パンダコパンダに再会したよの巻

人生で最初に映画館で観た映画はおそらく『パンダコパンダ』だと思います。
おそらく、というのはそれが誰によっても証明されないからです。


たしか5歳頃でありましょうか、私と幼い妹で、両親に連れられて繁華街の映画館に行きました。席はもう満員で、皆で並んで観られる座席はなかったので父・私/母・妹に分かれて観ました。両親に映画に連れていってもらったことというのはこれが最初で最後のはずなので、非常にレアな記憶であるのです。
しかし先日確認してみましたところ、

父 「映画なんて連れていったかなあ? 全然覚えてへんなあ」
母「記憶にない。記憶違いでは」
妹「知らん」

という反応! 誰一人覚えていない! なんやねん!

家族が誰一人覚えておらずとも、私は、観賞後の鮮烈な印象をとてもよく覚えています。
パンダコパンダ』にはパンダが二人(二頭?)出てくるのだけど、親パンダも子パンダもとても可愛くて、アニメ映像であんなに愛くるしいものを見たのは初めでであったので、「私もあれをさわったりぽよぽよしたりしたい! でもあれは映画の中のものやから現実にはいないんや! なんてことや!」と三次元ゆえの不可能性をひどく悔しく思ったこと、そしてまた、「現実にいないことがこんなに残念に感じるような、そんなものを創ってしまえるアニメってすごい!」と(こんなにちゃんと言語化できてはいないが)初めて思ったこと。

しかし、その鮮烈な印象だけは覚えておれど、ストーリーをまったく覚えていなかったので、今年30数年ぶりにDVDで『パンダコパンダ』を観てみました。こんなお話だったんだー!



今見ると、絵柄もアニメーションもちょっとレトロなのですが、内容は今でも十分斬新でした。
今の自分が好きな要素がたくさん入ってることにびっくりしました。
とにかくいろんなものを破壊しまくる! 破壊してめっちゃ笑ってる! アナーキー!!
ミミ子たちが住む町は、ミミ子が独り暮らしでもみんなで見守りあってるし、鍵は開けっ放しだし、ユートピア感。
そしてやはり、パンダが可愛すぎました。今見ても、記憶以上に可愛い! 子パンダの初登場時のもちんとした姿(下図)から既に可愛さ全開です。パンの中で餅のようになる姿も、仕草も、効果音もいちいち可愛い!





パパンダは完全にトトロ−だいこん様(オシラ様)の系譜で、私は昔からこの形のものが好きやったんか……としみじみしました。動物園騒動の中でパパンダがミミ子をかばうように抱く手は、だいこん様が千尋をかばうときの感じとそっくりですね。
子供時代の自分が思ったのとまったく同じように、「この者たちが現実にいたらなあ!」「なんでいないんや!」「アニメってすごい」と思いました。もう大人だからせめてフィギュアを買えますね。


また、家族ファンタジーというか、「新しい家族」の物語であったことにもびっくりしました。ミミ子はパパンダの娘であり、かつ、パパンダの息子のお母さんでもあるのです。これもまたアナーキー
高校生の頃、通っていた絵画教室で、「少女がパンダを産む」という絵本を作ったのですが、潜在意識にこのアニメの記憶があったのかもしれませんね。異種出産は女の浪漫、異種家族は人類の浪漫です!