AKM48への旅(2)


そんなわけで赤目四十八滝へやってきたわたしたち。
赤目口駅に着いたのは12時前でしたが、駅でさんざんはしゃいで写真を撮り、入山口までの道ではさんざん土産物屋をひやかしたため、やっと登り始めたのは13時過ぎだったでしょうか。
土産物屋では、ちょっとマヌケな忍者グッズや、可愛いオオサンショウウオグッズが売られており、観光地好きの心をくすぐります。
小説に従うのであればここの観光センターでかつ丼とビールを頼むべきなのでありますが、さっきの柿の葉寿司で腹はふくれていたので、先へ進みます。


オオサンショウウオのお口から出てる手水鉢



10月ですが、まだラムネが売られていて、ハイキング情緒が高まります。



入山口へは、オオサンショウウオセンターという建物を抜けていきます。
いろいろなオオサンショウウオさんを見て建物を出ると、気温と空気が一変して吃驚。
川から上る空気は冷たく、そこに光が注いでおり、この時点で既に「この世の外」のような光景でありますが、この先さらに感嘆するばかりの景色が続くのです。




まずは行者滝、霊蛇滝、と小さな滝が続きます。どれもいわくありげなネーミング。
最初に現れる大きな滝は不動滝。「赤目五瀑」のひとつめです。




こちらは乙女滝。乙女だけに、小さなかわいらしい滝です。水に手を浸けるとほどよくひんやりしてお魚がくるくるしておりました。




このあたりはまだ、ハイキングコースといった感じで、あちこちにベンチが設けられ滝見弁当を食べている人がいます。
柿の葉寿司を食うたばかりというに、「ここで弁当を食べたら気持ちよさそう」など、弁当のことばかり言うわれわれ。
ここまでは茶店もあり、wi-fiもあり。犬連れも多く、滝ごとに滝の前で犬の写真を撮っている一家がいて心なごみました。




やがて、切り立った岸壁の中に現れるのが千手滝。赤目五瀑の二つ目ですが、これは凄い迫力でした。おお〜 と感嘆の声をあげる人たちあり。





写真にはうまく収められませんでしたが、見上げると天まで届きそな岸壁がはるかに聳えておりまして、その麓からこの滝が流れておるのです。壮観!




滝の傍らには、「赤目」の地名の由来となったという赤目牛を象った像あり。





聳える岸壁には色とりどりの植物。





ここまでは軽装の人もたくさんいて楽々進めましたが、ここからは少し山道に突入。
その入り口には、空海が修行したという「護摩の窟」があります。ナメクジとかいそうな感じ。



ではでは、引き続き歩いて参ります。



川は丈六川と言い、川幅は二間ほどである。人が川の淵を覗いているので、覗くと、澄み切った水に夥しい数の川睦が泳いでいた。処女瀧、八畳岩、千手瀧、と速い水の流れと奇岩が現れる。瀧はいずれも速い水の流れに、岩で段差が出来たところに出来たものであるが、千手瀧というのは美しかった。黒蝶が川を渡って行った。私は早く誰もいない山奥へ行きたかった。この先、どうなるにしろ、一刻も早く、人のいないところへ出たほうが気持ちが落ち着きそうだった。併し実際に先へ先へ歩いて行くのは、アヤちゃんだった。何も言わずに、先へ先へ歩いて行く。まるで目的の死地がはっきりしているかのように。(車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂』 文春文庫、261頁)