失われただるまをもとめて
先日、木戸孝允旧邸の見学に参りました。
現在は公共施設の一角にあって、普段は閉ざされているのですが、夏の間、観光イヴェントの一環として開放されていたのです。
以前にも書いたのですが、この木戸邸にはだるま堂があります。孝允の息子がだるまコレクターだったらしく、そのコレクションがおさめられているのです。
だるま堂も、やはり普段は非公開。ですが、常々、中を見てみたいと思うておりました。
なので、公開と聞いて、行かねば!と参じたのでした。
以前に書いた通り、わたしの母方祖父(おぢい)は趣味でだるまを彫っていたのですが、そのうちのひとつを、木戸さんに献上したらしいのです(本人は気がすすまなかったらしい)。 だるま堂に全コレクションが眠っているからには、おそらくその中におぢいだるまもある筈。とそんなこともあり、前々から気になっていたのでした。
わたし一人ではおぢいだるまを見分けることができないので、母と叔母を伴って行きました。
入り口のでっかいだるまさんたちの間をぬって、さア、おぢいだるまはいるかな〜?と中に入ると……
……予想外のだるま量!!
ここからおぢいだるまを見つけ出すのは一難儀です。
なんというても総勢3万点ものだるまが、小さいお堂にぎうぎう並んでいるのです。
お堂の窓もだるま型で、だるま窓から差し込む光がだるまたちをぼんやり照らしております。
お堂内を三周ほどし、おぢいぽい木彫りだるまさんが集っているゾーンも検分したのですが、ついに母も叔母もおぢいだるまを見分けることはできず。
中に、作者の名前が側面にでかでかと彫られているだるまがあり、
「おぢいもこうしといてくれたら分かりやすかったのになア!」
と笑い合ったのでした。
だが、おぢいだるまは見つけ出せずとも、その他の各種だるまを見ているだけでかなり楽しく満足しました。以下、特に興味惹かれただるま写真を紹介しますね。
なんだか四角張っただるま。ぜんぜん威厳のない目つきがツボでした。
夫婦+親子だるま。こんなんあるんやな〜。
柔和な顔の石のだるまさん。その下で口を開くつまようじ立てだるまたち。
福福しい女子だるまさん二体。姫だるまはたまに見るけど、こんなのは初めて見ます。
だるまさんだけでなく、だるまさんに関するあらゆるものが集められていて、これはだるま型おもちゃ。
奥のはパチンコでしょうか?
これもだるま印看板など、だるまグッズ。だるまグッズはまだまだいっぱいありました。
ここには写っていませんが、だるま焼きの型とかも。
だるま柄湯のみ。中央の彫り込まれただるまさんと、その両隣のシンプルだるまさんの対比がよい。
だるまさんといえばまあるいものだとばかり思っていましたが、いろんな形があるらしい。
これはご当地だるまコーナーにあった、会津の三角頭のだるまさん。
きのこのようなだるまさん。だるまなのか!?
碁を打つだるまさんたち。後ろの急須もいいですね。
これは人間臭すぎるだるまさん。
小石に石を塗っただけのようなだるまさんで、しかも欠けていますが、こんなのもちゃんとコレクションとして陳列されているところがいい。もはやアニミズム。
奥の髭眼鏡だるまさんが超いい味出してますが、その手前にどさくさにまぎれてたぬきがいることも見逃してはならない。
河童、金太郎、ポリス…… もはや「だるまとは何か」という定義が問われ始めます。
ちなみに、マトリョーシカもいましたが見ないことにしました。
毛!?
べろ!!
木戸忠太郎の肖像ですが、肖像の中でもだるまに囲まれています。
好きなものに囲まれた姿を好きなものの中に飾られ、さぞ幸せだったことでしょう。