老犬看取り之記(3)


最近我が家では、夜になんとなく皆がまめ子の写真を見るタイム、みたいのができました。といっても皆で一緒に見るわけでなく、それぞれ勝手に自分のケータイやらPCやらを眺め、特に可愛い写真を見つけたときだけ「可愛い写真見つけたで」と報告する、というところが我が家らしいのですが。
先日、父が、友達に「最近どうしてる?」と訊かれ、「最近? まめの写真見て可愛い可愛い言うてるねん」 と答えており、死んでも親バカ(飼い主バカ)かよ……と微笑ましかったです。
われながら、いない犬をいつまでも「可愛い!可愛い!」言うてどないやねん、と思うてましたが、よく考えたら、マリリン・モンローとかオードリー・ヘップバーンとかもういない女優さんの映画を観ても「綺麗!綺麗!」と思うし、ビートルズとかブルーハーツとか解散したバンドの音楽を聴いても「かっこええ!かっこええ!」と騒ぐし、これでいいのだ、と気付きました。
というわけで、解散バンドのフィルムライブみたいなものと思って、しばらくまめ記事にお付き合いください。



↓ 父の待受画像。最もぽっちゃり時代のまめ子です。





さて、週末にはまだ元気で歩いていたまめ子、週明けに岡山から帰ってくると、わずか2日ほどの間に急に元気がなくなったようでした。
もらったお薬を飲んで体調を整えれば、もうしばらく大丈夫だろう、と思っていたのですが、お薬を飲んでも吐いてしまう様子。
これは思っていたよりも、長くないのかもしれない、と、このとき覚悟をしました。

そうとなれば、こちらも万全の態勢で最後まで看病をしよう、と決めた……のですが、ここで私のダメが炸裂。よりによってこんなときに、39℃の高熱を発熱。
うをををを、おれのアホーーー! 熱を出しとる場合やないのに! 家族にうつしでもしたら、まめ看病体制が総崩れになるやないかーー! アホが!アホが!
と自分を責めまくりましたが、幸いインフルエンザではなく、家族にうつすこともなく、しかも、方々ご迷惑をおかけしたので大きな声では言えませんが療養期間を取ったことにより結果的にまめ子の傍にいられる時間が増えたので、この熱はむしろグッジョブ……いや、まあ、災い転じてなんとかで良かったのだと思います。



↓ かたや老衰でかたや高熱。具合の悪いコンビの図です。





熱が出たのは、諸々の疲れもあったのかもしれませんが、やはり、まめ子ショックもあったのかもしれませんなあ。
(私は精神的ショックを受けるとすぐ熱を出す傾向があります。あと、関係ないですが、一時期は東京行くと絶対熱出してました。)

この日はそれでも、まめ子にお薬を与えるためのスポイトを買いに行ったり、おさんぽに行ったりしました。
一人でおさんぽさせるのが大変になってきたので(まめ子が途中で座り込んで動かなくなったりするため)、母との二人体制で出かけました。
しばらく食べていないというのに、「どこにそんな体力が残ってたんや!?」 と驚くくらいよく歩いたので、私も母も感心してしまいました。母など思わず、「この犬まだまだ生きるんとちゃうか?」 と言うたぐらいでした。
ぽてぽてといつもの石段の前まで歩き、「もうこのへんにしとこうや」 と引き返そうとしても、ずんずん進んでゆくまめ子。病犬とは思えないほどしっかりした足取りでした。さらに、リードをもつ母を引っ張り、「角を曲がってもっと歩く」と主張。
母が「動画で撮って」というので、歩く様子を動画で撮りました。

このときの動画は、撮っておいてよかったなあと思います。
写真や動画、殊に病んでからのそれは、犬が死んでから見るとつらいよ、と聞いていましたが、まめ子の場合はそんなことはありませんでした。今でも見ていると和みますし、むしろ、もっと撮っておけばよかったと思います。

それにしてもこのおさんぽではっきり分かったのは、まめ子は、リードを握る人間によって散歩コースを使い分けている、ということでした。母のときは南へ進んで角を曲がるコースを主張し、父のときは北へ行きたがり、私のときはすぐにひなたぼっこしたがるのです。体調を崩してから複数人で散歩に連れるようになったため、この法則が顕在化したのでした。



※おててくらべの図