつ!」と言うと、「私もこれ一番好き」とお母さん。

 

常連さんもたくさんいたらしく、久々に来て偶然閉店を知ったという人もあり。常連さんが勘定の際に「最後に来れてよかった、今までありがとう」と握手を求めると、お母さんは「そんなんされたら……!」とそれ以降涙を流しながらの接客となり、なんかもうたまらん気持ちになりました。

常連さんたちはみんな一言お礼を言って出ていき、こんな愛されてるお店やったんやなあと思いました。ラストオーダー間際まで常連さんはやってきて、中には嘆く人も「国はなんもしてくれへんからねえ!」と憤る人もあり。しんみりした雰囲気の中、なぜか連れが盛大に汁をこぼし、お母さんに服を拭いてもらうなどの一幕もあり。

 

われわれは閉店ぎりぎりまでお腹いっぱい食べて、最後やっぱりお母さんに握手してもらいました。お店は30年近くやっていたのだそうです。いつもにこにこ接客してくれるお母さんと、最後にたくさんお喋りできて嬉しかったけれど、やっぱり淋しいな。 またどこかで会えたらいいのになあ。

 

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しかしなんともやりきれん閉店で、帰りは「まねきの仇を討ちたい!まねきの仇を討ちたい!」とボヤきながら帰りました。だが仇とは? ウイルス? それとも?

(ここからはお寿司屋さんの話とは別の話なのですが、)コロナ禍はしばらく続くのでしょうが、なんつーか前も書きましたけど、自粛するとかしないとか、しないやつはアホだとか罰しろとか、下々のものが叩き合う(あるいは分断されて叩き合う構図にさせられる)雰囲気なんがとにかくイヤっすわ。感染者を叩いたり嗤ったり、そら思慮の足りない行動に見える行動もあるやろけど、人にはそれぞれ事情があるし、そもそもエライ人らかてついこないだまでオリンピック決行できるつもりでいたわけですし。感染症に罹患した個人を差別することの負の歴史を、我ら現代人はよく知っているはずではないですか。