日生BIZEN中南米美術館についに行ったよの巻


ここ数年、日生を訪問し続けておりまして、そのたびに、「BIZEN中南米美術館」というのがあること、ペッカリーゆるキャラがいるらしいことには気づいておったのですが、なかなか寄る機会もなくスルーし続けていたのでした。
しかし今回、急にふと気になり始め、ついに入ってみることに!

駐車場に着くと、いきなり文が途中で切れていました。



これは残念スポットかも……と予感する私。私はよく旅先で残念スポットに行ってしまうのです。
しかしそれはまったくの杞憂であり、入ってみれば「こんな小さな町にこんなところが!?」と驚く、予想以上に凄い美術館でした。


まず入口からすごい。これはマヤ遺跡の石碑のレプリカだそうです。





この日は、「蔵出し展〜アンデス編」という催しをされていました。(翌5月までだそうです)
インカ帝国以前の文明のものが主に展示されていたのですが、モチェ文化、ナスカ文化、チミーラ文化etc、聞き慣れない語ばかりで、そういえばこの地域のことってまったく知らないな!と思いました。世界史の教科書にもこのあたりの話はインカ帝国以前のことってほとんど載ってなかったような。南米は友人の故郷でもあるというのに、「カピバラがいる」くらいの情報しか知らないよ〜〜。



カピバラのパネルもありました。



展示品は、フラッシュを焚かなければ写真撮影OK。館内には憩えるソファや椅子もたくさんあって、居心地のいい空間でした。



展示されているのはおもに、甕や壺や土偶などが多かったです。他、ときどき織物や金細工も。
まるっとした可愛い形のもの、動物の形のものが多かったです。最近わが国でもまるっとした動物グッズが増えていると思うので(みんな疲れてるんだ)、ウケるんじゃないかな??


以下はモチェ文化の「鐙型ボトル」(持ち手が鐙の形に似てる)ですが、それぞれ鳥さんの形、なんらかの動物?神様?の形(忘れた)、まるっとした人の形、をかたどっていてどれもかわいく、わたくし好みでした。
モチェというのは、紀元0〜700年の、最初の都市文明だそうです。







でこの長い半跏思惟像?



これは戦争の神様としてのジャガーで、顔の文様が武具を表しているらしいのですが、ちょっと草間彌生テイストだと思いませんか?(服だけか…)



ほよほよ〜と見学していたところ、大ちゃんがやたら私を呼ぶので駆けつけたところ、コレが!!
乳型ボトル



解説によるとこれはマメイというフルーツを模したものとのことで、パネルには「マメイが好きな人が作ったんだね」なアんて書いてあったのですが、どう見てもおっぱい。おっぱいが好きな人が作ったのでは……??
なおこの日は、土産屋でおっぱいプリンを見つけたり、お好み焼き屋でおっぱい焼き屋を見つけたり、大量のホタテの殻を見て「武田久美子武田久美子!」と騒いだり、乳デーでもありました。

※なお、おっぱい焼きは非常に美味しうございました。



モチェのボトルシリーズで(乳以外に)印象的だったのは、なんといってもこのボトルです。人型ボトルの一種で、先天性梅毒の人を象ったものとのこと。


パネルの説明によると、アンデス文明は王家が病人や障害者や老人や女性を大事にしていたとのこと。よって、障害をもった人の姿も健常者の姿と差別なく作られたのでは、という説でした。これは定説なんでしょうかな?
今年は、個人的にも、社会的にも、障害者福祉について考えることの多い年でした。アンデス文明のこのあたりの話、詳しく書いたものなどがあれば読んでみたいなぁ……。

ボトルは計3体ありました。上の私の写真はブレブレなので、大ちゃん撮影のものを3枚拝借します。↓






これもモチェと同時期、ビクス文化の動物さんボトル。まるぺたっとした形のやつが気に入ったので撮りました。



こちらも可愛い。その股間のところから水が出るのかい?



彩色してあるものですが、現代のものと言われても分からんのではと思われる、モダンなセンス。他に五味太郎のタッチのようなものもありました。「現代にあるデザインって既に全部出揃ってたんかな」「技術が進化しただけで、人間自体はあんま変わってへんのかな」と言い合いました。



ぽってりと可愛いこれは骨壺だそうです。チミーラは奥地の文明であり、長らくスペインに対する抵抗運動をしていたのだそう。



楽器もありました。これは笛。



ニコヤ文化のジャガーの壺。文様を白抜きにするネガティブ式は難しい技法なのだそうです。
いかつい姿ですが、この館にはこいつのゆるキャラがいました。(この美術館にはペッカリーくんを中心に、10体以上ゆるキャラがいるのです。)



あと、すごかったのはこれ。仮面をつけ舌を出した人物像ですが、幻覚を見ている=神と交信しているところの模様。当時の息吹が伝わってくるようで、これの前で、皆でポカーンと立ち尽くしてしまったのでした。




帰りに、美術館スタッフの方とちょっとお話し、いろいろ伺うことができました。何故日生に中南米美術館?と前から不思議だったのですが、漁網の交易をしていた地元の方が少しずつコレクションしたのだということでした。
今は、各地の催しに展示品を貸し出したり、また音楽やらゆるキャラやらいろんな方面でも活動されているそうです。ゆるキャラペッカリーくんは、点字ブロック保護の啓発活動にも参加している模様。(初めて知ったのですが、点字ブロックは岡山発祥だそうです!)

日生は、人口も観光客もそう多くない町であろうに、そんな中すごくがんばっておられる美術館という印象を受けました。
展示法もいろいろ工夫されてありました。キャプションも、以前は普通の文章だったそうですが、ゆるキャラが話している設定の文章になっていて、これなら小さな子も親しみやすいかも。行方不明の収蔵品のところに 「館内大発掘中! こんど来てくれるまでに必ず見つけるペカ!」 とか書いてあるゆるさもナイス。
寄付額によって展示物の命名権がもらえる!? という企画もありました。↓この画像は、命名されたアルマジロさんとナマズさん……。



というわけで、日生にお越しになる際は、BIZEN中南米美術館、おすすめです。
いろいろ盛りだくさんなサイトはこちら→ BIZEN中南米美術館